お問い合わせ

LGBT関連ニュース

「性犯罪を連想させる」などの理由で「性的マイノリティ」を行政用語として使わない方針を打ち出した亀岡市に対し、批判が噴出しています

記事日付:2020/12/23

 京都府亀岡市で、市議会などから「性的という言葉が日本では性犯罪などを連想させる」と表現を改めるよう指摘が出たことを受けて第5次総合計画検討特別委員会で「性的マイノリティ」という言葉を「多種多様な人たち」と改める決定がなされました。性的マイノリティの当事者の方たちなどから批判が噴出しています。


 亀岡市は今年6月16日、トランスジェンダーの赤坂マリア市議の質問に対し、本年度中に同性パートナーシップ証明制度を導入する意向を明らかにしました。その後、要綱によって定め、宣誓したカップルに対して証明書を発行する「パートナーシップ宣誓制度」として2021年3月から導入することになりました。
 12月13日には、当事者や市民を交えた(職員研修を兼ねた)意見交換会が開かれました。京都新聞の記事「LGBTQパートナー制度導入向け、初の意見交換会 京都・亀岡市」によると、「赤坂マリア市議が、人口に占める割合が少ないため「マイノリティ」「少数者」とも総称されるLGBTQについて、「差別されているような響きだ」と指摘、参加者は、班ごとにLGBTQに当てはまることを公言しにくい現状や、属性として名前を付ける必要性について話し合い、個性の尊重や多様性を連想させる「レインボー」や「マーブル」「セクシュアルフリー」などの案が発表された」とのことでした。
 そして、12月23日の京都新聞の記事「性的マイノリティ」行政用語として使用しない方針 差別的語感「性犯罪を連想」 京都・亀岡」によると、22日、市が第5次総合計画基本計画案にあった「性的マイノリティ」の文言を「多種多様な人たち」と改める修正案を市議会に提案し、第5次総合計画検討特別委員会で可決されました。同計画案や宣誓制度の議論の過程で、市議会などから「性的という言葉が日本では性犯罪などを連想させる」と、表現を改めるよう指摘が出ていた、とのことです。
(ちなみに「亀岡市パートナーシップの宣誓制度(案)」はこちらですが、「性的マイノリティ」の文言を「多種多様な人たち」と変えてしまうと全く意味が通じなくなります…)

 レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、パンセクシュアル、アセクシュアルなど性的指向に関するマイノリティの人々、トランスジェンダーやノンバイナリー(Xジェンダー)など性自認に関するマイノリティの人々を総称して何と呼ぶか、をめぐっては、2000年代半ばにLGBTという総称が輸入されるまでは、行政や新聞などのメディアでも専ら「性的マイノリティ」または「性的少数者」でした。当事者の間では「セクシュアルマイノリティ」、略して「セクマイ」などの言い方も浸透していました。(なお、「性的」という言葉には、セクシュアリティ的な意味と、ジェンダー系の意味の両方が含まれています)。ただ、赤坂市議が述べたように、「マイノリティ」という言葉に違和感を覚える当事者の方も一定数いらっしゃるのは確かで、LGBT、LGBTQ、LGBTQ+といったイニシャルの総称が「マイノリティ」とか「クィア」のような意味合いを感じさせない価値中立的な言葉だったことが、現在のように広く普及するようになった理由の一つであるとも考えられます。
 しかし、今回の亀岡市の決定は、そこが問題なのではなく、「性的という言葉が日本では性犯罪などを連想させる」という「指摘」が判断の主たる要因でした(上記の意見交換会のことは、12月23日の記事の最後に付け加えられているだけです。あたかも今回の市の決定の主たる要因であるかのように受け取られそうですが、注意深く読むと、そうではないことがわかります)。市議会などで「性的という言葉が日本では性犯罪などを連想させる」などというエキセントリックな声が上がったことに対し、委員会もそれを問題視することなく容認してしまったということが問題の焦点と言えます。
(「性的という言葉が日本では性犯罪などを連想させる」発言や、委員会の議論の詳細については、亀岡市公式サイトではまだ確認できません。いつ、どこで、どなたが発した言葉なのか、どのような話し合いが行われたのかがわかるよう、議事録が公開されることを望みます)
 地方自治体の議員からはこれまでにも様々、LGBTQに対する偏見や無知に起因する驚愕の発言がありました。2015年の宝塚市議海老名市議、昨年の鹿児島市議、そして今年は足立区議春日部市議の発言が記憶に新しいところです。そうした一部の差別的な議員の発言に振り回されるのではなく、自治体も議会も、きちんとLGBTQに寄り添い、生きづらさの解消につなげていく姿勢を保持していただきたいものです(現に足立区ではそのように進展しました)
 また、今年7月に沖縄県宜野湾市議会が性の多様性を尊重する条例案を否決し、条例案の見直しが行われた結果、本文から性自認、性的指向等に関する記述が消去されたということ(詳細はこちら)などもそうですが、「性的指向・性自認」「性的マイノリティ」という言葉を不可視化させる動きが一部の自治体で起こっているのは、偶然ではないのかもしれません(モンタナ州立大学准教授の山口智美氏は、「2006年に都城市で男女共同参画条例をめぐり「性的又は性的指向」が削除され「すべての人」にされてしまった流れと重なる。すなわちバックラッシュだ」と指摘しています)
 
 今回の市の決定について、ソーシャルメディアでは以下のような批判の声が噴出しています。
「こういう「脱色」、ダメ。性に関することでマイノリティにされてるのに」
「性的マイノリティの透明化と同時に、「性的マイノリティ=隠すべきもの」というレッテル貼りにもなりかねない」
「そういう乏しい『連想』に振り回される行政がチンプンカンな事ばかり言ってるからいつまでも「LGBTQに当てはまることを公言しにくい現状」が無くならない」
「差別の背後にこういう発想があるからわざわざ「性的マイノリティ」と使っているのに」
「差別を解消するのに『正しく認識すること』をすっ飛ばしてどうするのか」
「偏見の再生産が始まってる」
などなど(拾えきれていませんが…本当にたくさん、声が上がっています)
 
 また新たな情報が入り次第、続報をお伝えします。
  


参考記事:
「性的マイノリティ」行政用語として使用しない方針 差別的語感「性犯罪を連想」 京都・亀岡(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/454643

よく見られている情報