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鹿児島市議が「(同性パートナーシップ証明制度の)ニーズはほとんどない」「地方都市がLGBT施策を推進すべきでない」「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと発言

記事日付:2019/09/12

 鹿児島市議会の上田勇作市議(76歳、「自民みらい」会派)が9月11日、本会議の代表質問で「(同性パートナーシップ証明制度の)ニーズはほとんどない」「地方都市がLGBT施策を推進すべきでない」「自然の摂理に合った男女の性の考えを強調すべき」などと発言しました。この差別的発言に対して取消しの要求が起こり、一時議会が中断する場面もありました。地元のLGBT団体は事前に、この質問が「当事者に計り知れない精神的ダメージを与えることを懸念する」として、議長に取り下げを求めていましたが、市議に聞き入れられず、敢行されたものでした。このニュースに対して各方面から非難の声が上がりつつあります。
  
 
 上田市議は、LGBT施策への慎重な対応を市に求める趣旨で質問に立ちました。「LGBTと言われる方々への不当な差別に対して、これを解消するための努力は必要」としたうえで、「LGBTについては、横文字であるがために国民の間でも物事の本質に十分な理解の無いまま、なし崩し的に行政によって施策展開が行われる状況にあるように思われることも危惧します」と発言。
「LGBT施策等については、地方都市が積極的に推進するのではなく、国の枠組みができた上で慎重に慎重を重ねた議論が必要」
 また、鹿児島県の人権ハンドブックに「日本でも約8%の人がLGBTと考えられます」と書かれていることについて「驚くような記述だ。世論が分かれるデリケートな問題で数字の独り歩きを防ぐことが必要」ではないかと述べました。
 さらに、「性的少数者が採用選考で差別やハラスメントを受けたと答えた割合は8%で職場では6.5%」という東京都港区の調査結果を引用し、「女性のセクハラ経験率は3割以上に上っており、性的少数者であるがために突出して差別を受けているわけではないと言えます」などと述べました(実際は、LGBの4割超、トランスジェンダーの8割超が就活で嫌な思いを経験しています。また、LGBTの採用時のハラスメント経験率と女性の生涯セクハラ経験率を比較するのも間違っています)
 さらに、教育に関する質問の中でも「『性的指向、性的自認は生まれつきのものであって、変えられない』という考えもあるようですが、それは事実なのか。先天的ではなく、社会的、文化的な影響からも生じていると考えるが、いかがか」「神の与えたもうた自然の摂理にあった男女の性の考えを強調するなど、市民が納得するバランスのとれた性教育を行うべきだ」などと
 そして、同性パートナーシップ証明制度について「利用は男女の婚姻に比して極めて低く、ニーズはほとんどないと言えるのではないか」と、同制度を要求しているのは、当事者の一部にすぎないこと「明らかになっている」などと主張。「同性パートナー制度が進んでいるから、国で同性婚を認めるべきだという流れにくみすることは当局として慎まなければなりません」とも述べました。
 
 このような上田市議の質問内容を事前に知った鹿児島県内の市民団体「レインボーポート向日葵(ひまわり)」は9日、「当事者を傷つける内容が多数含まれている。差別を助長する内容で、当事者の計り知れない精神的なダメージを強く懸念する」として議長あてに質問の取り下げを求めていました。しかし、上田市議は「市議会ではLGBTを擁護する立場の質問ばかりだった。異なる立場から一定の考え方を論じておくことは必要だ」として、質問の取り下げに応じませんでした。議会の質問でも、最初に「取り下げの申請があったが、思想信条の自由を妨げる行為。言論の府を冒涜することに強く抗議する」と述べています。
 レインボーポート向日葵のメンバーの一人はハフポストの取材に応じて11日、「杉田水脈議員のような差別発言が鹿児島で起きた。何よりも私たちが存在もしていないかのような無神経な質問に憤りを感じ、動かずにはいられなかった」と取り下げを求めた理由を語りました。
 また、議会を傍聴した別のメンバーは、「質疑の中で何度も出てくる"市民”には私たちも含まれています。人権に関する施策は全て緊急性を要します。他のものと比較して優先順位をつけること自体ナンセンスです。単独で考えてほしいです」と語りました。
 11日の議会当日は、20名ほどの当事者の方たちが(レインボー柄が入った服を着るなどして)議会を傍聴しました。
 傍聴を終えて、レインボーポート向日葵の代表でトランスジェンダーの正貴さんは、「私たちはいないことになっているのか」と苦痛に顔を歪ませながら、「多様性を履き違えているなと感じた。ところどころで、やはり差別的発言が助長されていた。正しく知っていただきたい、自分たちの心の叫びを聞いていただきたい」と語りました。
 
 議会では、上田市議の一連の質問に対し、市側は「性的少数者の方々が、日常生活の様々な場面においても安心して暮らせるよう、また市民の幅広い理解と共感を得られるよう、丁寧に施策に取り組み、全ての人の人権が尊重される社会の実現を目指して参りたいと考えております」と答弁しました。
 また、上田市議の発言に対して、共産党市議団が発言の取り消しを求め、議会が一時中断する場面がありました。
 今後、議会運営委員会で会議録を精査した上で改めて取り扱いについて協議をする方針です。
 
 
 SNS上では、「市議会議員のこういう発言が、偏見の再生産をして、若い世代にも差別心を植え付けていることをちゃんと自覚してほしい。LGBT当事者は子どもたちや市民の中にこそいる。それを忘れてないか?」「人権問題と捉えることについて、パーセンテージやニーズで語ること自体が異常。女性のセクハラとの比較も見当違い」「自民"みらい"が多様性を握りつぶす未来のない発言。県民として恥ずかしい」など、批判の声が多数、上がっています(一方で、この差別的発言に加担するコメントも上がっており、二次被害的に当事者を傷つけています…。当事者の子どもたちが見たら、どう感じるでしょうか…)
 
 2015年、宝塚市議会で、同性パートナーシップ証明制度の導入をめぐって「宝塚に同性愛者が集まり、HIV感染の中心になったらどうするのか、という議論が市民から出る」と大河内茂太市議(当時44歳、自民党)が発言し、炎上した事件(詳しくはこちら)を思い出した方もいらっしゃることでしょう。
 今回の事件は、あのとき以来の、地方議会でのLGBT差別事案と言えるでしょう。
 また続報が入り次第、お伝えいたします。

 
 
参考記事:
鹿児島市議会 LGBTに関する質疑で物議(日テレ)
http://www.news24.jp/nnn/news16343836.html
鹿児島市議会 LGBT政策をめぐる質問 議会紛糾(FNN)
https://www.fnn.jp/posts/2019091100000007KTS
同性パートナーシップ制度 鹿児島市議「ニーズほとんどない」(MBS 南日本放送)
https://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2019091100038120
鹿児島市議会 LGBT政策をめぐる質問 議会紛糾(鹿児島テレビ)
https://kts-tv.net/news/1598/
同性パートナー制を疑問視質問 支援団体が取り下げ要請(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASM9B4T7SM9BTLTB00B.html
同性カップル認める制度 自民系市議が「ニーズほとんどない」と発言 鹿児島(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190911/k00/00m/010/109000c
同性パートナー制度は「ニーズがほとんどない」 鹿児島市議が議会質問で言及 ⇒ LGBT支援団体が「無神経」と怒り(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/lgbt-kagoshima_jp_5d785a01e4b09342507b4bff

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