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アップルやグーグルなど米40社超が連名でトランスジェンダー擁護を訴え

 3月11日(現地時間)、Apple、Microsoft、Amazon、Googleなどを含む40社超の企業が連名で公開書簡を発表し、アメリカ各地の州で提出されているトランスジェンダーの権利を侵害する法案に抗議しました。
 
 アメリカではトランプ政権が誕生して以来、幾つもの州で、宗教の名の下にLGBTQへの差別を正当化するような法案や、出生時の性別に従ったトイレの利用を学生に対して義務付けたりするような州法が次々と提出されています。最近、アラバマ州議会の上院で「傷つきやすい子どもに対する思いやりと保護法案」が通過しましたが、これは16歳以下のトランスジェンダーに対して第二次性徴抑制剤※やホルモン治療薬を処方すると、医師がCクラスの重罪(1年超10年未満の禁固刑)に問われるというものです。アラバマ州ではすでに、中学校で女性として体育の授業を受けることを望むトランスジェンダー女子に対して性染色体の検査を義務付ける法案が通ってしまっています。

※マサチューセッツ総合病院のJack Turban氏らの研究から、第二次性徴抑制療法は比較的安全で、成人後の自殺リスクを大幅に低下させる可能性があることが明らかになっています。アメリカではトランスジェンダーの10人に4人が自殺を試みるという報告もありますが、思春期に第二次性徴抑制療法を希望して受けた人は、治療を望んだが受けられなかった人と比べて、生涯を通して自殺を考えるリスクが低く、過去1年以内に自殺を考えたリスクも大幅に低くなったことがわかりました。(Care Net「二次性徴抑制でトランスジェンダーの自殺リスクが低下か」より)
 
 人権団体Human Rights Campaign(HRC)とFreedom for All Americans Education Fundの協力を得てまとめられた書簡には、こう書かれています。
「私たちは、米国各地の州議会に提出されている法案について深く憂慮している。これらの法案は、LGBTQの人を個別に取り上げて(その多くは特にトランスジェンダーの若者を標的にしている)、排除したり差別的な扱いをしたりするものだ」
「これらの法案は、私たちの従業員やその家族にとっても有害で、彼らの機会を奪い、歓迎されていないと感じさせ、コミュニティにおけるリスクとなる」
「そのような法律が施行されている州で最も適した人材を採用するのは難しい」
「これらの法案は、こうした州にすでに居住している従業員の家族に大きな負担をかける可能性がある。差別を助長する法案は、その差別が職場で起こるかどうかに関係なく、われわれのビジネスに直接影響を及ぼす」
 そして、このような法案の採決をめぐり、州議員らに対し「廃案にするか、法案成立に反対する」よう求めています。

 アメリカの大手企業が合同で反LGBTQ法案に反対するのは今回が初めてではなく、2018年11月、アップルやグーグルなど50社超が合同で、トランプ政権のトランスジェンダー排除政策(性別の変更を禁じる法案)を非難する声明を発表しています。
 アップルは2017年2月にも、オバマ前大統領が公立学校でトランスジェンダーの生徒が自身の性自認と一致するトイレとロッカールームを使用することを認めた通達をトランプ政権が撤回したことに対して抗議声明を発表しています。
 また、2017年7月のトランプ大統領の「トランスジェンダー従軍禁止」発言に対しては、アップル、グーグル、フェイスブックなどが非難声明を発表しています。 

 
参考記事:
グーグル、アップル、アマゾンら米40社以上が反LGBTQ法案に抗議(CNET Japan)
https://japan.cnet.com/article/35150772/
AppleやGoogleなど米大手企業、連名で反LGBTQ法案に反対(iPhone Mania)
https://iphone-mania.jp/news-278254/
Alabama, Arizona bills targeting transgender youth spark state-targeted boycotts, divestments(The Washington Times)
https://www.washingtontimes.com/news/2020/mar/11/lgbtq-activists-businesses-line-up-against-anti-tr/

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