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40年以上連れ添った同性パートナーの火葬に立ち会えず、共同経営の会社も親族に奪われたのは不当だとする裁判で、二審の大阪高裁も原告の訴えを退けました

記事日付:2021/01/15

 死別した同性パートナー(当時75歳)の火葬への立ち会いを拒否され、二人で築きあげた財産を相続できなかったのは不当だとして、大阪府内の男性(72)が親族に慰謝料700万円の支払いと財産引き渡しを求めていた訴訟の控訴審(二審)判決が15日、大阪高裁で下され、石原稚也裁判長は男性の訴えを退けました。

 男性は1971年から、8歳上のパートナーと同居しており、お二人は男性が実質経営する事務所の収入で生活していました。名義としてはパートナーの方が事務所の代表になっていましたが、実質的には男性のほうが働いて生計を立てていました。死別後に互いに財産を残せるよう養子縁組する約束をしていましたが、手続きをする前の2016年3月にパートナーの方が心臓発作で急死しました。パートナーの親族の女性(妹)は、同居する二人の関係を理解していたように見えましたが、死亡後に態度が一変し、葬儀で家族席に座ることや火葬への立ち会いを拒否。夫婦のように長年連れ添ったことに対しても「何の意味もない」と一蹴、親族女性の代理人弁護士は「あなたには何の権利もない」と言い放ちました。そして、パートナー名義の通帳を持ち出したり、廃業通知を勝手に取引先に出したりして、事務所が継続できなくなり、男性は多大な精神的苦痛を受けました。男性は、パートナーの親族女性に対して慰謝料700万円の支払いとパートナーが生前に約束した財産の引き渡しも求め、大阪地裁に訴えを起こしました。
 昨年3月に一審判決が大阪地裁で下されましたが、倉地真寿美裁判長は、パートナーが同性愛者で男性と暮らしていたことを親族に隠していたと指摘し、親族は男性について「(パートナーが)雇用している従業員で、同居の居候と認識していた」とし、夫婦同様の関係にあると親族が認識していた証拠はなく、不法行為は成立しないと判断しました。男性側は、生前に財産贈与の合意があったとも主張したものの、倉地裁判長は「男性の供述以外に証拠がない」として、合意の成立を認めず、男性の訴えを退けました(詳細はこちら

 男性は控訴していましたが、今回の二審判決で、大阪高裁は一審の判決を支持し、男性の訴えを棄却しました。


 SNS上には失意や悲しみ、怒りの声が広がっています。
「胸が苦しくなる判決文」
「こんなひどい話ってある?」
「血も涙もない」
「怒り」
「人間として当たり前の心を持て、裁判所」
「45年のパートナーシップがそんな軽々に否定されていいのか。親族「パートナーだと思わなかった」、そんなん嘘に決まっとろ!」
「仮にパートナーじゃなかったとしても、45年一緒に暮らした人の火葬立ち会いを拒否するのってどうなんだろうって思うし、同性パートナーと気づいていたから拒否したのではと疑いたくもなる」
「世代的にもカミングアウトはなかなか難しかっただろうに。周りに家族だと「認識」されていたかどうかで、自分の・パートナーの人生が変えられてしまうってたまったもんじゃない」
「「パートナーないしは心理的に重要な人物(かな)と気づかなかった過失」についてどう判断しているのか」
「もしも自分自身がこの立場だったとしたら つらいなんて言葉では到底語れない」
「この事例があるから、家がないという人もいます。そのあとの人生、どのように生きたらいいのか」
「シロさんケンジも、春田牧も最後の瞬間に立ち会えないの辛すぎる」
「ここまで社会は、そして司法までも冷酷なのか。同性カップルがまるで法律の保護を受けられていない現実を政治はもっと深刻に受け取るべき」
「何の為の法律なんだろね。法が人を不幸にしてるのかな。それとも法を運用する人間が人を不幸にするのかな」
「日本が世界から尊敬されない理由のひとつ」

 
 日本は先進国であるはずなのに、同性カップルの権利を保障する法律がなく(同性パートナーシップ証明制度は法的効力はありません)、このような悲劇が繰り返されてきました。多くの同性カップルは世間のバッシングを恐れ、親族にもカミングアウトなどできず、このようにパートナーの死後に共有財産を親族に持って行かれ、路頭に迷うことになったとしても、泣き寝入りすることを余儀なくされてきました。今回、大阪の方が初めて訴えを起こしてくださって(その勇気に感謝している方が大勢いらっしゃるはずです)、ようやく、結婚できないことによる構造的な差別が当事者にとってどれだけ残酷なことか、という認識が世間にも共有されるようになったのではないでしょうか。
 ただパートナーが同性であるというだけで、なぜ、最愛の人を失ったうえに、火葬にも立ち会えず、財産を持って行かれるような、ひどい目に遭わなければいけないのでしょうか。この国はいったい、いつまでこのような悲劇を容認するのでしょうか。一日も早く同性婚が認められ、このような不平等(差別)が解消されるようになることを願ってやみません。
 
 
 
参考記事:
同性パートナーの火葬立ち会い拒否、2審も賠償認めず(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210115-OYT1T50191/

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