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性的指向を上司がアウティング、20代男性が労災申請へ

記事日付:2020/05/23

 5月23日、保険代理店の20代男性が、性的指向を上司から同僚に暴露(アウティング)され、精神疾患になったと訴え、労災申請することが明らかになりました。

 被害者の男性(Aさんとします)は2019年に営業職として入社し、入社面接で自身の性的指向を上司らに明かしたうえで「会社の同僚には自分のタイミングで伝えたい」と話していました。対象は正社員に限定したいとも伝えていたといいます。
 しかし、同年夏、一緒に働いていたパート女性がAさんを避けるようになりました。その後、飲み会の場で上司から、Aさんの性的指向を女性に教えていたと告げられました。会社への不信感が高まり、自殺も頭によぎったといいます。Aさんは友人の勧めで精神科を受診し、11月に精神疾患と診断されました。
 Aさんを支援する労働組合「総合サポートユニオン」とともにAさんが団体交渉したところ、会社側は、Aさんに確認せずに伝えたことを認めた一方、「職場で公にすることを望んでいると認識していた」と説明したそうです。会社は共同通信の取材に対し、「社員との間に一部認識の違いがあり、現在交渉していることは事実。問題解消に向けて真摯に話し会いを行う」と書面で回答したそうです。
 Aさんは、今回の暴露が「SOGIハラ」に当たると主張。残業代未払いもあったと訴えています。

 本人が望まない形で性的指向や性自認を暴露(アウティング)される被害は、2015年、一橋大法科大学院の男子学生が同級生にゲイであることを暴露され、大学の相談窓口でも適切な支援を受けられず、精神疾患が悪化し、校舎から転落死し、社会問題化しました。
 2019年、職場でのパワハラ防止を義務付ける関連法の成立に伴い、厚労省が指針を策定し、SOGIハラとアウティングもパワハラであると見なされ、SOGIハラおよびアウティングの防止もすべての企業に義務づけられることになりました。これは「措置義務」であり、もし対策を怠った場合、都道府県労働局による助言・指導・勧告等が行われることになります。

 今回の件は労災申請ですが、過去の性別変更を職場でアウティングされたトランス女性が勤務先を提訴したのをはじめ、アウティング被害に関する訴訟が何件も起こされています。
 この上司のように職場内でアウティングの深刻さを理解していない人がいて、アウティング被害が発生すると、訴訟、労災申請、労働局への申し立てなどにもつながります。あらゆる職場で、早急に、SOGIハラおよびアウティングの防止に向けた取り組みが望まれます。
 
社内でのLGBTに関する取組みに関してのコラム「社内LGBT施策とは」も参考にしてください。 
 

参考記事:
部下の性指向、上司が「暴露」 精神疾患訴え、労災申請へ(共同通信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200523-00000081-kyodonews-soci
性的指向を上司が「暴露」20代男性が労災申請へ(日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/general/news/202005230000375.html

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