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介護対象者の範囲の拡大を「同性パートナー」ではなく「同一の世帯に属する者」と定める都条例改正案に、同性パートナーを持つ都職員が抗議しました

記事日付:2020/12/04

 11月に東京都が都議会に提出した職員の介護休暇に関する条例の改正案について、同性パートナーを持つ都職員の方たちが東京都に抗議書面を提出しました。
 東京都では五輪に向けた人権尊重条例でLGBT差別を禁止していますが、未だに都として同性パートナーシップ証明制度も実現しておらず、都営住宅への入居も認めていません。昨年、同性パートナーを持つ都職員の方たちが都職員に対する各種福利厚生制度について婚姻関係(事実婚含む)にある職員と同等に認めるよう都人事委員会に改善を求めましたが、今年7月、この要求が却下され、批判の声が上がり、9月29日の都議会定例会で小池都知事がパートナーが同性である都職員にも慶弔休暇や介護休暇などを適用するよう「検討を進める」と回答していました。しかし、11月に都議会に提出された介護休暇に関する条例改正案には、介護対象者の範囲の拡大を「同性パートナー」ではなく、「同一の世帯に属する者」(ほとんど「同居人」と同義です)と書かれていました。実際の同性カップルは住民票上「同一世帯」としている方たちは少ないと見られ、実効性に乏しいだけでなく、この条例文では、東京都は同性パートナーを家族と認め、平等に扱うつもりがなく、逆に同性カップルをただの「同居人」だと貶め、尊厳を傷つけることにほかならないとして、今回、当事者の都職員の方たちが声を上げたのです。
 
 
 12月3日、都庁記者クラブで記者会見が開かれ、同性パートナーを持つ都職員の方3名(同性パートナーを持つ都職員への福利厚生の平等な適用を求めてきたTさんとSさん、そして公立学校の教員であるOさん)と、上川あや世田谷区議、代理人弁護士の上杉崇子氏が会見に臨みました。
 最初に、上杉弁護士から「抗議及び要望書」について説明がありました。
 
 「抗議及び要望書」は、11月30日に提出された「議員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」の改正案および「学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例」の改正案で同性のパートナーを要介護者に規定しなかったことに抗議するとともに、配偶者の定義を現行の「配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」から「配偶者(異性であるか同性であるかは問わず届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む)」に改めること、勤務時間、休日、休暇等に限らず、都職員の福利厚生に関する処遇の全般について、同性パートナーを持つ職員を婚姻関係(事実婚含む)と同等に扱うことを実現するような関係条例・規則の改正を求めるという趣旨です。
 都への質問として、以下の4つが挙げられました(受領後10日以内の回答を求めています)
①要介護者の範囲を拡大する本件改正案に、同性のパートナーを含めなかったのはなぜか
②改正案の「同一の世帯に属する者」※とは具体的にどのような者を意味するのか
③現行の「配偶者」には、届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含まれる。事実上婚姻関係と同様の事情にありながら現状、届出をしても婚姻が認められない同性カップルを「配偶者」に含めないのは、パートナーが同性である場合、保護の必要がないということか
④「配偶者」の定義に同性パートナーと謳うことをしなくとも同性パートナーを要介護者とする規定の仕方は可能であるにもかかわらず、それをしないのはなぜか

※世帯とは「住居及び生計を共にする者の集まりまたは独立して住居を維持し、もしくは独立して生計を営む単身者」のこと(厚労省の定義)。共に暮らしている同性カップルの多くは、住民票上は別世帯にしていると推測されます。同居はしていても財布は別々にしていることが多いでしょうし(住所が同じでも生計が独立していて2人ともが「世帯主」で届けた場合、別世帯です)、また、役所で同性カップルであるとカミングアウトすることのハードルの高さもあります。なお、この日の上川区議の説明によると、東京23区で同性カップルが同一世帯として認められない区はないそうですが、住民票に同一世帯であると記載する場合、1人は世帯主、もう1人の続柄は「同居人」になってしまうそうです(外国籍で同性婚している住民の場合、「縁故者」の表記が認められるそうです)
 
 論旨を要約すると、同性パートナーを要介護者に含める改正は容易であり、他の地方自治体及び民間企業・団体では職場の福利厚生制度について同性パートナーを持つ職員を婚姻関係(事実婚を含む)にある職員と同様に扱う動きが進んでいること、日本社会の国家的な労働施策基本方針においても職場における性的指向・性自認に関する正しい理解を促進することが明記されていること、小池都政のLGBTに関わる施策と大きく矛盾することなどからすれば、本件改正案に要介護者として同性パートナーを明示しなかったことは何ら正当な理由のないものであり、都が自ら掲げる人権尊重の理念の実現を目指す条例との矛盾が甚だしいと言わざるをえない、ということです(詳細はこちらをご覧ください)
 
 この後、Sさん、Tさん、Oさんが、今回の件について語りました。顔や氏名は公表できないものの、勇気をもって会見場に現れ、ゲイであるがゆえに世間から受け続けてきたいじめや差別について、またパートナーとの関係がいかにかけがえのないものであるかということについて、今回の条例改正案がどれだけ平等への思いを踏みにじるものであるかということについて、渾身のスピーチをしてくださいました(それは同性婚訴訟の原告の方の訴えとも重なります)。時に胸を詰まらせながら、自身の言葉、心からの思いを語る姿に、会場の記者のみなさんも真剣に耳を傾け、身につまされていたようでした。  
 こちらに全文が記載されておりますので、ぜひご覧ください。

 彼らの願いは、パートナーが同性である都職員も、介護休暇に限らず(千葉市や大阪府ですでに実施されているように)福利厚生制度全般について異性婚(事実婚含む)と平等に扱ってほしいということです。
 
 NHKによると、都側は、提出している条例の改正案を変更する予定はないと言っているそうです。彼らの訴えを聞き入れ、考えを改めていただけることを願います。
 
 

参考記事:
同性パートナーいる都職員が抗議(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201203/1000057057.html


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