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すべての企業や自治体がSOGIハラ・アウティング防止施策を義務付けられることとなりました

記事日付:2019/12/23

 2019年12月23日、厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会は、改正労働施策総合推進法に基づく「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(以下「指針」)を、約1ヶ月のパブリックコメント(意見募集)終了直後に諮問答申し、実質的に内容を確定させました(「労働側はいくつかの論点について課題が残る」とする意見を答申文に付しました)。指針では、性的指向・性自認(SOGI)に関するハラスメント(以下「SOGIハラ」)ならびにアウティングがパワハラであると見なされ、SOGIは個人情報やプライバシーであると明記されました。
 これにより、すべての企業等や自治体がSOGIハラ・アウティング防止施策の実施を義務付けられることとなりました(これは「措置義務」であり、もし対策を怠った場合、都道府県労働局による助言・指導・勧告等が行われることになります)
 
 LGBT法連合会は声明で「パブリックコメントを経てなお、本会が求めてきた点が修正されなかったことは遺憾であり、性的指向・性自認等による差別や偏見によって困難を抱える当事者等が生きいきと活躍できる社会の構築を支える指針としてはなお懸念が残る部分もある。しかしながら、企業等に取り組みの義務付けを求める初めての法制度として一定評価できる」としています。

 今回、指針にパワハラ防止施策として定められた措置義務の内容は、以下の通りですが、これらの措置がすべてSOGIハラおよびアウティングにも適用されることとなりました
(1) パワハラがあってはならない旨や懲戒規定を定め、周知・啓発すること
(2) 相談窓口を設置し周知するとともに、適切に相談対応できる体制を整備すること
(3) パワハラの相談申し出に対する事実関係の確認、被害者への配慮措置の適正実施、行為者への措置の適正実施、再発防止措置をそれぞれ講じること
(4) 相談者・行為者等のプライバシー保護措置とその周知、相談による不利益取り扱い禁止を定め周知・啓発すること
 
 なお、指針はSOGIの暴露(アウティング)がないよう周知・啓発することや、SOGIもプライバシー保護に含まれる旨を特記しました。各企業等や自治体は、2020年6月以降(中小企業等は2022年4月以降)の措置の実施が義務づけられています。
 また、いわゆるカスタマーハラスメントや、就活生・インターンシップ生・フリーランス等へのハラスメントについても、上記の(1)〜(4)の取組みを行うことが望ましいとされましたが、これらにもSOGIハラ・アウティングの防止が含まれることとなります。
 なお、法の履行確保のため、都道府県労働局による助言・指導・勧告等の規定も整備されました
 
 今回の指針は、SOGIに関する国の取り組みとして、初めて法を背景とした取組みの義務付けを求めるものです。全国各地の職場において、順次、必要な規定等を整備し、周知・啓発、相談窓口の設置等が義務付けられることになったのは、職場でのSOGIに関する困難の解決に向けた法整備を求める運動における画期的な前進であると言えます。
 ただし、指針には、国会答弁にあった、SOGIを理由とする仕事からの排除(例えば、同性愛者であることを理由に接客の仕事から外されるなど)は明記されませんでした。また、従来から厚労省が周知している「交際相手を執拗に尋ねる」などもSOGIに関連づけた記載として明記されていません。加えて、周囲に当事者がいないと思って差別発言をしたケースがパワハラの対象とならないなど、カミングアウトの有無によってパワハラに該当するか否かが左右されるという問題は、パブリックコメントでも改善を求める声が多かったにも関わらず、修正がなされなかったそうです。
 この点についてLGBT法連合会は、「極めて遺憾と言わざるをえない」としながらも、「職場において、法の対象者と非対象者を分けて啓発等の防止措置を行うことは現実的ではなく、どのようなSOGIハラも予防していくことが必要である。指針で十分に盛り込まれなかった国会等で指摘された事項については、今後設けられるであろう解釈通達等に盛り込まれるのか、それらを通じて実効性ある制度につながるのか否かを、当会は引き続き注視していく」とコメントしています。
「LGBT法連合会は、1日も早いSOGIハラやアウティングの根絶に向け、事業者や自治体への指針の定着に向けて、賛同団体を含めた各関係団体と、法制度の内容を今一度確認して周知に努め、連携を図りながら取り組みを進めていく。また、今回の法制度の対象とならない、労働以外の分野におけるハラスメントや、差別的な職場異動や退職勧奨、解雇などの、いわゆる差別的取扱いへの対策に向けて、領域を問わない差別禁止法の制定を2020年に向けて強力に求めていきたい」

 
参考記事:
【声明】「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」の諮問答申に対する声明(LGBT法連合会)
http://lgbtetc.jp/news/1660/?fbclid=IwAR3eBWhHRHPouTY4OjOjis-dKCugqmLkl7C3CoG6m2d1jdTvdR6L__Y4FMo
だれもが職場で加害者にも被害者にもなりうる「SOGIハラ」とは?厚労省「パワハラ防止指針」を採択(Yahoo!ニュース)
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20191223-00155941

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