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「夫」の文字が二重線で消され…「家族として認めてほしい」と大村市のカップル

 同性パートナーの移転費不支給の取消しを求め大村市の同性カップルが提訴とのニュースでお伝えしていたように、大村市の松浦慶太さん&藤山裕太郎さんが、事実婚カップルにも認めている雇用保険の移転費を同性カップルには認めない国の対応が違法だとして、処分取消しなどを求めている裁判が始まり、9月8日、第一回口頭弁論が長崎地裁で開かれました。お二人は「制度には同性カップルの排除規定は存在せず、法解釈を誤っている」と訴えました。


 長崎県大村市に住む松浦慶太さんは昨年5月、全国で初めて、続柄が事実婚と同じ「夫(未届)」と記載された住民票の交付を受けました。松浦さんはハローワークなどの紹介で就職し、引っ越しをする際に、藤山さんを親族として申請しましたが、本人や親族に支給される雇用保険の移転費が、「民法で同性婚が認められていない」などとして支給されませんでした。このため二人は、不支給処分の取消しのほか、藤山さんを親族と認めて移転費を支給することなどを求め、長崎地裁に提訴しました。

 9月8日に長崎地裁で開かれた第一回口頭弁論。裁判所には10人以上の支援者が集まり、開廷前に集会を開き「頑張れ」と声援を上げる場面も見られました。
 意見陳述で松浦さんは「13歳で自分が同性愛者だと自覚したとき、将来に明るいイメージや希望が全く持てませんでした。そのような絶望をほかの当事者や次世代の人たちに味わわせたくありません。移転費の支給はその第一歩」「雇用保険業取扱要領には同性カップルを排除する規定がない。事実婚関係を認めないのは、正当な判断なのか」と、藤山さんは不支給の決定を受けた際、申請書類に記入した「夫」という文字が二重線で消されていたことを明かし、「私たちが家族であることまで消されたように感じました。どうか、私たちが家族であるということを当たり前に尊重される社会になるよう、訴えを受け止めてほしい」と訴えました。一方 国側は、請求を棄却するよう求めて争う姿勢を示しました。

 記者会見で松浦さんは「僕たちは紛れもなく事実婚のカップルです。国だけが認めてくれていないんです。その根拠が一体何なのか問うていきたいと思っております」「親族として認められないことが精神的苦痛を伴うことだと、国にわかってほしい」「安心して生活を送りたいだけ、それだけなんですよね。そのためには国に僕たちの関係を事実婚関係だと、事実を認めてもらうこと、そのことを求めています」と、藤山さんは「社会保障制度から漏れている同性カップルやLGBTQの人が多いなか、自分たちが裁判で戦って風穴を開けていきたい」と語りました。

 次回の口頭弁論は、11月26日に開かれる予定です。



参考記事:
長崎 同性パートナー移転費支給せず 取り消し訴訟 裁判開始(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20250908/5030025265.html
「社会保障で漏れている人たちのなにかひとつになればいいなと」同性パートナー“移転費”めぐる訴訟 第1回口頭弁論(長崎放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/2157503
同性カップル「法解釈を誤っている」雇用保険の“移転費”巡る訴訟 国は請求棄却求め争う姿勢(長崎国際テレビ)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/2157503
大村の同性カップル パートナーの移転費支給めぐる裁判始まる「親族と認められない精神的苦痛わかって」(テレビ長崎)
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20250908007

同性カップル「排除」と反発 移転費訴訟初弁論、国は棄却要求(共同通信)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/434364
「排除、突きつけられた」 移転費めぐる訴訟、同性カップルが陳述(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST982J8KT98TOLB00GM.html

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