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同性パートナーの移転費不支給の取消しを求め、大村市のカップルが提訴
こちらのニュースでもお伝えしていたように、就職のために引っ越し、雇用保険法に基づいて「移転費」の支給を申請した同性カップルが、(事実婚カップルには認めるのに)パートナー分の支給を認めなかったハローワークの処分を不服として、6月27日、長崎地裁に提訴しました。
「移転費」とは、雇用保険受給者が職業に就くため、または公共職業訓練等を受講するために住居を変更する場合に支給される費用です。結婚している人が親族を伴って住居を変更する場合、その親族分の費用も支給される仕組みで、異性の事実婚カップルも対象に含まれています。しかし、2024年に大村市に転居し、住民票の続柄を事実婚夫婦と同じ「夫(未届)」という表記にしてもらうという画期的な対応を認められた松浦慶太さんは、パートナーの藤山裕太郎さんの分の移転費を申請したものの、今年1月、厚労省が「同性パートナーは親族と認められない」として申請を却下したため、判断を不服として審査請求(行政庁の処分や不作為に不服がある場合に行政庁に対して不服を申し立てる手続)を行ないました。4月25日、長崎労働局は、「同性パートナーが親族に含まれないという解釈は、以前から全国で統一されている解釈である。処分に妥当性を欠く点はない」とし、この審査請求を棄却しました。
これを受けて、松浦さんと藤山さんのお二人は「同性カップルも異性のカップルと同じように扱ってほしい」として、国に処分の取消しや慰謝料の支払いを求め、提訴を決意しました。
27日の記者会見で松浦さんは「異性のカップルと同じ書類を出していてなんで断られるんだろうと、その疑問でいっぱいでした」「同性カップルにはまだ制度上の壁があるので、世論に喚起したいと思って提訴に踏み切った。声を上げられない当事者のためにも、頑張っていきたい」と、藤山さんは「同じように生活しているのに社会保障から省かれているということがすごく悲しい思い」「自分たちと同じLGBTQの人たちが同じことにならないように今回の裁判に挑む」と語りました。また、お二人はこの日、事実婚と同じ「夫(未届)」の続柄が記された大村市発行の住民票も証拠として提出したといい、「大変なこともあるけれど、ありがたいこともたくさんある」と、これまで支えてくれた方たちへの感謝を何度も述べたそうです。
代理人の中川拓弁護士は「雇用保険法と同様の規定は他の社会保障関連法にも多くある。今回の訴訟を、同性カップルが社会保障を受けられるようにする突破口としたい」と語りました。
長崎労働局職業安定課の担当者は取材に対し「訴状が届いておらず、コメントできない」と、ハローワークを所管する厚生労働省雇用保険課は「現時点で訴状が届いていない。個別の事案について回答することはできない」と話しているそうです。
参考記事:
長崎 同性パートナーの移転費不支給 取り消しなど求め国を提訴(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250627/k10014846691000.html
「同性パートナー」の就職時の移転費を国が不支給 処分取り消しと慰謝料求めて提訴(テレビ長崎)
https://www.fnn.jp/articles/-/893665
大村市の同性カップルが移転費不支給をめぐり国を提訴(長崎文化放送)
https://www.ncctv.co.jp/news/article/15869553
大村市の同性カップルが国を提訴 雇用保険“移転費”の親族分不支給の取り消し求める(長崎国際テレビ)
https://news.ntv.co.jp/n/nib/category/society/ni3d07f78d37dc4dbb929ad84ddf97862c
長崎・大村の同性カップル 就労目的「移転費」不支給で国提訴(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250627/k00/00m/040/359000c
雇用保険の移転費「同性カップルも支給を」 不支給取り消し求め提訴(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST6W33GPT6WTOLB002M.html
長崎・大村市の男性カップル、法的な壁「挑みたい」 移転費不支給巡り国提訴後に会見(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/item/1369831/
長崎・大村の同性カップルが国を提訴 パートナー分の就労移転費の不支給「違法」(長崎新聞)
https://nordot.app/1311516059778761371?c=39546741839462401