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トランスジェンダーは「“伝染”する」「“治療”できる」と述べた那覇市議に抗議の声

  性の多様性を否定する那覇市議が当事者の児童生徒数を議会で質問…アウティングの懸念や抗議の声とのニュースでお伝えしていた那覇市の和田圭子市議が、メディア報道や市民の抗議の声にもかかわらず、12日の市議会で市内の小中学校に通うトランスジェンダーの児童生徒数について質問し、そのなかで、まるでLGBT教育によってトランスジェンダーが増える("伝染"する)とか“治療”できるかのような発言があり、多方面から批判の声が上がっています。


 和田圭子市議は12日、那覇市議会九月定例会の一般質問で、通告通り、市内の小中学校に通うトランスジェンダーの児童生徒数について質問しました。
 那覇市教育委員会の比嘉真一郎学校教育部長は「本市立小中学校において、トランスジェンダーの児童生徒の人数に関しては、プライバシー保護の観点から、調査を行っておりません」と答えました。
 和田市議は続いて、学校でのLGBT教育について「学校でLGBT教育を行うこと自体が、トランスジェンダーを増やすことにつながる可能性があるということ。トランスジェンダーの生徒に対して必要な対応は心の性別に基づく配慮よりも、心の傷を治療できる心理士を紹介したり、配置して対応してもらうことではないかということです」と述べました。

 先日のニュースでもお伝えしたように、和田市議に対し、市役所前で市民団体や当事者の方たちが抗議行動を行ないました。
 沖縄タイムスの取材によると、抗議する方からは「議会で、公の場でこういう発言をされるということで、どれだけ深く傷つくか想像できない人なんだなと思いました」「子どもたちに必要なことは『支援ではなく治療』という話や、伝染するような科学に基づかない発言が出ていたのがすごくショックですし、怖いことだなと思います」と話していました。

 ピンクドット沖縄は13日、「トランスジェンダーを含むLGBTQ+当事者に対する偏見と差別を助長する」として抗議声明を発表しました。

 沖縄タイムスは社説で「不確かな情報に基づき、多様な性の在り方を否定する質問が、民意を代表する議場の真ん中で繰り広げられた。児童生徒が安心して学ぶ環境をも脅かしかねず、極めて憂慮すべき事態だ」として和田市議の発言を批判しています。「和田氏は、ある米国人の主張を紹介する中でトランスジェンダーが「伝染する」との認識も示した。個人の性の在り方について「伝染」という言葉を平気で使うことにも驚く」「和田氏は「差別ではない」とするが、これが差別でなくて何なのか」「議会の自浄作用も問われる」「多様性の否定は当事者の偏見や差別につながり、社会の分断を生む。これまで積み重ねてきた取り組みを後退させることなく、一層強化することが求められる」

 琉球新報も同様に、社説で「トランスジェンダーを病気と見なすような発言は、明らかな差別である。和田氏の一連の認識に科学的な根拠はなく、性的少数者(LGBTQ)に対する社会的偏見を助長することが危惧される」と批判しました。「当事者に配慮のない質問や発言が議場で発せられたことに驚がくする。那覇市は15年に「性の多様性を尊重する都市・なは(レインボーなは)」を宣言している。和田氏も市議の一人であれば、市施策への理解が必要だ」




参考記事:
トランスジェンダー「伝染する」 参政党・和田圭子那覇市議が発言(共同通信)
https://www.47news.jp/13150648.html

「トランスジェンダーの生徒に必要な対応は心の傷を“治療”できる心理士の紹介」トップ当選の那覇市議が性の多様性否定する発言(琉球放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2168299

参政・和田那覇市議の差別発言「LGBTQ当事者への偏見を助長する」 ピンクドット沖縄が抗議(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1670006

[社説]和田氏の差別質問 人権脅かす発言許すな(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1669589

<社説>和田市議の差別発言 「伝染」撤回と謝罪求める(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-4613466.html

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