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スポーツ団体への調査でLGBTQに関する相談窓口を設置しているのは2割と判明

 プライドハウス東京の調査で、国内で活動するスポーツ団体のうち、LGBTQ(性的少数者)に関する相談窓口を設置している団体は2割にとどまることが明らかになりました。29日の記者会見では「相談できる組織の仕組みや風土が整っていない」と指摘され、体制整備に向けた指標づくりの必要性が強調されました。

 
 調査はNPO法人プライドハウス東京などで構成される実行委員会が実施したもので、2025年3~4月、競技団体やプロスポーツリーグ、プロスポーツチームなど約60団体を対象にオンラインでアンケートを実施し、31団体の担当者から有効回答を得ました。
 選手や職員、指導者らがLGBTQに関して相談や要望を伝えてきたことがあるか尋ねたところ、「時々ある」が30%でした。
 一方、選手や職員、保護者らがLGBTQなどについて相談できる窓口の有無を尋ねたところ「設置していない」が73%に上りました。「設置している」が20%、「その他」が7%でした。
 LGBTQ差別禁止の方針は、「ある」が20%、「ない」が63%、「人権などに関する全体の方針の中で言及されている」が10%、「その他」が7%でした。
 DEIの推進体制について、専任または兼任の担当部署・担当者が「ある・いる」が43%、「ない・いない」が50%、「その他」が7%でした。
 女性役員の割合については半数が1割未満だったそうです。
 LGBTQへの取組みの必要性を感じるかどうかについては「大変ある」「どちらかといえばある」を合わせ、66%となりました。
 
 都内で開かれた記者会見に臨んだ成城大スポーツとジェンダー平等国際研究センターの野口亜弥副センター長は、「相談ができる組織の仕組みが整っていないことが予想される。自分の可能性をスポーツで広げることが許されていない環境だと言え、LGBTQなどへの理解促進や支援の取組みを啓発していく必要性がある」「啓発するだけでなく、組織自体が変わっていくことが重要」と指摘しました。
 また、実行委員をつとめるEY Japanの梅田恵ディレクターは、スポーツ界の現状を「20年くらい前のビジネス界のダイバーシティーの状況だと感じた」と語り、「カミングアウトすると生産性が15%上がるという調査もある。DEIへの取組み状況は、企業がチームのスポンサーになるかどうかを決める指標にもなる」と話しました。
 
 実行委は調査結果を踏まえ、スポーツ団体の相談体制の設置状況や規定の有無などを評価項目とする「スポーツ版プライド指標」を策定し、11月に公表する方針です。

 



参考記事:
LGBTQの相談窓口 国内のスポーツ団体 7割余が設置せず(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250529/k10014820051000.html
性的少数者の窓口、7割なし プロスポーツ団体など調査(時事通信)
https://sp.m.jiji.com/article/show/3527900
スポーツ団体のLGBTQ相談窓口設置は2割 NPO調査(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20250529/k00/00m/040/323000c

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