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仙台で同性婚家事審判を申し立てている小浜さんのパートナーが倒れ、脳に障害が…「家裁は早く動いてください」
昨年2月14日、仙台市が婚姻届を受理しないのは幸福追求権を保障した憲法13条に違反するなどとして同市在住の小浜耕治さん(62歳)とそのパートナーの方が仙台家裁に家事審判を申し立てました。河北新報によると、小浜さん側は書面を出し終えたものの、パートナーの方(小浜さんより10歳以上年上)が3月、病に倒れ、脳に障害が残り、自由に体を動かしたり話したりすることが難しくなったといい、早期の判断が求められる事態となりました。お二人は司法判断の確定期間の短さを優先して訴訟ではなく家事審判を選び、「私たちはもう待てない」との文言を掲げています。
たびたびお伝えしているように、「結婚の自由をすべての人に」訴訟は全国5箇所の高裁で明確な違憲判決が出ており(福岡高裁では憲法13条に違反するとの判決も出ています)、この後、最高裁でも違憲判決が出ることは間違いないと見られます。仙台家裁も、こうした状況に鑑み、なるべく早く、適切な判断を示してくださることを期待します。
5高裁で違憲判決が続くという極めて異例の事態になっているにもかかわらず、政府は「注視する」とのコメントを発するのみで、同性婚の法制化に向けた動きが一向に進まない状況ですが、ここにきて国会では、野党を中心に、同性婚実現を訴える声がたくさん上がっています。
共同通信によると、21日の参院憲法審査会で何人もの議員が声を上げました。打越さく良議員(立民)は、同性婚や選択的夫婦別姓へ賛成が多数の世論調査を紹介し、「望まれる諸制度の実現を先送りすべきでない。認めれば社会の幸せは確実に増える」と述べました。平木大作議員(公明)は、高裁で違憲判決が相次いでいることを取り上げ「立法不作為により、個人の尊厳に関わる問題を放置していいはずがない」と指摘、仁比聡平議員(共産)も「特定の家族観を押し付けて当事者を苦しめ続けることは許されない」と述べました。
20日の参院法務委員会では、福島みずほ議員(社民)が鈴木法相に同性婚を認めることのメリットをどう思うかと質問し、鈴木法相は、認められないことで負担を感じている人がいることは承知しているが、親族の範囲やどのような権利義務関係を認めるかといったことは国民生活の基本に関わるものであり、国民一人一人の家族観と密接に関わるため、国会における議論の状況等も含めて注視をしていきたいといった(これまで繰り返されてきたような)答弁をしました。竹内民事局長も「親子関係のあり方については十分な検討が必要となるのではないか」と話し、福島議員は「なぜ全ての検討が終わらない限り結婚届け出せないんですか。法定相続人になれない、税制上の特典がない、赤の他人、配偶者ビザが出ない、もう本当に大変なんですよ。選択的夫婦別姓と同性婚、私は何で人が幸せになることを阻むのかがわからないんです。幸せになる人が増えるだけなんですよ。それを今、全部議論しない限り、あなたの幸せは実現しません。法制度が阻んでるんですよ」と追及。鈴木法相は、ご指摘の趣旨は理解しているつもりだが、一方で、それぞれの制度について、極めて真剣な懸念を持っている方がいるのも事実、これについては立法府の中でしっかりと議論を深めていただきたいし、最終的には国民の皆様方が決めるということかと思う、と答えました。福島議員は「同性愛の人たちが何とかしてくれって叫んでいる。何でそれを無視してお前たちの幸せは 全部検討するまで実現しない、懸念があるって言うんですか」「人が結婚することを幸せになることを邪魔するような国会だったらこの日本沈没しますよ。変えましょうよ」と述べました。(参議院インターネット審議中継で審議の内容をご覧いただけます。また、こちらで文字起こしをしてくださっている方の投稿もご覧いただけます)
社会学者の古市憲寿氏は12日、Xで「『選択的夫婦別姓に反対』『同性婚に反対』『ライドシェア反対』とか、一部の人の思想や利権を守るための政治って何なのかなと思う」と投稿しました。「社会保障とか、年金とか、『誰かを守ると誰かが損をする』ような社会改革が論争になるのは仕方ない。古今東西、資源分配ってのは揉めるものだから。だけど選択的夫婦別姓とか同性婚とか、ライドシェアとかは、それが解禁されたことで、不利益をこうむるひとはほとんどいないよね。そんなイッシューに関して、長々と議論する意味が本当にわからない」「日本で選択的夫婦別姓や同性婚ができるようになったとして、幸福度があがるひとはたくさんいるだろう。少なくとも何十万人、何百万人単位でいる。だけど、それによって耐え難い苦痛を感じるひとはどれだけいるのか。自分の人生に全く関係ないひとの選択肢が増えることで、不幸になるって、どんだけ性格が悪いんだって思うよね笑」「もしそれで日本の伝統が崩れるとかいうなら、勝手に自分の信じる伝統にのっとった生活でもしていればいい(いつの時代に戻りたいか知らないが、そしたら苗字も持てなくなりそう)。逆に僕も、そういうひとの生活を止めようなんて思わない。生き方はみんな自由。誰かの自由に干渉できるのは、自衛のためだけ。近代の自由な社会の大原則」
先日の「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟のニュースでお伝えしたように、また、平木議員も指摘しているように、これだけ違憲判決が続く異例の状況になっているにもかかわらず国が同性婚を法制化しないのは「立法不作為(国会が法律を制定すべき義務を怠り、その結果国民に損害が生じた状態)」だと言え、国家賠償請求すらありえるのではないかと言われるようになってきています。慶應義塾大の駒村圭吾教授(憲法学)も「すでに違憲は明白であり、長期間是正されずにいるのだから、国賠法に基づく違法も認められるべき」との意見書を東京高裁に提出しています。東京高裁の判決は11月28日です。もしかしたら初めて、立法不作為による国家賠償請求という判決が下るかもしれません。
参考記事:
パートナーが脳に障害残り入院、同性婚の家事審判「早く動いて」申立人男性に焦燥感(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20250525khn000040.html
自民、参院の「合区」解消を主張 憲法審、立・公は同性婚実現訴え(共同通信)
https://nordot.app/1297868247770169734?c=302675738515047521?c=302675738515047521
古市憲寿氏 選択的夫婦別姓や同性婚への反対に疑問「一部の人の思想や利権を守るための政治って…」(スポニチアネックス)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2025/05/12/kiji/20250512s00041000162000c.html