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トランス女性の受刑者に丸刈りを強制するのは人権侵害だと大阪弁護士会が勧告

 トランス女性の受刑者が刑務所で丸刈りにされたのは人権侵害に当たるとして、大阪弁護士会が11日、法務省に改善の勧告を行なったことを発表しました。


 大阪弁護士会によると、この受刑者は豊胸や睾丸摘出手術を受けているトランス女性です(性同一性障害特例法の規定により、戸籍上の性別は変更できていません)。2018年4月、収容先の大阪刑務所で、伸ばしていた髪を短くするよう言われて丸刈りにされました。
 法務省は刑事施設の収容者の髪形を定めた訓令で、男性は「原則として2ミリか、1・6センチに刈る」とし、女性は「華美にわたることなく、清楚な髪形」としています。
 8日付で大阪弁護士会が出した勧告は、「男性受刑者に女性と同程度の髪形の自由を認めても、刑事施設の規律や秩序の維持を妨げるとは認められない」と指摘したうえで、髪形の自由は憲法で保障された自己決定権の一つで、今回の受刑者が男性の髪形を強制される屈辱感や精神的苦痛は大きいとし、訓令の規定を改めるよう求めるものでした。
 大阪弁護士会の高江俊名副会長は11日の会見で「そもそも男女問わず、男性受刑者であっても丸刈りにされることが問題ではないか。規定そのものが人権侵害だと勧告をした」と語りました。
 
 また、同じ受刑者に対し、大阪拘置所が2021年、男性の収容エリアの居室に入れた上で、他の収容者から居室内が見えないよう窓に覆いを付ける一方、居室内に監視カメラを設置していたとし、プライバシー権の侵害にあたると認定しました。
 法務省の2011年の通知に基づく対応で、同拘置所は調査に対し、「職員が居室内を確認するのが難しくなったため」「職員によるわいせつ行為がないことを確認するため」と説明しましたが、大阪弁護士会は「他の方法でも対応できる」として、同省には通知の修正を、拘置所には対応の改善を求めました。


 受刑者の髪型をめぐる勧告や警告は、2023年には少なくとも兵庫県岐阜県などで3件出されています。今年1月にも広島弁護士会が、トランス女性の受刑者に丸刈りを強要した刑務支所の対応は人権侵害だと勧告しています。
 最高裁は、性別が「個人の人格的な生存と密接かつ不可分のもの」であるとし、「個人が自認する性別に即した社会生活を送ることは、重要な法的利益である」と述べています。受刑者だからといって自認する性別を無視した扱い(ミスジェンダリングといいます)をされるいわれはないはずです。
 
 また、大阪弁護士会の高江副会長も述べているように、そもそも男性なら丸刈りにされてよいのか、という話でもあります。丸刈りを強要することは性別を問わず、あらゆる場所で、いかなる場合も人権侵害だとの認識が広まり、「髪形の自由」が保障されるようになることを期待します。
  

参考記事:
戸籍は男性、女性自認の受刑者に「丸刈り」は人権侵害 大阪弁護士会が法務大臣に勧告(ABC)
https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_24597.html
“性自認が女性の受刑者への短髪強制は人権侵害”大阪弁護士会が法務大臣に髪型規定を改めるよう勧告 訓令では「男性受刑者は全体を2mmまたは16mmに刈り上げ」(MBSニュース)
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20240312/GE00056040.shtml
性自認が女性の受刑者に短髪強制は「人権侵害」 大阪弁護士会が勧告(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS3C4CXTS3CPTIL005.html
女性自認の受刑者に丸刈り強制は人権侵害 弁護士会が法相に勧告(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20240311/k00/00m/040/249000c

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