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「同性愛は依存症」冊子配布を受けて「撤回して」「差別を止めて」と求める抗議集会が行なわれました

 自民党の国会議員が参加した神道政治連盟国会議員懇談会の会合で「同性愛は精神障害で依存症」などと記された冊子が議員によって配布されていた事件について7月4日、自民党本部前で抗議集会が行なわれ、約450名の方々が集まり、レインボーフラッグやプラカードを掲げ、次々にマイクでスピーチを行ないました。



 2018年の杉田議員の「“生産性”がない」発言への抗議集会や、昨年の「種の保存に反する」「道徳的に認められない」などの差別発言への抗議集会の時と同様、(広場ではないため)参加者のみなさんは歩道に長く列を作り、それぞれにレインボーフラッグや「差別冊子に抗議します」「同じ尊厳を」などのメッセージを掲げました。そして、次々にマイクスピーチが行なわれ、「LGBTQ差別をやめて」「冊子の内容を撤回して」と声を合わせる場面もあり、熱い集会となりました。
 
 今回の問題を最初に書いた松岡宗嗣さんは、「今回冊子を読んで驚愕しました。いつまでこんなに非論理的でめちゃくちゃな考えによって私たちは差別され続けなければならないのでしょうか。同性愛は精神障害や依存症ではありません。端的に誤った考えです。治療するという考え方は、端的に暴力であり、人権侵害です」と訴えました。
 
 発起人で当事者でもあるアンドロメダさんは「私は特別な人ではありませんが、あの50年前にタイムスリップしたような記事を読んで眠れなくなり、私の愛するコミュニティが嘘で攻撃されたように感じ、何かしようと思い、デモを立ち上げました」「私たちのコミュニティには苦しみ、自殺を考える人もいます。私自身、高校生のときに両親にカムアウトし、悪魔がいるから取り出さなくてはいけないと言われ、絶望しました」「冊子の表現は許せない。あの言葉は、武器です。嘘を広めるための武器。LGBTQコミュニティは、その言葉に対して立ち上がらなければいけません。声をあげましょう。私たちが生きる権利のために」と訴えました。

 和歌山や京都のパレードでライブを披露していたシンガーソングライターのKOTFE(勝山こうへい)さんと、KANEさんのカップルもスピーチしました。KANEさんは涙を流しながら、「あまりにもひどすぎて、胸をナイフで刺されるような感覚でした。自殺率が高いのは差別が原因ではなく、自身のせいだと書いてありました。当事者本人の問題ではありません。自殺を考えた当事者の友人は、周りにも多いです。僕自身も考えたことがあります。異常な存在としている社会の問題です」「ただ僕は、この場で、こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが――生まれ変わっても、ゲイには生まれたくありません。もう二度と、こんなつらい経験はしたくありません。アイデンティティを否定され続ける人生です。そんな思いをする社会にしないでください。苦しんでる当事者を追い詰める社会にしないでください。お願いします」と訴えました。
 
 YouTuberのかずえちゃんは、レインボーフラッグを背負って、福井から駆けつけました。「今日ここに来たくても来れない人がいっぱいいた。そんなみんなの声を、旗に手書きして、フラッグを2枚、持ってきました。小学校5年生の頃に、周りと違って、男の子に目がいってるっって気づいて、子ども心に「バレてはダメだ」と否定してましたた。あれから30年経って、YouTubeをやるようになって、前と変わってないと思います。同じ思いをしている子たちからいっぱいメッセージが来ます。悲しくなります」「差別って、当事者だけじゃなく、家族や、先生や、みんなが傷つくんです。今回、小学校の先生や、子どもがゲイという親の方から、私も差別されてるんですか?とメッセージが来て、ショックだったし、本当に涙が出ました」「行動することって大切だし、おかしいことはおかしいって言わないとダメだとすごく感じます」
 
 そのほか、TransGenderJapanの畑野とまとさん、浅沼智也さん、村田しゅんいちさん、「ふたりぱぱ」のみっつんさん、性教育などについて発信しているドラァグクイーンのラビアナさん、石川大我参議院議員、実業家で昨年2月にゲイであることをカムアウトした斎木陽平さん、トランスジェンダーで元新宿区議のよだかれんさん、トランスジェンダーの権利回復を訴えるデモを主催している頼(たのみ)さん、昨年の「0606LGBT新法制定を求めるハチ公前連帯集会」でも素敵なスピーチをしていたKotetsu Nakazatoさんなども熱いスピーチを行ないました。野村恒平さんは、全国のろうLGBTの各団体からのメッセージを手話で伝えました。参加できなかったもののメッセージを寄せてくださった方もいて、何人かのメッセージも代読されました。
 
 TBSのニュースによると、関西地方から駆けつけた方もいて、「7時間ほど車で運転してきたのでかかったんですけど、自分も声をあげないと何も変わらないと思って。その(冊子の)内容を見て、もし本当に真に受けている議員さんたちが政治を握ってるんだとしたら、そんな世の中で子どもたちが未来なんか見えるはずないと思って、すごくショックを受けました」と語っていたそうです。
  

 東京だけでなく、全国各地から、450名を超える方々が、集まりました。
 あのような非科学的で誤謬に満ちた、悪意すら感じられる差別的言説が政権与党の議員の間で流布されていることにショックを受け、憤りを覚えていたときに、アンドロメダさんたちが立ち上がり、こうして抗議の場を設けてくださったことに感謝した方はとても多いはずです(札幌沖縄でも同様の抗議集会が行なわれることになったそうです)。また、たくさんの方が集まり、連帯し、声を上げる姿に、「わたしは独りじゃない」と救われる気持ちになった方もいらしたことでしょう。
 どなたかもおっしゃっていたように、以前に比べて声を上げる方がとても多くなっていること、こうして若い方が抗議集会を主催するようにもなっていることは、希望です。PRIDEとはこういうことです。
 
 

 
参考記事:
自民党前でLGBT当事者ら抗議 「同性愛は依存症」冊子に「差別やめて」(TBSテレビ)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/86904
冊子は「人権じゅうりん」と抗議 LGBT団体、自民会合で配布(共同通信)
https://nordot.app/916635334166036480?c=39546741839462401
「非論理的」「許せない」自民会合配布のLGBT差別冊子に抗議デモ(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220704/k00/00m/040/266000c
LGBTQ当事者らが自民党本部前で抗議「差別やめろ」「平等な権利を」 党議員参加会合での差別文書配布で(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/187568

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