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日本のコカ・コーラシステムが「LGBTQ+アライのためのハンドブック」を無償公開

 日本コカ・コーラ株式会社と全国5社のボトリング会社等で構成されるコカ・コーラシステムは、多様性の尊重に関する取組みの一環として、「LGBTQ+アライのためのハンドブック」を策定し、一斉導入しました。今後、全国約2万人の日本のコカ・コーラシステムの従業員に配布される予定です。また、このハンドブックは日本コカ・コーラの企業サイトでも全内容が公開されており、LGBTQ+への理解促進を検討するあらゆる企業・団体が無償でご活用いただけます(簡単なアンケートにご回答いただいた後、冊子のダウンロードができます)

 
 日本のコカ・コーラシステムはサスティナビリティーフレームワークの一つに「多様性の尊重(Inclusion)」を掲げ、「ジェンダー」「年齢/世代」「障がい者支援」「LGBTQ」の分野において各種取組みを推進しています。なかでも「LGBTQ」においては、昨年5月にシステム全6社において、戸籍上同性のパートナーにも対応した福利厚生および就業規則の整備を完了しています(詳細はこちら)。昨年11月には、PRIDE指標2021においてゴールドを受賞、また2022年4月には東京レインボープライドに協賛しています。
 2020年に日系大手企業を含む全134社が「Business for Marriage Equality」を通じて婚姻平等への賛同を表明した際は、コカ・コーラの人事本部 デピュティ シニアバイスプレジデント(当時)のパトリック・ジョーダン氏が、自身がゲイであり、家族に恥ずかしい思いをさせてはいけないと16歳の時に自殺を考えたという経験を明かしながら、「そのような思いは、誰一人味わうべきではない」と語り、「当事者のウェルビーイングやメンタルヘルス、安心して過ごせる環境づくりのためにも、日本における婚姻平等が実現し、法制度で守られることが必要だし、そのために企業も応援してほしい」と述べていました(詳細はこちら

 今回リリースされた「LGBTQ+アライのためのハンドブック」は、日本コカ・コーラ株式会社サスティナビリティー推進部と人事部、5社のボトラー社が共同し、プライドハウス東京の監修を受けて制作されたものです。LGBTQ+についての基本的な解説や、過去の歴史、世界と日本の同性婚などの状況、アライとして必要なこと、できることなどを、どなたにとってもわかりやすく平易な表現でまとめています。このハンドブックを通じ、コカ・コーラシステムの従業員一人ひとりが多様な性のあり方を理解し、正しい知識を身につけ、状況に応じた適切な対応が取れるようにすることを目指します。
 このハンドブックは、すでにパナソニックグループでの導入が予定されているそうです。日本コカ・コーラは今後、プライドハウス東京の協賛企業を中心に、様々な企業・団体での使用を呼びかける予定です。

 日本コカ・コーラ株式会社の代表取締役社長であるホルヘ・ガルドゥニョ氏は、以下のように述べています。
「グローバルに展開するコカ・コーラ社の事業において、多様性を尊重し、受け入れることは最も基本的な姿勢であり、私たちのDNAとなっています。今回作成した『LGBTQ+アライのためのハンドブック』は、社員一人ひとりが尊重され、すばらしい創造性と革新性を生み出せる職場環境を整える上で重要なツールになっています。グローバル企業として、社会に対する責任を意識し、ダイバーシティ・エクイティー&インクルージョンの課題に取り組んでいきたいと思います」

 また、上述のパトリック・ジョーダン人事本部長は、「これらは商業的な目的のプロジェクトではなく、『right thing(正しいこと)』を行なうということです。多様性の尊重はビジネスの成長に欠かせません。LGBTQ+だけではなく、性別や障がいの有無、国籍、年齢などあらゆる多様性を尊重していきます」「私の経験を申し上げると、職場では信じるものなどが異なる様々な人たちと一緒に働くことになりますが、その中で、安心してその場にいられると感じられるかが大事です。インクルーシブな言葉や行動がいかに重要かを従業員に理解してもらうことによってLGBTQ+の方が安心安全に働くことができます」と述べています。
 
 ハンドブックの導入を予定しているパナソニックグループでDEIの推進役を務める三島茂樹氏は、社員教育で重視している点としてアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)の払拭を挙げています。「アンコンシャスバイアスの一例は“男性らしく”“女性らしく”といった言論で、このような言論は一人一人の成長の機会を奪い、個性を発揮できない職場環境の原因になる」
 また、「トップの意志を発信し続けることが物凄く大事。DEIの必要性を社員に具体的に訴え続け、経営戦略や様々な施策に落とし込み目に見える形で推進していくことが何よりも大事」とも語っています。


 実際にこのハンドブックをダウンロードして見てみると、全8ページで、ごくごく基本的なことが書かれている冊子になっていて、これを読めばLGBTQの基礎知識がまるわかり、といったものではありませんでした。が、職場でカミングアウトしている人の少なさ、悪気がなくてもこれをやってしまうと差別的と受け取られる言動、性別を決めつけない言葉遣い、アウティングのことなど、大切なことが厳選されて掲載されていると感じました。
 全国にたくさんある企業のなかには、自社でこのようなハンドブックを制作する余裕がない、そこまで取組みが進んでいない、何から手をつけたらよいかわからない、といったところもまだまだたくさんあると思います。まずはこのハンドブックを導入し、そこから社内研修やe-ラーニングの導入など、さらなるステップに進んでいくというところも今後、増えていくのではないでしょうか。
 無償で公開し、そのような社内LGBTQ施策の広がりを可能にしてくれたコカ・コーラシステムの取組みは、多くの企業に感謝されるような、意義ある取組みだと言えるでしょう。
  

参考記事:
日本のコカ・コーラシステム全6社にて「LGBTQ+アライのためのハンドブック」導入、無償公開(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000722.000001735
悪気がなかったとしても傷つけてしまう言葉など コカ・コーラがLGBTQ⁺のための手引き策定(食品新聞)
https://www.excite.co.jp/news/article/Shokuhin_59456/
「カミングアウトされたら?」LGBTの疑問に答える(オルタナ)
https://www.alterna.co.jp/50794/

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