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宮崎放送がクエスチョニングであることをカムアウトしている元なでしこジャパンの齊藤夕眞選手を特集しました

 宮崎放送で、プロリーグ参入を目指す女子サッカーチーム「ヴィアマテラス宮崎」でプレーしている元なでしこジャパンの齊藤夕眞(さいとうゆうま)選手をフィーチャーした特番が放送されました。齊藤夕眞選手はクエスチョニングであることをカムアウトしているそうです。
 

 齊藤さんは、「決めたくない自分の性別を。クエスチョニング、選ぶなら、その頭文字に自分をあてはめるならクエスチョニングっていうのかなと」と語りました。子どものころから性別違和に悩み、生まれたときにいただいた「あかね」という名前に対して「母親に一度『なんで女みたいな名前つけたの?』って」聞いたことがあったそうです。「『俺男みたいな名前がよかったんだけど』と何でもない日に言った。そしたら母親が泣いちゃって…これはいけないこと言ったんだなって」
 4歳から始めたサッカーは性別を気にせず夢中になったといいます。一方で、学校生活ではいじめられrないよう、あえて「女の子らしさ」を演じて過ごしていたそうです。「自分を守るためにその格好(制服)でいた感覚。ただ心とは違ったという。『使い分けてた』感じ」
 高校卒業後、日本代表に選ばれるなど女子サッカー界で活躍してきた齊藤選手ですが、男性として生きていこうと決断し、2019年に一度引退、名前を「夕眞」に改名し、男性ホルモンの投与を受けるなどの治療を始めました。「お金払って(副作用で)体調悪くなって、『なりたい自分でなんだっけ?』と考えて、男にそこまでなりたいわけじゃなかったと気づいた」
 その後、再び大好きなサッカーをしたいという思いが強くなり、「自分を受け入れてもらえるのか」と不安が募るなか、出会ったのが「ヴィアマテラス宮崎」だったそうです。1年半前に入団した後、カミングアウトしました。

 同じチームの選手は「偏見とかそういうのも周りもないし、うーさんはうーさんって感じ、びっくりしなかったよね」「チームメートも受け入れているというかあまり気にしてない。悪い意味でもなく別に気にしてもなくて、あとは新富(ヴィアマテラスの本拠地の町)の人も気にしてなくて受け入れてくれているのでいいんじゃない?」とコメントしていました。

 齊藤さんは「受け入れてもらったことで自分の中で何かが変わった、女子サッカー選手の齊藤を演じておかないというのが、もうひとつの本当の自分は隠してというか…いたので、そこを隠さなくてもいいんだ、オープンでいいんだと思えたのは理解があったから」と語っています。

 今ではチームで性の多様性を啓発する活動にも取り組み、講演活動もしているそうです。
 
 

 性的指向や性自認が定まっていないクエスチョニングの方は、思春期〜青年期の若者の間で多く見られますが、周囲のサポートが得られたり、同じような人に出会うことで、自分はこうだとアイデンティティを持つことができるようになる方も多い一方、クエスチョニングの若者のほうがLGBの若者よりも自殺を考えたり、自暴自棄になることが多いという調査結果もあるそうです。ゲイやレズビアンは比較的仲間を見つけやすく、コミュニティも各地にありますが、クエスチョニングの方はなかなかそのコミュニティに入っていけなかったり、孤立感を覚えがちだということも言えそうです。「ヴィアマテラス宮崎」のように、LGBTQの方、そうでない方、揺れ動いている方にとってもインクルーシブなコミュニティが理想的なのかもしれません。
 示唆に富み、クエスチョニングの方を勇気づけるような、いいニュースでした。

参考記事:
「自分をあてはめるならクエスチョニング」 元“なでしこ” 齊藤夕眞選手が「性の多様性」発信する思い(MRT宮崎放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/74966

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