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トランスジェンダー可視化の日、米国民がパスポートの性別欄で「X」を選択できるようになると発表されました

 米国のブリンケン国務長官は3月31日のトランスジェンダー可視化の日に記者会見を開き、4月11日からすべての米国民がパスポートを申請する際、性別欄「X」を選択できるようになると発表しました。


 昨年6月のプライド月間の最終日、米国務省はノンバイナリー等への配慮としてパスポートの性別欄のサードジェンダー表記を認めることを検討すると発表していました。そして10月には、コロラド州に住むダナ・ジムさんという方が「X」の記載を求めて起こしていた訴えが認められ(裁判で勝訴し)、初めて性別欄に「X」と記載したパスポートが発給されました。そして今回、パスポートの性別欄のサードジェンダー表記がすべての国民の権利として正式に認められたものです。
 
 国務省は、公的文書に記載される性別「X」を「不特定あるいはそれ以外の性自認」と定義し、ジェンダーについての「インクルージョンを推進しながら個人のプライバシーを尊重する」と位置づけました。米国のパスポート申請時の性別「X」の選択は4月11日から可能になります。来年からはパスポート以外の出生証明書などの書類についても「X」の選択が可能になります。航空会社や運輸保安庁(TSA)、国土安全保障省とも連携し、それぞれのシステムでサードジェンダーを使えるようにしていく方針です。
 ホワイトハウスは声明で、トランスジェンダーやノンバイナリーの米国民の多くが、これまで国内外での移動に際して大きな障壁に直面し、性自認が尊重されてこなかったとして、今回の措置により、そういった人々が「正確」な身分証明書を入手できるようにするというバイデン大統領の取組みが大きく前進すると述べました。


 英人権団体「Employers Network for Equality and Inclusion(平等と包摂のための雇用者ネットワーク)」によると、2020年3月時点で、パスポートの性別欄に「X」などのサードジェンダー表記を認めている国はカナダ、アルゼンチン、オーストラリア、デンマーク、オランダ、ドイツ、マルタ、ニュージーランド、パキスタン、インド、ネパールでした。こちらの記事ではバングラデシュも、こちらの記事ではアイスランドも同様にサードジェンダー表記を認めています。米国を合わせ、世界14ヵ国で承認されています(ベルギーやフランス、英国などでも検討が始まっているようです)

 なお、トランスジェンダー可視化の日の前日、3月30日にはオクラホマ、アリゾナ両州の共和党知事が、トランスジェンダーのスポーツ選手が学校で女子競技に参加することを禁止する法案に署名し、成立しました。同様にトランスジェンダーなど性的マイノリティを抑圧する法律を州単位で導入する動きが米国で広がっています(フロリダ州の「ゲイと言ってはいけない」法もその一つです)
 ホワイトハウスはトランスジェンダーの人々が直面する壁を取り除くための一連の方策に関する声明で「全米各地の州議会で可決された、危険な反トランスジェンダーの法的攻撃拡大を改めて非難する」としています。


参考記事:
米の旅券、性別「X」選択可能(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59655970S2A400C2NNE000/
米、旅券の性別欄「X」可能に(共同通信)
https://nordot.app/882276808054603776?c=39546741839462401
性別「X」旅券発行へ 多様性強調 米で選択可能に(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220401/dde/007/030/031000c
男性でも女性でもない「性別X」、米パスポートで選択可能に(CNN)
https://www.cnn.co.jp/usa/35185750.html
米バイデン政権、パスポートの性別欄に中立の「X」追加 他の証明書でも来年設定(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/idJPKCN2LT34A
米、旅券で性別「X」選択可能に 4月11日から(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3398162

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