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同性ペアの雛人形を作ってくれる鈴木人形さん:「女性だから雛人形、男性だから五月人形を好きにならなければいけないということはないと思います」

 さいたま市岩槻区の老舗人形店「鈴木人形」は、女雛どうしや男雛どうし、1体のみの注文など多様な注文を受けているそうです。鈴木人形の3代目・鈴木慶章さんは「女性だから雛人形、男性だから五月人形を好きにならなければいけないということはないと思います」と語ります。


 女の子は3月3日の桃の節句に雛人形を飾ってもらってひな祭りのお祝いをする(終わったらすぐに雛人形を片付けないと嫁に「行き遅れる」と言われたり)、男の子は強く逞しく育つようにとの願いを込めて5月5日の端午の節句に五月人形を飾ってもらう、七五三は女の子が3歳と7歳で晴れ着やふわふわのドレスを着ますが、男の子は5歳だけ(または3歳と5歳)でスーツや羽織袴を着ることが多いというように、子ども向けの伝統行事は男の子/女の子のジェンダーがはっきり分かれている部分があります。
 『虹色チェンジメーカー』で村木真紀さんが、子どもの頃、七五三の着物を着るのが嫌で大泣きしたと語っているように、LGBTQのなかにはこうした伝統行事をつらい思い出として記憶している方も少なくないことでしょう(ひな祭りをうらやましく見ていたというゲイやトランス女性の方もいらっしゃることと思います)。こうした伝統行事に込められた、子どもの健やかな成長を願う親御さんの気持ちは本当に尊いものですが、もう少し現代の性の多様性に合わせて柔軟なお祝いにできたら素敵ですよね。
 
 ハフィントンポストの「女性ペア・男性ペアの雛人形も買えるって知ってた? ひな祭りも「性の多様化」【画像集】」という記事で、「女雛と男雛」ではなく「女雛どうし」「男雛どうし」のペアで注文することができる人形店が紹介されていました。
 さいたま市岩槻区の老舗人形店「鈴木人形」では、女雛どうしや男雛どうし、1体のみなど、性の多様性に合わせた注文を受けているそうです。
 鈴木人形の3代目・鈴木慶章さんは、「年齢や性などを問わず、ひな祭りをみんなに楽しんでほしいという思いが根底にあります」と語ります。鈴木さんは6〜7年前、金髪にティアラを載せ、つけまつげやアイラインを施した「現代風雛人形」を作り、子どもや若い世代から「伝統的な雛人形とはまた違ったかわいらしさ」との評判を呼んだそうです。
「みんなにひな祭りを楽しんでほしい。そのために全力です。『みんな』にはもちろん、多様な性、LGBTQの方々も含まれています。伝統と違うことでいろんなご意見をいただくこともあるのですが、雛人形を欲しいと思った方が楽しめるのがいちばん大切だと思っています」
 今のところ同性ペアの雛人形の注文を受けたことはないそうですが、「欲しいと思ってくれる人はいるんじゃないかな」と思っているそうです(この記事が出て、注文が入るかもしれないですね)
「これはLGBTQの方々に限らずですが、五月人形のほうが好きな女性も、雛人形のほうが好きだという男性もいると思うんです。女性だから雛人形、男性だから五月人形を好きにならなければいけないということはないと思います」 
「僕自身、幼い頃から祖父や父が作っている姿を見て、雛人形が大好きになり、この仕事をしています。自分の好きなものを好きだと言える環境やきっかけは、とても大切だと思っています」
 伝統を受け継ぐことが重視される伝統工芸の世界にあって、こうしてLGBTQのことも理解したうえで現代的で自由な雛人形の製作・アレンジを手がける鈴木人形さんは、とても貴重な存在と言えます。本当に素晴らしいです。
 
 たとえLGBTQでないとしても、ひな祭りを楽しみたい男の子や、五月人形や兜を飾ってほしい女の子はきっといるでしょうし、こうした同性ペアのひな人形や、女の子の五月人形なども作られ、今後、伝統的なお祝い事もより自由で多様なものになっていくことでしょう。子どもの健やかな成長と同時に、子どもが自分らしく輝く生き方ができることを願う行事になっていくと素敵ですね。
 
 
参考記事:
女性ペア・男性ペアの雛人形も買えるって知ってた? ひな祭りも「性の多様化」【画像集】(ハフィントンポスト)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_621dbfd8e4b0f800ce262ce8

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