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【同性パートナーシップ証明制度】関市が岐阜県で初めて導入へ  

 岐阜県関市は2月9日、「パートナーシップ宣誓制度」を4月から始めることを発表しました。岐阜県内の自治体で初となります。
 パートナーシップ宣誓を行ない、宣誓受領証(パートナーシップ証明書)を交付されたカップルは、市営住宅への入居が認められるほか、結婚に伴う祝い品(新婚世帯向けに配布している地域経済応援券「せきチケ」1万円分)の贈呈など婚姻と同様の行政サービスを受けられるそうです。また、所得や年齢が国の「結婚新生活支援事業」の対象に該当する場合は、市の独自財源で一般の新婚世帯と同額の支援金を交付するそうです。※
 今後は、映画館の夫婦割引など企業側にも民間サービスの提供を働きかけるそうです。
 尾関健治市長は「当事者だけではなく、市民にも理解を深めてもらうのがねらい。ほかの自治体にも広がることを期待したい」と語っています。

※岐阜新聞の記事では、「国の結婚新生活支援事業を申請したカップルが所得や年齢などで支援対象に該当する場合は、市の独自財源で一般の新婚世帯と同額の支援金を交付する」と書かれていますが、結婚新生活支援事業は婚姻届受理証明書の提出が必須となっており、同性カップルが申請することはできません。結婚新生活支援事業の対象になりうる所得や年齢(所得が合わせて400万円未満、年齢が39歳以下)のカップルであれば、市の独自財源で一般の新婚世帯と同額の支援金を交付するという意味だと思われます。

 関市は2016年に「LGBTフレンドリー宣言」を発し(東海初。全国的に見ても早いほうでした)、職員向けセミナーを定期的に実施してきました。なお、同市の職員互助会は、同性パートナーがいる職員にも結婚祝い金や慶弔金を支給できるよう内部規則を見直しているそうです。
 
 東海地方の同性パートナーシップ証明制度の導入の状況を見ると、三重県が県全体で導入済みで、静岡県も浜松市など2市で導入済みで静岡市も4月から導入予定、県としても2022年度中に導入する意向であるのに対し、愛知県は豊橋市など5市(名古屋市はまだです)、岐阜県は(県が一時は検討する考えを示したものの進展がなく)ずっとゼロという状況でした。そうした状況を受けて、愛知・岐阜にパートナーシップ制度を求める会が立ち上げられ、岐阜県に要望書を提出するなどの活動をしてきました。今回、関市が岐阜県で初の導入を実現し、岐阜県の方たちも喜んでいることと思います。おめでとうございます。


 それから、東京都北区も4月1日から「区パートナーシップ宣誓制度」を導入することを発表しました。宣誓書受領証の交付を受けたカップルが区営住宅に入居できるよう、条例も改正するそうです。
 北区は2月8日、関連経費約150万円を盛り込んだ新年度一般会計当初予算案を発表。戸籍変更を検討する方たちが弁護士に無料で相談できる機会を月に一度設けるほか、LGBTQへの理解促進を図る職員向けの研修も行なっていくそうです。
 花川与惣太区長は同日の記者会見で、「一人一人が尊重され、能力を発揮できる多様性社会の実現を目指したい」と語りました。

 東京都では2022年度内に「同性パートナーシップ制度」を導入する意向を示していますが、だからと言って、今回の北区の施策が無駄だというわけでは決してありません。同性カップルが区営住宅に入居するためにはそれぞれの区が条例を改正するなどの対応が必要になりますし(渋谷区や世田谷区も条例の制定・改正で対応しています)、同性パートナーシップ証明書の発行にとどまらない実質的な行政サービスが実現するためには、やはり各々の市区町村がLGBTQ施策を進める必要があります(都で同性パートナーシップ証明が始まっても、職員研修、市民への啓発、相談窓口設置のような基本的な施策すらやっていない市区町村では、制度がうまく機能しない可能性も…)
 例えば世田谷区が、日本初の要綱によるパートナーシップ宣誓制度の創設以降も、区職員の互助会が同性婚カップルに祝い金を支給同性カップルが区営住宅に入居できるよう条例改正LGBTと外国人への差別を禁じる条例の制定パートナーが同性である職員に適用する休暇制度を完全に異性婚と平等に同性カップルも事実上の婚姻関係に相当するとの社会通念が形成されていると表明地域防災計画や避難所運営マニュアルなどに性的少数者への配慮の必要性を明記区報にパートナーシップ宣誓5周年の記事を掲載同性パートナーにも異性婚と同額のコロナ傷病手当金を独自支給学校医や水防従事者などの同性パートナーに遺族補償、そして同性パートナーにも災害弔慰金を支給といった施策を実現させているように、自治体が本気を出せばやれることは本当にたくさんあります。
 これまであまりLGBTQのことに取り組んでこなかった都内の市区町村でも、東京都全体での同性パートナーシップ証明制度スタートを機に、意識が変わり、取組みが進んでいくことを期待します。



参考記事:
関市、パートナーシップ制度導入へ 性的少数者のカップル認める 岐阜県内で初(岐阜新聞)
https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/41754

東京都北区も、パートナーシップ宣誓制度 区営住宅に入居可能に(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASQ2873LWQ28UTIL018.html

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