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ウクライナのLGBTQ団体が「私たちは決してあきらめない。共に勝利する」との声を上げました

 2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始したというショッキングなニュースが世界を駆け巡り、内外から非難の声が上がりました。ウクライナ侵攻後、ロシアは反体制派やLGBTなどのマイノリティを拘束・暗殺する可能性が…との暗澹たる情報も流れるなか、ウクライナのLGBTQ団体から「私たちは決してあきらめない。共に勝利する」との力強い声が届きました。

 
 ロシアは2013年に悪名高き「同性愛プロパガンダ禁止法」(アンチLGBTQ法)を成立させ、公にLGBTQの権利を訴えることや学校でLGBTQについて語ることなどを禁止し、ソチ五輪での外交ボイコットを招いたり、国際社会から非難を浴びてきました。2017年以降、チェチェンでの恐ろしいゲイ弾圧を容認しているとも見られています(チェチェンでの迫害の実態と、命懸けでゲイたちを救出する活動家たちの姿を映し出した『チェチェンへようこそーゲイの粛清ー』という映画が26日から上映されます。いま観るべき映画ではないでしょうか)
 元ANNモスクワ支局長の武隈喜一氏は「プーチンのロシアでは、実はLGBTQの人たちはほとんど犯罪者として扱われてしまっています」「プーチン大統領は欧米の自由、民主主義、それから多様性といった価値観というのはまやかしだと考えています」と語っています。
 そんなロシアがウクライナを侵略した場合、ウクライナに住むLGBTQの安全は守られるのかという懸念について、2月21日のニューズウィーク日本版は、侵攻後にウクライナのLGBTQが拘束・拷問・殺害される可能性があるという恐ろしいニュースを報じました。米国の情報機関に近い関係筋によると、ロシアは侵攻後に拘束・暗殺の標的にする政治家や有力者のリストを作成していて(武力攻撃の一方、内部対立を作り出し、反対分子を排除するのが典型的なロシアの流儀だそうです…)、その中には主要な政敵や活動家、亡命中のベラルーシやロシアの反体制派、宗教的・民族的マイノリティ、そしてLGBTQが含まれると見られています。標的リストには、ロシアの計画に反対する可能性がある全ての人物が含まれているようです。「ロシアは脅迫と抑圧を通じて協力を強制しようとするだろう」「過去のロシアの作戦には、標的の殺害、誘拐・強制的な失踪、拘束、拷問が含まれていた。こうした行為の標的にされるのはロシアの行動に反対する人々──ウクライナに亡命中のロシアやベラルーシの反体制派、ジャーナリストや反腐敗活動家、宗教的・民族的少数派やLGBTのような弱者だろう」
 

 英国のLGBTQメディア「PinkNews」は24日、ウクライナのLGBTQコミュニティを支援する記事を掲載しました。
 ウクライナのLGBTQの活動家たちは、ロシアによる大規模な侵略がとんでもない災厄を招くと心配してきました。彼らは国内でのLGBTQの権利が地に落ち、自由が奪われてしまうことを恐れているのです。
 ウクライナ最大のLGBTQ権利擁護団体であるキエフ・プライドのレニー・エムソン代表は1月、PinkNewsに対して、LGBTQコミュニティは必要があれば戦う用意があると語りました。「この点で私たちは一致団結しています。ジェンダーアイデンティティや性的指向に関係なく、みんな一緒に、前に進むのです」
 
 侵攻が始まった木曜日、キエフ・プライドはTwitterで「私たちは強くあり続ける、怖気づいたりしない」と綴りました。
「プーチンが噛み付こうとするなら、私たちはその歯を折るまでだ。ウクライナは人権、人間性、生命、パーソナリティの価値を選択した。プーチンは過去に生きている」
「私たちは勝利をつかむまで決してあきらめない。落ち着いて、共に勝利する」
「世界の支援者へ:あなたの国の政府に、立ち上がり、この侵略に反対する行動をとるようお願いしてください。こんな戦争はすぐに止まなければなりません。私たちが団結したときどんなにパワフルかを示す必要があります」
 
 QUEERTYが本日掲載した記事によると、ウクライナは、同性婚こそ承認していないものの、住居や雇用に関するLGBTQ差別禁止の法を支持してきました。
 キエフ・プライドのエドワード・リース氏はCBSのインタビューに対して「ウクライナはヨーロッパの国です。私たちには10年のプライドマーチの歴史があります」と語りました。「私たちはロシアとは全く異なる道を歩んできました。人々の人権やLGBTQ、女性の権利などについての意識が変わっていく様を見てきました。ですから、ロシアに与することは少しも望んでいません」
 
 米国在住のウクライナ人LGBTQを支援するQUAという団体も、この侵略を非難し、すぐにNYでの抗議行動を計画しました。
 彼らは「ウラジミール・プーチンの攻撃と、ウクライナでのLGBTQ運動を終わらせるという脅迫に抗議するために」ストーンウォール・インの前に集まります。彼らはまた、欧米のLGBTQ団体に、ロシアの侵攻がウクライナのLGBTQにとってどれだけ脅威であるかということについてのアウェアネスを喚起するよう求めました。
「いま再びプーチンとロシアは、ウクライナを簒奪しようとしています。この地域で最も民主的な国であるウクライナの多くの仲間たちが攻撃にさらされようとしています。もし自由と民主主義の存在を信じるなら、私たちはウクライナ社会に連帯し、この暗い出来事に対して立ち上がらなくてはなりません」
 
 
 日本にいる私たちができることは、世界のLGBTQ+Allyコミュニティとともにキエフ・プライドへの連帯を示しつつ、ロシアの非道な侵略に反対する声を上げていくことではないでしょうか。
(キエフ・プライドに寄付をすることもできます。軍事侵攻を止めるための世界的な署名キャンペーンも始まりました。できることが様々あると思います)
 
キエフ・プライド
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参考記事:
読めば流れが分かる ウクライナ危機の背景 プーチン大統領は何を恐れているのか〜後編(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000245622.html
ロシア「暗殺リストを作成」ウクライナ侵攻後、反体制派やLGBTなど標的に(ニューズウィーク日本版)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/02/post-98106.php
Kyiv Pride sends defiant message to Putin after Russia invades Ukraine: ‘We will never give up’(PinkNews)
https://www.pinknews.co.uk/2022/02/24/ukraine-russia-lgbt-kyiv-pride/
LGBTQ Ukrainians stand strong amid Russian attacks and rumored queer “kill list”(QUEERTY)
https://www.queerty.com/lgbtq-ukrainians-stand-strong-amid-russian-attacks-rumored-queer-kill-list-20220224

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