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【同性パートナーシップ証明制度】熊本市と鹿児島市が連携協定、全国の制度導入済み自治体のうち3割超が他の導入自治体と連携協定を締結中

 熊本市と鹿児島市が「パートナーシップ宣誓制度」の相互利用についての連携協定を2月1日に結び、運用を始めました。両市の間で転居した際、転出自治体に証明書を返却し、転居先で再び宣誓するといった手続きが不要になります。転居時にパートナーシップが解消されたり、転出先で申請する際に職員に再度カミングアウトすることが心理的な負担になることも懸念されるため、このような連携には、単に手続きが簡素化されるということ以上の意味があります。
 熊本市は「パートナーシップ宣誓制度」を2019年4月に導入しましたが、同年10月、福岡市と連携協定を結び、転居先でも再登録なしで資格が継続することになりました(全国で初めてでした)。鹿児島市は今年1月に「パートナーシップ宣誓制度」を導入しましたが、これまでに指宿市、福岡市、北九州市と連携協定を結んでいるそうです。
 熊本市男女共同参画課の山田紀枝課長は「宣誓は二人にとって大事な記念日になるもので、勇気を出して宣誓する人もいる。何度も宣誓しなくて済み、使いやすい制度になるよう、要件が合うほかの自治体にも連携協定を広げたい」と話しています。
 鹿児島市人権推進課の重久毅課長は、宣誓制度について「制度を利用することで、当事者の心の安心につながればと思っている」「ほかの自治体と協定を結ぶことで、利用者の利便性のさらなる向上を期待している」と話しました。


 なお、共同通信の調査で、同性パートナーシップ証明制度を1月1日時点で導入している全国146自治体のうち3割超に当たる48市町が他の導入自治体と連携協定を結んでいることがわかりました。今後も全国的に連携の動きが広まりそうです(本当は国として同性婚を認めてくれればこのような問題もなくなり、一挙解決なんですけどね…)。同性カップルが少しでも制度を利用しやすくなるようにと考え、こうしてきめ細かな取組みを進めてくださっている自治体には、感謝の念を禁じえません。

  
 それから2月13日、京都新聞に「パートナー制度 自治体任せでは済まない」との社説が掲載されました。制度を持つ自治体どうしで連携する動きが広がっているものの、「自治体によっては事実婚カップルを含めるなど同制度の対象範囲が異なることもあり、協定が困難との声もある」と指摘。そして、「地域によって温度差があるのも事実だ」として、「自治体によって関心に差があるのは、国の動きが鈍いからではないか」と指摘しています。「海外では米国や英国など同性婚を認める先進国が増えており、日本は立ち遅れている。性的少数者の権利擁護を自治体任せにしている現状は世界の潮流に逆行している。国会で改めて議論を深めてほしい」
 本当にその通りですね。
 同性カップルのパートナーシップも婚姻と同等であると承認する自治体がこれだけ全国に広がり(2月1日現在で152自治体。人口カバー率44.37%)、自治体間の連携も探り、同性パートナーシップ証明制度以外にも様々な施策を実施したりしているなかで、国は「結婚できる人の範囲は"生物学的な自然生殖可能性"で決まる」「”社会的承認”がないから、結婚が認められなくても問題ない」などという驚くべき主張で結婚の不平等(構造的差別)を正当化しようとしています。
 2月12日には性同一性障害特例法の改正と婚姻の平等の実現を求めるTwitterデモも開催されました。
 2月14日には「結婚の自由をすべての人に」訴訟が始まってから3年を迎えます。まだ札幌地裁しか判決が出ていないのでまだまだ長い道のりになりますが、台湾のように最高裁で同性婚を認める判決が出る(か、その前に国が認める)ことを願います。

 
参考記事:
パートナーシップ宣誓制度、転居先でも活用 熊本市と鹿児島市が協定(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASQ287FJ4Q28TLTB001.html
パートナー制度、48市町が連携(共同通信)
https://nordot.app/863162733373177856?c=39546741839462401
社説:パートナー制度 自治体任せでは済まない(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/730384

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