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アメリカのZ世代の6人に1人がLGBTQであるとの調査結果が明らかに

 ギャラップ(Gallup)の最新調査で、アメリカの成人の5.6%が性的マイノリティであると自認していることがわかりました。2017年の調査(4.5%)からは約1%、2014年の調査(3.7%)からは約2%増え、これまでで最も多い割合となっています。また、18〜23歳の「Z世代」に限って見ると、15.9%(約6人に1人)にも上りました。
 

 ギャラップの調査は2020年6月、18歳以上のアメリカ人1万5000人を対象に、電話で実施されました。自身がレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、その他のいずれかに当てはまると思うか、と聞き取り、その他の場合は、さらに詳しく聞くというものです。結果は以下の通りです。

LGBTQに当てはまる人の内訳は、 
11.7%がレズビアン
24.5%がゲイ
54.6%がバイセクシュアル
11.3%がトランスジェンダー
3.3%がその他(クエスチョニングまたはクィア。ほかにもSGL(黒人の同性愛者コミュニティ)など)

 年代による差が大きく、性的マイノリティであると回答した人は74歳以上で1.3%、56歳以上で2%にとどまったのに対し、「ミレニアル世代」と呼ばれる24〜39歳の人々においては5%強(うち半数がバイセクシュアルだと回答)、そして18〜23歳の「Z世代」では、15.9%(バイセクシュアルだけで11.5%)に上りました。23歳以下の若者たちの間では16%(およそ6人に1人)と、とても高くなっています。

 GLAADのサラ・ケイト・エリス代表は、この結果が、今から約50年前にストーンウォールでマーシャ・P・ジョンソンによって最初の石が投げられて以来、アメリカにおけるLGBTQの受容のために長年闘ってきた活動家たちのおかげだと考えています。
「今回の調査結果は、認知と受容が組み合わさると、一気にクローゼットのドアが開くことを示しているのだと思います」

 米国最大の人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」のアルフォンソ・デヴィッド代表は、「若年成人は特に、自身のアイデンティティを公表する権利を与えられていると感じています。平等を求めて長いあいだ闘ってきたこれまでの世代にとっては、感動的な調査結果でしょう」と語っています。


 ちなみにYouGovが2015年に英米で実施した調査では、30歳未満のアメリカ人の29.0%、18〜24歳のイギリス人の約半数が完全な異性愛者とは言えない(ゲイまたはバイセクシュアルである)と回答しています(詳細はこちら)。この調査はインターネットで、「キンゼイ・スケール」という指標を用いて実施されており、今回の聞き取り調査とは方法が異なるため、単純に比較はできないのですが、いずれにせよ、欧米の若い人たちの間では性的マイノリティであると申告できる(オープンにできる)人が本当に多くなっているということは言えそうです。


 
 6人に1人とか、約半数と聞いて、驚かれる方もいらっしゃることでしょう。
 ここで、日本のLGBTQ人口について、これまでの調査結果をまとめてみます。

 電通が2019年に発表した調査結果ではLGBTQの割合は8.9%(約11人に1人)、同年末にLGBT総合研究所が発表した調査結果では10%にも上りました。
 一方、自治体が実施する郵送による無作為抽出調査では、もっとパーセンテージが少なくなる傾向がありました。
 名古屋市で2018年に実施された市民1万人に対する無作為抽出調査では、性的マイノリティだと回答した方が1.6%(「性的マイノリティの当事者ですか?」という質問に対し、「いいえ」ではなく「無回答」だった方が3.2%で、嘘はつきたくないけれども当事者であると回答することもためらわれるような方だったのではないかとの見方もあります。これを含めると4.8%となります)
 大阪市で2019年、市民1万5000人に対して実施された無作為抽出調査では、性的マイノリティの割合は3.3%でした(偶然、埼玉県と同じ数字です)。「決めたくない・決めていない」と回答した方も含めると8.2%でした。
 そして、こちらのニュースでお伝えしたように、先日の埼玉県の無作為抽出調査では、性的マイノリティの割合は3.3%でした。
 名古屋、大阪、埼玉での調査データが集まった結果、住民への郵送による無作為抽出調査という方法では、性的マイノリティであると自認している方は3.3%くらいという数字が見えてきました(こうした自治体が実施する郵送でのアンケートでは、実家にいる方が正直に回答するのが難しいという指摘もあります。名古屋市の「無回答」の多さがそういう理由だとすると、1.6%よりも多く、実際は3.3%に近い割合になるのかもしれません)。これに対して当事者の方からは「さすがに10%は多いと思ってた」「3.3%くらいが自分の実感に合ってる」という声も聞かれます。
 
 LGBTQ人口についての調査は、時代や社会が寛容になればなるほど申告できる人が増えるということも言えますし(性的指向や性自認は、あくまでも自身が認め、申告しなければカウントされません)、調査方法や回答のしやすさによっても結果が違ってくるため、なかなか正確を期すことが難しいという事情があります。
 日本でも、上記のような自治体による調査が積み重ねられるとともに、欧米のように国勢調査で集計される時代が来たら(そうなる頃には、今より当事者の方たちが申告しやすくなっていることでしょう)、より正確なデータが得られることでしょう。
 
  
 
参考記事:
5.6%がLGBT自認 若者では6人に1人―米世論調査(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021022500756
LGBTQ自覚は特にZ世代で急増か 米国調査会社の最新データで判明(BIGLOBE)
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0301/srb_210301_2468807720.html
認知と受容の高まりを反映か…… アメリカのZ世代、6人に1人は「LGBT」を自認(Business Insider)
https://www.businessinsider.jp/post-230319

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