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LGBT関連ニュース

LGBTに関する全国最大規模の無作為抽出調査が大阪市で実施され、LGBTの割合は約3%、約85%の方が市のLGBT施策に賛成、という結果が出ました

記事日付:2019/04/26

 今年初め、大阪市で「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」という大規模な調査が行われ、4月25日にその速報値が発表され、LGBT人口は全体の約3%となり、また、約85%の市民が大阪市のLGBT施策に賛成していることが明らかになりました。

 この「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」は、厚生労働省「国立社会保障・人口問題研究所」人口動向研究部の釜野さおり氏を代表とする「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チームが実施したもので、「性的指向と性自認の人口学 - 日本における研究基盤の構築」(平成28年〜32年度)というプロジェクトの一環です。 
 このプロジェクトは、性的マイノリティが「LGBT」として括られ、取り上げられることが多くなっている今、性的指向と性自認(SOGI)に関して学術的な見地から信頼性のある情報を発信していくことが求められているが、こうしたニーズに応えるため、従来の人口学領域と性的マイノリティの研究との融合を図りつつ、人口学的視点からSOGIの研究基盤を築くことを目指すもので、(1)日本の人口学においてSOGIに注目する意義とその研究の方向性を探り、(2SOGIを取り巻く社会的状況の重要な要素である「家族」についての実証研究を進め、(3)日本の文脈でSOGI別の人口を社会調査で捉える方法論の検討を行い、(4)SOGIによる生活実態の統計比較分析を可能とする社会調査を検討するものです。
 研究計画としては、人口学領域に性的指向・性自認の軸を導入し、統計分析を行う研究基盤を作るため、①諸外国における研究・議論の整理、②日本の公的データにおける同性カップルの特定の可能性の検討、③既存の調査に性的指向・性自認を含む設計の検討、④家族の現状と変容の量的・質的分析、⑤SOGIを属性のひとつとして捉える社会調査の企画という課題に取り組みます。という流れで今年、昨年度設計した生活状況とSOGIとの関連性を調べるためのモデル調査票を用いて、大阪市で調査が実施した、とのことです。

 2019年1月から2月にかけて、大阪市の住民基本台帳から無作為に抽出した18〜59歳の15,000人にアンケートを郵送し、4,294票を回収、有効票は4,285、有効回収率は28.6%でした。全国最大規模の無作為抽出調査だそうです。
 この調査では、性的マイノリティをとらえる人口学的設問が導入されました。性的指向・性自認別の回答は以下のとおりです。
1) 4,285人のうち31人(0.7%)が「ゲイ・レズビアン・同性愛者」、62人(1.4%)が「バイセクシュアル・両性愛者」と回答。「アセクシュアル・無性愛者」と答えた人は33人(0.8%)、「決めたくない・決めていない」と答えた人は222人(5.2%)でした。
2) 現在自認する性別が、出生時とは別の性別または「その他」の人(以下、[トランスジェンダー])は32人(0.7%)でした。出生時性別が「男」で現在の自認が「女」(6人)または「その他」(6人)は、12人(0.3%)、出生時性別が「女」で現在の自認が「男」(4人)または「その他」(16人)は、20人(0.5%)でした。
3) 「ゲイ・レズビアン」「バイセクシュアル」[トランスジェンダー]に当てはまる人は115人(2.7%)※1、さらに「アセクシュアル」を含めると142人(3.3%)※2でした。なお、「ゲイ・レズビアン」「バイセクシュアル」「アセクシュアル」「決めたくない・決めていない」[トランスジェンダー]の合計は352人(8.2%)でした。

※1 「ゲイ・レズビアン」「バイセクシュアル」(LGB)93人に、[トランスジェンダー]で性的指向の設問にLGB以外の回答をした22人を足した数
※2 LGBT115人に「アセクシュアル」で[トランスジェンダー]ではない27人を足した数

 それから、大阪市が性的マイノリティに関する取組みを推進することについての考えを尋ねたところ、市民への啓発、企業への啓発、トランスジェンダーへの配慮、同性パートナーシップ証明制度など、いずれの取り組みについても、4,285人のうち85%以上が「賛成」または「やや賛成」という結果になりました。


 今回、非常に学術的な、信頼度の高い調査方法によって、L、G、B、Tに該当する人の人口は全体の2.7%、アセクシュアルを加えても3.3%、「決めたくない・決めていない」と回答した人(クエスチョニングの方と捉えてよいのでしょうか?)を加えると8.2%という結果になりました。大阪市では、の話ですので、東京ではどうなのか、全国ではどうなのかということは、さらなる研究を待たなくてはいけません。
 
 よく引き合いに出される2016年のLGBT総合研究所(博報堂DYグループ)や連合の調査では、LGBT人口は全体の8%(約13人に1人)、電通が今年1月に発表した調査結果では8.9%(約11人に1人)となっていましたが(ちなみに、こうした調査でも、L、G、B、Tに該当する人はLGBT総研で5.9%、連合で4.9%でした。残りは、アセクシュアルやクエスチョニングなどの方たちです)、こうした調査との数字の違いがなぜ生じるのか?という統計学的なお話は、石田仁先生が『はじめて学ぶLGBT』の中で指摘しておられるので、興味のある方は読んでみてください。
 
 ネット上では、「8%は多すぎると思ってた、3%が妥当じゃない?」といった声が上がっている一方で、「郵送の調査の場合、家族に回答を見られる可能性が高いため、正直に書けない方もいる」という指摘もありました(昨年末の名古屋市の調査でも指摘されていました)
 また、例えば奥さんや子どもがいるけど男の人とセックスしている男性や、まだ手術が終わってないMtFトランスジェンダーの人と関係を持っている男性の方たちで、自身をストレートだと自認していて、このようなアンケートに反映されないケースって結構あるよね?という指摘もあります(セクシュアリティの調査はあくまでも自己申告ですので、自分がそうだと認めたくない方たちのことは反映されないという事情があるのは事実です。それは世界的に言えることです。LGBTに寛容な社会であるほど、そうだと認めることができる人が増えて、統計にも表れてくるのです)
 いずれにせよ、たとえ1%だろうと、0.1%だろうと見捨ててよいということにはならない、「LGBTの権利は人権である」という原則は揺るがない、ということは、声を大にして申し上げたいところです。
 

【追記】
「決めたくない・決めていない」と回答した方を(クエスチョニングであるとみなして)性的マイノリティに含めることをしていないのはなぜか、このような調査が自宅に送られてきたら性的マイノリティの方は正直に答えられないのではないか、既存の調査(電通、博報堂、連合など)の数値とずいぶん異なることをどのように解釈したらよいか、といった質問に答えるQ&Aが、公式サイトに追加されました。興味のある方は、こちらからご覧ください(PDFです)

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