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バイデン大統領が就任初日にLGBTQ差別禁止の大統領令に署名し、コミュニティから続々と賞賛の声が上がりました

 バイデン米大統領は1月20日、就任式の直後に、WHO脱退取下げやパリ協定への復帰など全17の大統領令に署名しましたが、その中には職場でのLGBTQ差別を禁じる(昨年6月に最高裁が下した判決を確証する)という大統領令もあり、LGBTQコミュニティの賞賛を集めました。
  

 政権移行チームのプレスリリースによると、LGBTQ差別禁止に関する大統領令は「連邦最高裁が2020年に出した判決に基づき、SOGIに基づく職場での差別を禁止するという公民権法の解釈を確かなものにする」というものです。「この大統領令は性差別禁止を謳う連邦反差別法令がSOGIに基づく差別の禁止を保証し、LGBTQを保護するためのあらゆる法的なステップを企業に指示するものだ」

 トランプ政権は、2020年の最高裁判決を無視し、これと反対の法制度を作るべきだと述べてきました。また、任期が切れる直前の1月17日には、トイレやスポーツチームでは長年にわたり性別に基づく方針が取られてきたことを踏まえ、住居や教育などの分野にまでそうした解釈を広げるべきではないと、範囲を限定することを求める文書を司法省に出させています(詳細はこちら
 
 最高裁判決は職場だけに適用されるものですが、住居や公共の宿泊、教育など広い範囲でLGBTQ差別を禁止するためには、イクオリティ・アクト(平等方)の制定が必要です。バイデン氏は就任後100日以内にイクオリティ・アクトの採択を約束しました。トランスジェンダーの従軍禁止も、数日以内に解除するだろうと期待されています。
 
 バイデン大統領のスピーディな動きに対して、LGBTQコミュニティからは続々と賞賛の声が上がっています。
 米国で最も古くから活動しているLGBTQ法曹家団体ラムダ・リーガルの法律ディレクター、シャロン・マクガワンは、「連邦政府が、連邦法の性差別禁止規定がLGBTQ保護をも意味すると明らかにしたバイデン=ハリス政権のアクションに拍手を贈ります」と賞賛しました。
「今日の大統領令は、LGBTQの公民権が法的に施行されるように動くことの表明であり、私たちは情熱的にこれを支持します。最高裁は昨年6月、性差別禁止の規定はSOGIに基づく差別の禁止でもあるとみなしました、そして今日のアナウンスは、LGBTQが今や、トランプ政権のように判決に対抗するのではなく、私たちの権利を守ってくれると自信を持てるようになったのです。私たちはLGBTQコミュニティのよりよい未来を描いていけると思えるようになったのです」

 米国最大のLGBTQ権利擁護団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)のアルフォンソ・デヴィッド会長は、「バイデンの大統領令は、これまで発行されたSOGIに関する大統領令の中でも最も実質的で、広い範囲にわたるものです」と語りました。
「今日、何百万ものアメリカ人が、SOGIに基づく差別は非道であるというだけでなく違法であるとの政権の信念に接して、安堵に胸をなでおろしました」
「あの最高裁判決を完全に実装することで、連邦政府は、LGBTQを雇用、医療、住居、教育、その他生活の重要な場面でLGBTQを保護することを連邦法に要請するでしょう。隅々まで浸透させることには時間がかかるでしょうが、この大統領令はすぐに、法の下の平等を求める多くのLGBTQの生活を変えることの始まりになるでしょう。初日の大統領令は、差別の政権から、この世界、人々、夢を見ることを祝福する政権への歓迎すべきシフトの印です」

 職場でのLGBTQ差別を禁ずる最高裁判決を引き出した、アメリカ自由人権協会(ACLU)のLGBT&HIVプロジェクトに携わるジェームズ・エセックス弁護士は、「私たちは、連邦政府がLGBTQ差別に立ち向かうために、この大統領令が十分に実装されるよう、政権に協力します。職場だけでなく、教育、住居、ヘルスケア、税金で賄われるあらゆる分野で」と語りました。
「差別を推奨する政権から、差別を防いでいこうとする政権にチェンジしたことは、本当に安心です」
 
 National Center for Lesbian Rights(NCLR)のエグゼクティブ・ディレクター、アイマーニ・ルパート=ゴードンは、「バイデン大統領が初日にこの大統領令に署名したことは、バイデン政権がすべてのアメリカ人の公民権を最優先にするという力強い宣言にほかなりません」と語りました。
「しかし、LGBTQ、有色人種、複数の不可視化されがちなアイデンディティを持っている人たちを苦しめる構造的差別を終わらせるために、私たちにはまだまだやるべきことがあると認識しています。すべての人たちが保護されるようになるために、NCLRはいつでも政権に協力します」
 NCLRの法律ディレクター、シャノン・ミンターは「大統領令は多くの実際的な含意があります」と語ります。
「雇用の分野においては、例えば、連邦政府機関で働く者はSOGIに基づく差別から保護されるでしょう」
「民間企業で働く者は、政府の雇用機会均等委員会に異議申立てをすることが可能になります。最高裁判決の以前にも、すでに性差別法がLGBTQ労働者を保護すると認識してくれていました。民間企業で働くLGBTQ労働者は、このポリシーに基づいて連邦裁判所に訴えることもできます。司法省は目の前にある重要な法的イシューについてのサポートの書簡を発することもできます」
「政権は通常、民事の裁判には関与しません。しかし、この新たな、重要な法的イシューが存在する場合、政権も議論に加わることができるでしょう。実際、トランプ政権は、LGBTQの原告に不利になるような裁決を下すよう裁判所に繰り返し働きかけてきました。私たちはバイデン政権がLGBTQの原告を適正にサポートすることを期待します」

 オンラインLGBTQメディア「Queerty」は、コミュニティの熱狂について、就任式の日は、レディ・ガガの国歌独唱から始まって(その夜に行われたイベントでの)ケイティ・ペリーのパフォーマンスに至るまで本当に素晴らしく、「祝福と、希望と、団結」の日となったと、そして、その翌日も、大統領令のニュースのおかげでSNSは大騒ぎだった、「アメリカのLGBTQにとって偉大な日になった」と報じています。

 

参考記事:
On Day One, Biden Issues Order Against Anti-LGBTQ+ Discrimination(Advocate)
https://www.advocate.com/politics/2021/1/20/day-one-biden-issues-order-against-anti-lgbtq-discrimination
The Inauguration Day memes are in and the gay energy is strong(Queerty)
https://www.queerty.com/inauguration-day-memes-gay-energy-strong-20210121

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