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差別と闘い、LGBTQを支援してきたセールスフォースの取組みを紹介する記事が日経新聞等に掲載されました

 10月11日のカミングアウトデーに合わせ、顧客情報管理システム(CRM)大手企業であるセールスフォース・ドットコムのLGBTQへの取組みを紹介する記事が複数のメディアに掲載されました。
 
 
 「LGBTQを支援 セールスフォース、差別への挑戦」(日経新聞)によると、セールスフォースの社内には、LGBTQへの平等な社会づくりを目指した活動を推進する社員コミュニティ「Outforce(アウトフォース)」があります。社内SNSを通じてメンバーとLGBTQ関連のニュースや知識などを共有し、外部講師を招いた社内イベントも定期的に開催、また、新型コロナウイルスの感染拡大後も約2ヶ月に1回の頻度でオンライン会合を開いているそうです。昨年からはカミングアウトデーに合わせ、メンバー以外の社員に向けた理解促進の啓発イベントを開催、メンバーが知識をどのように広めたのかなどを調べ、コミュニティ外への影響を常に意識しているそうです。役職や年齢問わずフラットな関係で運営されているそうです。
 アウトフォースのリーダーとして活躍する人事部門の岡林薫さんはレズビアンであることをオープンにしている方ですが、当事者がカミングアウトすることについて、「他のLGBTQ当事者に安心感を与えられ、周囲にLGBTQが身近だと感じてもらえることに意義を感じる。当事者がカミングアウトせず見えないからといって、その職場にいないわけではない。当事者とアライの存在が見える企業はカミングアウトを選ばない人にも安心感をもたらして、働きやすさにつながりやすい。アウトフォースの発信を通じて、セールスフォースで働くことを選択する人も出てきた」と語ります。「性的マジョリティならば、あえて自分のセクシュアリティを告白しなくてもいい。LGBTQは言わないと環境が変わらないのが現状だ。もちろん、自分のセクシュアリティをオープンにしたくない人もいる。人それぞれの個性や違いとして、LGBTQが当たり前に受け止められる社会こそ、本当の差別や偏見がなく、当事者と性的多数派が同じように権利を持った社会といえるのではないだろうか」
 森田青志専務執行役員は、アライになったきっかけについて、「2019年4月に開催された東京レインボープライドに参加して初めて性的マイノリティに興味を持った。私自身がそうだったように、そうしたアライの芽を育てることが重要だ。気軽に出入りできる社内コミュニティがあることはその一助だと思う。業務上のコミュニケーションの円滑化につながり、相乗効果もある」と語りました。「LGBTQと聞くと「自分には理解できない」「わからないから傷つけてしまう」と身構えてしまいがち。ただ、私自身は役員職としてアウトフォースに参加して、LGBTQ当事者への知見が得られる楽しさがあった。ポジティブな感覚がアライへの道に通じると感じている。アライという当事者の外側の人間だからこそ、LGBTQについての発見や発信がしやすい。当事者じゃないからこその発見や自分への気づきを外側に発信している。講演などでなくとも、気負わずに社内外でのコミュニケーションなど日常の一部のふとした瞬間の何気ない発信でもいい。発信もLGBTQ当事者を支援する手段の一つだ」


 BUSINESS INSIDERの記事では、「アウトフォース」設立の背景となる、本国アメリカでの企業のLGBTQ支援のニーズの高まりについて説明されています。
 アメリカでは、企業が社会的責任を果たし、差別の解消に取り組むことを期待する消費者のニーズが高まっています。企業の社会的責任についてのコンサルティング会社、Corporate Citizenshipの調査(2016年)によると、ミレニアル世代(1980年〜1996年生まれ)の8割以上が、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)を達成する上で企業が重要な役割を果たしていると考えているといい、また、FacebookがZ世代(1996年〜2002年生まれ)を対象に実施した調査(2018年)では、約7割がブランドが社会に貢献することを期待しているとの結果も出ています。(日本でも、電通が1万5000人を対象に2019年に実施した「2019年度 ESG/SDGsに関する意識調査」で、投資をする際、6割以上が社会責任投資(ESG投資)を重要視すると回答したことが明らかになっています)
 2015年、米インディアナ州で、顧客の性的指向を理由に事業者がサービス提供を拒否することを認める法案が可決された際、アップル、セールスフォース、ウォルマートなど米国の大手企業が事業のボイコットに乗り出しました。
 2019年には、アマゾンやデル、ナイキなど200社の企業が、連邦最高裁に対してSOGIによる職業差別を国家レベルで禁止するよう求めました。
 2020年にはアップルやグーグルなど米40社超が連盟でトランスジェンダー擁護を訴えたほか、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)を含む200以上の大企業のCEOらがBlack Lives Matter運動を支持する声明を発表しています。

 「実業界のいじめっ子」呼ばわりも……あるCEOが「差別が許される州」に抗議した結果(文春オンライン)でも詳しく紹介されていますが、2015年のインディアナ州の差別的州法が成立した際、セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは、従業員や顧客の反対の声を聞き、「国内で論争になりつつある問題を大きく焚きつけるものだと見なされ、反発が出るだろう。私が尊敬している人も含む一部の人は、私が政争に巻き込まれることの妥当性について首をかしげるはずだ」と悩みながらも、差別への抗議として同州からの撤退を表明することを決意しました。
「フタを開けてみると、インディアナ州の騒動のせいで、少なくともビジネス面で支障が出ることはなかった。それどころか、その後の数ヶ月間で、セールスフォースは記録的な売上げと成長を達成し続けた。どちらかといえば、国を挙げて繰り広げられた、米国の社会正義と価値観をめぐる対話のど真ん中に飛び込んだことで、セールスフォースに対する注目度が高まったのだ」
 アメリカでは(福音派など)宗教上の信念から同性愛を認めない人たちも非常に多く、LGBT支援を打ち出して逆にそういう人たちからボイコットを受けることもあり、企業の経営者の中には「政争に巻き込まれる」ことを避けようとする人たちもいたわけですが、マーク・ベニオフ氏はアライとしての勇気ある決断をしたことで、圧倒的な支持を得たのです。
 
 マーク・ベニオフ氏は創業間もない2000年から、就業時間の1%、株式の1%、製品の1%を社会貢献のために使う制度「1-1-1モデル」を導入しています。「企業のフィランソロピー(社会慈善活動)の最も新しくシンプルなモデル」として採用したものです。この「1-1-1モデル」から生まれたのが、性的指向や性自認に関して平等な社会づくりを目指した活動を推進する社員コミュニティ「アウトフォース」なのだそうです。
 
 「アウトフォース」の森田青志専務執行役員は、「もしも日本の自治体で、LGBTQを差別する法案が通りそうになったら?」という質問に対し、「実行するかは別として、CEOの小出(伸一氏)がマーク・ベニオフに(ビジネス・ボイコットをすることの)インパクトとリスクを伝える可能性はあると思います。(企業として)差別に対して黙っていることはないと思いますね」と語っています。
 
 

参考記事:
LGBTQを支援 セールスフォース、差別への挑戦(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64829620Z01C20A0KNTP00/

#私たちはここにいる 「差別に黙ることはない」世界で進む“企業の政治参加”。日本のLGBTQ支援にも変化(BUSINESS INSIDER)
https://www.businessinsider.jp/post-221828

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