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第3回レインボー国会が開催、LGBT差別解消の法制度について議論が行われました

 性的指向による差別の禁止を謳うオリンピック・パラリンピックを2020年に開催するにあたり、性的指向や性自認による差別の解消を目指す法制度への期待が高まるなか(6日、大会組織委が「共生社会実現を」と宣言し、13日には8名のLGBTを招聘して大会組織委員会約80名の職員を対象にしたワークショップも開催されました)、12月13日、永田町の衆院議第一議員会館で第3回レインボー国会が開かれました。集会には、超党派で構成するLGBT議連のメンバーをはじめとする国会議員の方々とLGBTおよびアライのみなさんが多数参加しました。
 
 国会では、立憲民主党をはじめとする野党6党派が12月5日、行政機関や企業において性的指向や性自認による差別的取扱いが行われることを禁止する議員立法「LGBT差別解消法案」を衆院に提出し、一方で、自民党内でも特命委員会が開かれ、LGBTへの理解を促進する法案を来年、議員立法で提出することを目指すと報じられています。
 会場の参加者からは、一日も早く法制度を、と望む声が出た一方、国会議員に対し「与党案と野党案を一本化してほしい」という要望も上がりました。これに対し、LGBT議連会長の馳浩衆院議員(自民)は、「政治的な対立をあおるような問題ではない。早く成立できるように努力したい」と語りました。

 集会では、性的指向・性自認(SOGI)による差別の現状について、識者や当事者から報告がなされました。細野豪志衆院議員(無所属)は「日本人が海外で外国人と同性婚しても、パートナーを日本に連れてくることはできません。しかし、同性婚した外国人カップルの場合は、人道的観点から『特定活動』として認められ、日本でも家族として入国・在留ができます。つまり、外国人に対してはどうぞどうぞと外面がいいのに、日本人には何ら処置をしていない。極めて問題だと思います」と指摘しました。
 日本人と外国人の同性カップルの在留資格については、日本人の男性と長年連れ添った台湾人の男性が2017年3月に国外退去を命じられたことを機に、性的指向による差別だとして違憲訴訟が起こされ、現在も係争中です(詳しくはこちら

 国際的な法政策の動向について講演をした谷口洋幸・金沢大学准教授は、日本が国連LGBTコア・グループのメンバー国として重要な地位にあり、また、2020東京大会の開催国であることにも触れ、「LGBTが抱える困難があるという現状は、裏を返せば、今の法政策がLGBTではない人だけを前提に作り上げられているということ。つまり、性的指向・性自認(SOGI)によって人々が分断されている状況だ」「こうした法政策が明示的にせよ黙示的にせよ、この分断に加担してしまっているのではないか」と指摘しました。

 先進的な事例として、オランダ大使館広報政治文化部のトン・ファン・ゼイランド副部長がオランダでの取組みを紹介しました。オランダでは2000年、世界で初めて同性婚を承認した国ですが、「同性婚できるようになったからといってチューリップが咲かなくなったなどということはありません。変わったのは、人々がより幸せになり、国としてまとまりがよくなったということです。オランダは幸福度調査で高い指標を獲得しています。安心感をあげていくことが、幸福度を上げていくことにつながっています」
 
 国内では、JR東日本の取組みが紹介されました。2017年から社内研修や相談窓口の設置、同性パートナーへの福利厚生の拡大などの取組みを行ってきました。今年4月、トランスジェンダーの社員が入社したことをきっかけに、自認する性別で働けるような制度の見直しを実施したそうです。
 性的マイノリティの知人を差別によって亡くした経験を持つアクセンチュア人事部の東由紀さんは、「差別はまだまだ職場の中で広がっていて、それは人の命を奪うものだと思う」と述べました。今後、EY Japanなど賛同する数社と共に、企業が抱える課題を調査し、提言をする予定だそうです。
 
 2019年2月から3月にかけて同性カップルが原告となって同性婚をめぐる違憲訴訟を行うことも話題となりました。福島瑞穂参院議員(社民)は「全力で応援していきたいと思っています。自治体も独自に条例をつくっていますが、同性婚法や差別撤廃法など、国政こそやらなければならないことはたくさんある。超党派でがんばっていきたい」と語りました。

 

参考記事:
SOGIハラとは? レインボー国会で議論「差別は広がっていて、それは人の命を奪うもの」(ハフィントンポスト)
「LGBT差別禁止法案、与野党一本化して」 レインボー国会、当事者らが切実な訴え(弁護士ドットコム)

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