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LGBT差別禁止条例は何のため? 同性カップルがパートナーシップ証明を受けられず、都営住宅にも入れない矛盾

記事日付:2020/07/02

 2018年10月、東京都で「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例東京都でLGBT等への差別を禁じる人権尊重条例」が成立しました。都道府県としてLGBT差別禁止を謳う条例を制定するのは初めてで、画期的なことでした。しかし、LGBT差別禁止を謳いながら、未だに多くの都民が同性パートナーシップ証明を受けられず、都営住宅にも入居できないのは矛盾であり、当事者や専門家から「実効性が乏しい」との声が上がっています。 
 
 
 東京都小平市で同い年の女性パートナーと暮らす加沢世子さんは「私たちは家族として認められていないので、ありとあらゆることで壁にぶつかる。都営住宅に入る選択肢がないのもその一つ」と語りました。お二人は同居して13年目です。引っ越しの際に都営住宅を探したこともありましたが、同性パートナーとは入居できないとわかり、あきらめたといいます。
 最近ではクレジットカードの家族カードの申請で壁を感じました。自治体が発行するパートナーシップ証明書の提示を求められましたが、小平市には同性パートナーシップ証明制度がないため、二人の関係性や家族としての取決めを記した公正証書を示してようやく審査が通ったそうです。「夫婦だったらこんな面倒なことはない。都にパートナーシップ制度があれば」と加沢さんは語ります。
 都道府県としてもすでに茨城県と大阪府が同制度を導入しています。茨城県では7月1日で運用開始から1年を迎え、これまでに33組の同性カップルが宣誓、公営住宅の入居時に家族と同様に扱う自治体は21市町に増え、手術の同意などに使える病院も28病院まで拡大しました。導入を機に、官民ともに理解の輪が広がっています。

 都条例は、条例の名称にも表れているように、五輪の開催都市ゆえに設けられました。2014年ソチ冬季五輪の際、開催国ロシアでLGBTについて公に発言することを禁じる同性愛プロパガンダ禁止法が成立したことなどに欧米各国の首脳が非難し、開会式をボイコットするなどしたことから、五輪憲章に「性的指向による差別禁止」が追加されました(以後、開催都市は、LGBT差別の解消のための政策の実施が求められることになりました)
 条例では「都、都民、事業者は、性自認や性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」と明記されています。しかし「基本は啓発や普及。理解を進めるのが大前提」(都人権部)で、相談窓口はあるものの、行政による救済や処分の規定はありません。
 都営住宅の同性パートナー入居について、担当課は「検討中」と回答しました。
 同性パートナーシップ証明制度については、今年3月の都議会総務委員会で、都人権部長が「婚姻関係のあり方そのものにかかわるものであり、広範な国民的議論が必要な課題」と繰り返し、導入に消極的な姿勢を見せました。
 千葉市世田谷区のような同性パートナーを持つ職員への福利厚生制度の適用も、東京都では実施されておらず、都職員が福利厚生の平等を求めて都に措置を要求しています。
 
 差別禁止法制に詳しい労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員は、「啓発と相談対応は重要だが、それだけでは条例の差別禁止規定が生かされない。苦情の申立てができ、行政による指導や是正命令がなされる仕組みが必要だ」と強調しました。

 加沢さんは、レズビアンと多様な女性(性的少数者)のための活動をするNPO法人「レインボーコミュニティcoLLabo(コラボ)」の理事として10年以上活動してきました。近年、LGBTへの認知度が高まるなか、制度の導入が進んで当事者の困り事が可視化されてきたことは評価しながらも、「東京が変われば影響は大きい。LGBTに関する教育も変わってほしい。当事者の声ももっと聞いてください」と語りました。
 
 7月5日は都知事選です。次に都知事になる方にはぜひ、同性パートナーシップ証明制度や都営住宅入居を実現していただきたいですね。
 


参考記事:
同性カップル都営住宅入れず LGBT差別禁止条例あるのに<都知事選・現場から>(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/39096
LGBT「2人の証し」宣誓33組 茨城、カップル公認制度1年 広がる理解の輪(茨城新聞)
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15935257933730

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