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未成年の子を持つ方の性別変更の申し立てを家裁が却下しました

記事日付:2020/02/15

 9歳の娘がいる兵庫県のMtFトランスジェンダーの方が戸籍上の性別を女性に変更するよう求めた審判で、神戸家裁尼崎支部が2月10日付で申し立てを却下したことが明らかになりました。「未成年の子がいない」ことを性別変更の要件とする性同一性障害特例法の規定について小林直樹裁判官は「権利が一定限度で制限されるとしても立法府の裁量の範囲内」と判断しました。

 昨年末、未成年の子がいるMtFトランスジェンダーの方が性別変更できるよう家裁に申し立てを行なったというニュースをお伝えしていました。この方は、戸籍上男性として生まれるも、幼い頃から性別違和を覚え、約30年前からホルモン治療を始め、約25年前から女性の姿で仕事をしており、女性的な名前に改名し、今年、国内で性別適合手術も受けました。しかし、離婚した元妻との間に8歳の娘がいるため、「未成年の子がいないこと」という現行の性同一性障害特例法の要件に満たず、性別変更が認められません。
 職場の上司から女子トイレを使わないよう指示されたり、パスポートや保険証などの公的書類も「男性」と表記されるため、生活に著しく困難を感じているそうです。
 「子が成人するまで戸籍上の性別が変更されないことで、社会生活の不利益を受け続けるのは不合理だ」と訴えたものです。

 申立人の方は、性同一性障害特例法の「子なし要件」を「憲法が保障する幸福追求権(13条)や法の下の平等(14条)に反する」と主張しましたが、神戸家裁尼崎支部の小林裁判官は、この要件がなければ娘の実親は母2人となるとし、「脈々と築かれてきた我が国の家族秩序とは異なる家族観を生じさせる。現時点の法あるいは社会として許容できるとは言いがたい」と述べました。申立人の方は「未成年の子がいる人を差別する要件だ」とも主張しましたが、「子の心理的な混乱や不安などを踏まえ、要件には十分な必要性や合理的根拠がある」として退けました。
  性同一性障害特例法は2004年に施行されましたが、その際、「親子関係などの家族秩序を混乱させたり、子の福祉に影響を及ぼしたりしないように」という趣旨で「子なし要件」が盛り込まれ、「一生性別変更できない」と、子どもがいる当事者をひどく苦しめ(自殺した方もいらしたそうです)、2008年に「未成年の子」に改められました。しかし、世界的に見ても「子なし要件」が設けられているのは日本だけで、道理がないとの批判を浴びてきました。
 
 今回の神戸家裁尼崎支部の判断に対して、インターネット上では、「報道が正確であるとすれば、家裁が標榜する家族観は、憲法で保障された個人の幸福追求権に優越するらしいです。どのような法理に基づくのか、是非お伺いしたいものです」「【悲報】神戸家裁尼崎支部の小林直樹裁判官、同性カップルの子育て家庭を差別するような私見を審判で堂々とご披露」「裁判官という人たちのGID(※性同一性障害)に対する無理解はすごいから…(改名を却下された方の投稿)」「人の家族関係に国家権力が介入するのは不当では?」「どんどんいろんな家族観、出てきてよくない?」「子どものいる同性のカップルを全否定してません?」「特例法自体は外観の移行や生活上の性の移行を禁止していない。二人母がいる状況は子にとって既に生活上生じ得る。親の生活上の性と戸籍上の性別が異なることから来る子への不利益の方が問題なのでは?」などの声が上がっています。

 申立人の方は不服として大阪高裁に即時抗告する方針です。

 

参考記事:
未成年の親の性別変更申立てを却下 神戸家裁(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200214/k10012285781000.html
9歳の娘がいる父の「性別変更」を家裁が却下 「我が国の家族秩序とは異なる家族観」理由に(ABC)
https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_5043.html
9歳の子がいる会社員の性別変更却下 「差別といえぬ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASN2G5VL7N2GPLZB007.html
未成年持つ父の性別変更を却下 家裁尼崎支部(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20200214/ddn/041/040/004000c
性別変更求めた審判却下 神戸家裁 申立人の戸籍上男性、高裁に即時抗告へ(神戸新聞)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201912/0012928339.shtml

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