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日本のトランスジェンダーのリアリティを伝えるドキュメンタリー映画『I Am Here』が上映中です

記事日付:2020/10/19

 20代から70代まで17人のトランスジェンダーの人たちがそれぞれの過去や悩み、希望を語り、当事者の抱える問題を浮き彫りにするドキュメンタリー映画『I Am Here ─私たちはともに生きている─』が27日まで公開中です。トランス男性の活動家・浅沼智也さんが監督した作品。連日ゲストを招いたトークショーも行なっています。
 
 
 浅沼智也さんは、出生時に割り当てられた性別は女性でしたが、小学生の頃から性別違和を覚え、周りからは「ボーイッシュな変なやつ」と奇異な目で見られ、いじめられた経験も。18歳で性同一性障害と診断され、23歳で性別適合手術を受け、戸籍を男性に変えました。男性看護師として勤務を始めましたが、アウティングの被害に遭いました。働き始めて2年ほど経った頃、ごく一部の同僚しか知らないはずのトランスジェンダーであることが患者にまで知られていて、「下半身はどうなっているの」「よく見ると女性顔だよね」などとからかわれ、屈辱と不安に襲われ、うつ病を発症。間もなく職場を去りました。
「昔に比べると、今の日本は僕たちが少しだけ生きやすい社会になったと思います。しかし、全ての当事者が胸を張って幸せに生きられる状態とは言い難い。差別や偏見は続いているし、いないものとされることもあるからです。映像を通して、日本のトランスジェンダーの状況を、世界を含むあらゆる人に知ってもらいたいと思ったのが、映画を作るきっかけの一つです」
 年代も幅広く、職業も会社員から水商売、研究者と、さまざまな境遇で生きるトランスジェンダーの方たちにインタビューしました。
 2004年に施行された性同一性障害特例法では、20歳以上であること、未成年の子どもがいないこと、性別適合手術を受けていることなど、5つの要件を満たした人が戸籍性を変えることができますが、要件が厳しく、変更するためのハードルが高いことに言及されています。
「戸籍を変えて幸せになった人もたくさんいます。でも、戸籍変更のための法律は心身ともに負担が大きいと思っています。性別適合手術の場合、体への負担が大きく、アフターケアも大変。僕自身、生殖器を取ったことで、子孫を残せないし、更年期障害の症状もある。戸籍変更後も、ホルモン療法を継続するために資金が必要です。若い人が戸籍変更する事も多いですが、変更後の人生の方が長いんですよね」
 浅沼さんは手術をしたことに後悔の気持ちがあるからこそ、次世代の当事者たちには、同じ思いをさせたくないと願っています。映画の出演者からも「自分と同じような境遇にある人を助けたい」という思いを感じたそうです。
「この映画を通して、当事者の人には、他にもがんばっている人がいるから、自分らしく胸を張って生きてほしいとエールを送りたい。同時に、当事者でない人にも、僕たちが何に困っているのか、日本の法制度を含めどんな問題があるのかを知ってほしい。そして、一緒に変えていくために協力をしてほしいんです」

 映画には、『金八先生』で上戸彩さんが演じた役のモデルとなった虎井まさ衛さんや、「gid.jp」代表の山本蘭さん、東京レインボープライド共同代表の杉山文野さん、『女装と日本人』などの著書がある研究者の三橋順子さん、活動家・ライターの畑野とまとさん、大阪のコミュニティセンター「dista」でHIV予防啓発などに携わっている宮田りりぃさんなど、日本のトランスジェンダーの社会的地位向上に貢献してきた当事者の方々がたくさん、登場しています。
 22日のトークショーには杉山文野さん、24日のトークショーには三橋順子さんと畑野とまとさんが出演するそうです(詳細はこちら


 
映画『I Am Here ─私たちはともに生きている─』
日時:~10月27日(火)19時〜20時(水曜・日曜休映) 
会場:CINEMA Chupki TABATA

監督:浅沼智也
昨年、著書『虹色ジャ~ニ→ 女と男と時々ハーフ』(文芸社)を発表。「TRANS VOICE IN JAPAN」や「TRanS」の代表をつとめ、今年11/21には初のトランスマーチを開催予定。


参考記事:
「生きづらさを知ってほしい」 いまを生きるトランスジェンダーのドキュメンタリーが伝えるもの(AERA)
https://dot.asahi.com/aera/2020101900012.html
私たちはともにいる ドキュメンタリー「I Am Here」17日から上映(神奈川新聞)
https://www.kanaloco.jp/news/culture/bunka/article-267687.html

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