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ゴールドマン・サックスが、取締役会に白人異性愛男性しかいない会社とは取引しないと宣言

 ゴールドマン・サックス・グループのCEOが1月23日、取締役会が人種や性別、SOGIの多様性に欠ける企業とはビジネスをしないことを宣言しました。
 
 米国の新規株式公開(IPO)引き受け最大手であるゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOは、スイスのダボスで行われている世界経済会議で、「過去4年のIPOを調査したところ、取締役会に女性が1人もいない企業より、女性がいる企業のほうが明らかにパフォーマンスが良好であることがわかった」と語りました。そして、今年7月以降、白人以外、女性、またはLGBTが取締役会に1人もいない企業のIPO業務は引き受けないとの最後通告を発表しました。来年はこのハードルを2人に引き上げるそうです。過去2年に株式公開した欧米企業のうちの60社余りで、女性または非白人の取締役がいなかったことを認識して、このような決定に踏み切ったといいます。ちなみにゴールドマン・サックスの取締役会は現在、11人中4人が女性です。
 
 多様性を持たない取締役会や経営陣を容認しない動きは、着実に広がっています。資産運用会社の中でも世界最大のブラックロックと、世界第3位のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、女性の取締役がいない企業の取締役会メンバーに不信任票を投じています。カリフォルニア州の新しい州法の下では、同州を本拠地とする取締役会が男性のみの公開企業は10万ドル(約1100万円)の課徴金に直面します。
 ボストン大学クエストロム・スクール・オブ・ビジネスのフレッド・フォルケス教授は、「これは大きな変化だ。非常に驚いた。JPモルガン・チェースとモルガン・スタンレーはどうするのだろうか」と語りました。
 JPモルガンは、ゴールドマンのようなポリシーは持たないものの、企業の取締役候補選びで多様な人材について助言するサービスを2016年から提供していると説明。モルガン・スタンレーはコメント要請に応じていません。

 なお、今回発表された、7月以降、取締役会が白人異性愛男性ばかりの企業のIPO業務は引き受けないとの方針は、北米・欧州の企業が対象で、アジアなどは含まれないそうです。取締役会が全て男性というケースがよくある、ダイバーシティ&インクルージョンにおいてまだまだ課題がたくさんあるから、ということのようです。
 ゴールドマン・サックスの広報担当者は、いずれはアジアなどの地域でも顧客と相談した上でこのルールの適用を検討していくと話しています。
 責任ある包括的なビジネス慣行を提唱する香港のグループ「コミュニティ・ビジネス」の責任者、ファーン・ナイ氏は「今日では企業の取締役会が多様性を欠き、男性だけというのは通用しない」とした上で、ゴールドマンは「アジアを含めるべきだ。なぜそうしないのかわからない」と語っています。

 
 日本でゴールドマン・サックスといえば、2005年に社内LGBTネットワークが設立され、2009年からはLGBTの学生を対象にした会社説明会を開催するという、LGBTに関しては最も早くから取組みを進めてきた企業です。同社法務部の稲場弘樹さんがカミングアウトを果たし、その上司であり法務部長である(LGBTとアライのための法律家ネットワーク共同代表及び共同創設者でもある)藤田直介さんとともに講演活動などを行なっていることでも知られています。

 
 
参考記事:
Goldman Sachs will no longer do IPOs for companies with all-male boards(NY POST)
https://nypost.com/2020/01/23/goldman-sachs-will-no-longer-do-ipos-for-companies-with-all-male-boards/
ゴールドマン、取締役が男性や白人オンリーならIPO手掛けない(Yahoo!ニュース/Bloomberg)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200124-37564806-bloom_st-bus_all
ゴールドマン、企業に多様性求めるルールはアジアでは適用せず(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-26/Q4QMPFT1UM1001

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