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米航空会社が、男/女以外の性別の選択肢を導入する方針を明らかにしました

 アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空、アラスカ航空などの航空会社で構成されたアメリカの航空会社の業界団体「エアラインズ・フォー・アメリカ(A4A)」は、利用客が航空券を予約する際の性別の申告について、従来の「male(男性)」「female(女性)」以外の選択肢を設ける方針を明らかにしました。新しい選択肢は「unspecified(特定せず)」や「undisclosed(公開せず)」となるそうです(略称は”X”、”U”)。Mr./Ms.に代わる敬称としてMx.も追加される予定です。この新基準は6月1日から発効します。
 
 先週、USA Todayは、A4Aと国際航空運送協会(IATA)に加盟する航空会社が、ノンバイナリー(自認する性別が典型的な男/女に当てはまらない人。日本で言うXジェンダー)の人々のための選択肢を国際的な新基準として承認したばかりだと報じました。
「アメリカの航空会社は、ダイバーシティー(多様性)&インクルージョン(包摂)の文化を尊重する。それは職場においても利用客に対しても同様である。我々は日々の熱心な取組みを通じてあらゆる旅行者の要望に応える一方、安全で安心かつ心躍るフライトの体験を提供する」とA4Aは声明で伝えています。

 トランスジェンダーの権利擁護団体「National Center for Transgender Equality」は、この航空業界の動きを歓迎する声明を発表しました。
「ノンバイナリーの人々は、航空会社や空港の職員、警備員らから不必要で無遠慮、差別的な詮索にさらされている。A4Aの取組みは重要な一歩であり、いくつかの州がIDなどで中立的な性の呼称を提供していることに足並みをそろえるもので、性別を問わず全乗客が安全で円滑に旅ができるように保証する重要な一歩だ」

 実際に新たな選択肢を導入するかどうかの判断は、各航空会社に委ねられています。
 最も早くからLGBT支援を行なってきたことで知られるアメリカン航空は、選択肢の導入に向けて動いていることが確認されています。ユナイテッド航空もTwitterで、性別申告の変更を示唆する内容のコメントを投稿しています。また、デルタ航空はA4Aに加盟していませんが、声明で、いつになるかわからないものの、男女以外の選択肢を導入すると、それは「インクルージョンへの約束」の一環だと述べているそうです。

 アメリカでは2017年、オレゴン州がIDの性別欄にサード・ジェンダーを記載することを認めた最初の州となりました。M/Fに加え、”X”の選択肢ができたのです。現在はカリフォルニア州、コロラド州、メイン州そしてワシントンD.C.もサード・ジェンダーを選べるようになっています。
 また、ニューヨーク市では、この1月から施行された新条例により、トランスジェンダーおよびノンバイナリーの方が、自身のIDの性別を自認する性別に合わせることが容易になりました。医療サービス提供機関の署名入りの宣誓書が不要となったのです。性別欄への”X”の記載もできるようになりました。
 
 トランプ政権はこれまで、トランスジェンダーの従軍を禁止しようとしたり(その後、裁判が起こされましたが、最高裁で合法とみなされる可能性が高まっています…)、トランスジェンダーの性別変更を禁じる法案を準備していると発表したり、トランスジェンダー排除、弾圧とも言える非道な措置を行なってきました。そのような流れに加担するのではなく、毅然としてトランスジェンダーの権利擁護を一歩進めることを決意した米航空業界は、本当に素晴らしい、けだし英断であると言えるでしょう(これがアライ企業というものです)

 

 
参考記事:
米航空会社、チケット予約時の性別選択を改定へ 男女以外を導入(CNN)
航空会社が、フライト予約の性別欄に「男性」「女性」以外のオプションを追加へ(ギズモード)

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