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LGBT関連ニュース

テイラー・スウィフトが政治的沈黙を破り、「同性婚を支持しない人には投票できない」と語りました

記事日付:2018/10/05

 長い間、政治に関して口を閉ざしてきたテイラー・スウィフトが「女性の権利に消極的な人や同性婚を支持しない人には投票できない」として、初めて民主党候補に投票することを表明し、また、ファンにも選挙に行くよう呼びかけ、「沈黙を破った」と世界を驚かせています。
 
 テイラー・スウィフトは10月7日(現地時間)、政治と選挙に関する自分の思いを綴った長文をInstagramに投稿しました。

 来たる11月6日の中間選挙に向けてこの投稿を書いています。私はテネシーで投票するつもりです。これまで私は、政治的な意見を公にすることに消極的でした。でも、この2年間、私の人生でも、世界でもさまざまなことがあって、今は意識が大きく変わりました。これまでは、「この国で生きる人たちすべて」が享受する人権を守るために闘ってくれる候補者に投票してきましたし、これからもそうするつもりです。
 私はLGBTQの権利のための闘いを信じています。性的指向やジェンダーに基づいた差別は、どのようなものであっても間違っています。肌の色による体系的な差別は、恐ろしく、病的ですが、それは今でもこの国に広く存在していると思います。
 肌の色やジェンダー、誰を愛するか、といったことにかかわらず、「すべての」アメリカ人の尊厳のために闘うことをしないような人に、私は投票できません。テネシー州から上院選に出馬するのは、マーシャ・ブラックバーンという女性です。私は可能な限り女性の候補者に投票しようとしていますが、マーシャ・ブラックバーンは支持できません。
 彼女がこれまで、議会でどんな振る舞いをしてきたかを知って、恐ろしくなりました。彼女は男女の同一賃金に向けた案に反対し、DVやストーカー、デートレイプから女性を守ろうとするVAW法の改正にも反対しました。そして彼女は、ゲイカップルへのサービス提供を拒否する権利がビジネス側にあると考えています。ゲイカップルには結婚する権利がない、とも。そういう考えは「私の」テネシー的な価値観とは全く異なっています。
 私は今回、上院はフィル・ブレデセンに、下院はジム・クーパーに投票します。みなさん、どうか自分の州の候補者について知識を身につけて、自分の価値観と最も近い人に投票するようにしてください。ほとんどの場合、この人なら100%同意できるという候補者は、いないでしょう。でも、どうせ投票はしなきゃいけないですよね。
 だから、賢くて、思慮深くて、冷静な18歳以上の人たちは、投票する権利があり、自分の投票に意味を持たせる特権があるわけですから、まずは有権者登録をしておくこと。テネシーの登録最終日は10月9日です。情報はウェブサイトvote.orgで手に入ります。Happy Voting!(投票箱、スマイル、レインボーのアイコン)


 来月の中間選挙は、連邦議会議員や州知事が選ばれる選挙で、この2年のトランプ政権の政治に対する国民の意思表示の機会としてたいへん重要な、注目される選挙です。バイブルベルトの中心に位置するテネシー州は伝統的に赤い州(共和党が優位)でしたが、共和党の政治家の中にはマーシャ・ブラックバーンのようなセクシスト(性差別主義者)もいて、女性の権利もゲイの権利も踏みにじろうとしている、そういう候補が当選しそうになっているし、トランプ政権もこうしたあからさまな差別を後押ししているという状況に、テイラーもとうとう黙っていられなくなったのです。
 10月2日に、米国務省が米国に駐在する外交官らの同性パートナーに認められていた査証(ビザ)の発給を停止する方針を明らかにした(100名を超える同性愛者が出国を迫られる可能性が出てきた)ということも、テイラーの気持ちを動かすきっかけになったかもしれません。
 
 こちらの記事にも書かれていますが、マドンナやレディー・ガガ、ケイティ・ペリー、ビヨンセ、そしてアリアナ・グランデに至るまで、音楽界のセレブリティはこぞって民主党支持を表明し、政治的な態度を明らかにしてきました(アメリカという国では当然のことです。2016年大統領選では「テイラー・スウィフトは誰に入れるのか」がグーグル検索用語の上位に上がり、政治について何も言わないことを批判されていました)。そんななかでの「テイラー・スウィフトの沈黙は、彼女がカントリー・ミュージックという音楽ジャンルを出自とすることと無関係ではない」のです。
 カントリーミュージックのファン層は(日本で言うと演歌のようなイメージで)中西部や南部に住んでいる共和党支持で高齢の白人男性たちだと見られてきました。テイラー自身が民主党支持だとしても、とてもじゃないけどそういうことは言えない、貴重なファン層が離れて行ってしまうということで、おそらく周囲から政治に関する発言は止められていたのではないでしょうか。しかし、近年はカントリーのファン層も非白人だったり若い女性だったり、多様化してきていることが明らかになっています。
 だんだん音楽性もカントリーから離れてポップ・ミュージック寄りにシフトし、世界的なポップ・スターに成長し、ファンも全世界に広く存在する(今やInstagramのフォロワーは1億人超に達しています)テイラーは、デビューから12年が経って、音楽界における発言力も増してきた今、ようやく、政治に関する自分の思いを発言できるようになったのでしょう。
 
 テイラーの今回の発言に対し、Instagramでは200万人超が「いいね」と反応し、24時間以内に25歳未満の若者約10万人が有権者登録を行ったといいます(選挙啓発活動に当たる非営利団体「ボート・オルグ」の広報担当者は「スウィフトさんのおかげだ。神に感謝している」と語ったそうです)

 テイラーは(マドンナ以降のポップ・ディーバがみんなそうであったように)ゲイのファンたちへのメッセージを送ってきました。
 2015年、最高裁判決によってアメリカ全土で結婚の平等が達成されたとき、レディー・ガガだけでなくテイラーも「ようやく今、自分が好きな人を愛してもよくなった。男子と男子、女子と女子でも」とツイートしています。
 今年のプライド月間には、シカゴ公演の最中にコンサートを一時中断し、「たとえどんな状況にあっても自分の感情に敏感になるのは、いろんな意味でとても勇敢なことだと思う。でも、自分の感情や愛する人に対して正直になるのはもっと勇気が要る。社会から反発を受けるかもしれない」と語りはじめ、大勢のファンの拍手と歓声に包まれながら、こう続けました。
「今月だけじゃなく毎月、私は、自分の感じ方に正直で、自分らしく、自分の思うまま、自分のアイデンティティ通り生きる勇敢な人たちみんなへ愛と敬意を送りたい。そして今月は、私たちのこれまでの成果を称えるべきだと思う。でも同時に、あとどれくらいやらなくてはならないことが残っているか、知るべきでもある。まだカミングアウトするのを心地よく思えないと感じている人達へ愛と敬意を送りたい。自分のタイミングでやればいい。みんなが平等に生き、愛することができ、自分の気持ちを口にするのを恐れないでいられる世界になりますように」
 カントリーが好きだったせいで学校でいじめられていた内気な女の子は、世界的なスターへの階段を一歩ずつ登りながら、世の中の真実に(こんなにも敏感に)目を向け、自分の頭で考え、堂々と語れるような、パワフルな女性へと成長したのです。素晴らしいですね。
 
 9日の『NEWS ZERO』でも、テイラーがこのように態度を変えた理由はLGBTへの支援の気持ちだった、と大々的に報じられていて印象的でしたが、今回のテイラーの発言は、世界中のLGBTをも勇気づけるようなものだったと言えるでしょう。

 



参考記事:
テイラーさん民主支持表明 ファンらに投票呼び掛け(共同通信)
「テイラー効果」有権者登録急増=インスタグラムで民主候補支持-米(時事通信)
米歌手テイラーさん 民主支持表明 ファンに投票呼びかけ(毎日新聞)
トランプ氏、テイラー・スウィフトさんが「前より25%」嫌いに 民主党候補支持で(BBC)
テイラー・スウィフトの民主党支持表明、共和党支持者と白人ナショナリストが怒り心頭(Rollingstone Japan)
なぜ今…?テイラー・スウィフトが民主党支持を表明(COSMOPOLITAN)
テイラー・スウィフト「中間選挙で共和党に投票しない」194万人がいいね(J-CASTニュース)
テイラー・スウィフトがコンサートを「一時中断」した理由が奥深い(フロントロウ)