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日本でも企業のLGBT施策を評価する「PRIDE指標」が策定されることになりました  

 6月21日、任意団体work with Pride(以下「wwP」)が、日本で初めてとなるLGBTに対する企業等の取組の評価指標「PRIDE指標」を公開しました。  

wwPの2015年のセミナーで、LGBTの課題の更なる認知とLGBTに対応した制度の定着を目的として、海外で先行しているLGBTに対する企業等の取組指標(米ヒューマン・ライツ・キャンペーンの「CORPORATE EQUALITY INDEX」等)の日本での導入が提案され、多くの参加者から賛同が集まり、これを受けて、2015年12月に24の企業・団体有志が協力して検討会が立ち上げられ、指標案の検討が行われてきました。事務局には日本アイ・ビー・エム株式会社、パナソニック株式会社、ソニー株式会社が参加し、検討会のメンバー企業には、弊社アウト・ジャパン、第一生命保険株式会社、株式会社電通、野村證券株式会社、富士通株式会社、モルガン・スタンレー、ライフネット生命保険株式会社、株式会社ラッシュジャパンといった企業が名を連ねています(社名非公開の企業なども含めると全24社)  

7月1日(金)から9月16日(金)まで「PRIDE指標」に対する企業等の取り組み内容を募集し、10月26日(水)に東京・晴海の第一生命ホールで開催する「work with Pride 2016」セミナーで発表される予定です。  

「PRIDE指標」は、wwPが目指す「企業等の枠組みを超えてLGBTが働きやすい職場づくりを日本で実現する」ために、以下の目的で活用される予定です。

①企業等に、LGBTが働きやすい職場の要件を認識してもらい、社内施策を推進するためのガイドラインとして活用いただくこと。

②毎年、本指標に対する企業等の取り組み状況や取り組み事例を募集し、優れた企業を表彰することで、LGBTが働きやすい職場づくりを応援すること。

③募集した取り組み事例の中から、ベストプラクティスを可能な範囲で公開して、LGBTが働きやすい職場づくりの定着状況や具体的な方法を、広く社会に認識いただくこと。

「PRIDE指標」の具体的な内容は以下の通りです。

1.<Policy:行動宣言>評価指標  会社としてLGB等の性的マイノリティに関する方針を明文化し、インターネット等で 社内・社外に広く公開していますか。

2.<Representation:当事者コミュニティ>評価指標  当事者・アライ(支援者)に限らず、従業員が性的マイノリティに関する意見を言える 機会を提供していますか。(社内のコミュニティ、社内・社外の相談窓口、無記名の意識 調査、等)また、アライを増やす、顕在化するための取り組みがありますか。

3.<Inspiration:啓発活動>評価指標  過去3年以内に、従業員に対して、性的マイノリティへの理解を促進するための取り組み (研修、啓発用メディア・ツールの提供、イントラ等での社内発信、啓発期間の設定、等) を行っていますか。

4.<Development:人事制度、プログラム>評価指標  以下のような人事制度・プログラムがある場合、婚姻関係の同性パートナーがいることを会社に申請した従業員およびその家族にも適用していますか。

A.休暇・休職(結婚、出産、育児、養子縁組、家族の看護、介護など)

B.支給金(慶事祝い金、弔事見舞金、出産祝い金、家族手当、家賃補助など)

C.赴任(赴任手当、移転費、赴任休暇、語学学習補助など)

D.その他福利厚生(社宅、ファミリーデー、家族割、保養所など)  

トランスジェンダーの従業員に以下のような施策を行っていますか(申告があれば適用しますか)。(一つでも当てはまれば Yes)

A.性別の扱いを本人が希望する性にしているか(健康診断、服装、通称など)

B.性別適合手術・ホルモン治療時の就業継続サポート(休職、勤務形態への配慮など)

C.ジェンダーに関わらず利用できるトイレ・更衣室などのインフラ整備

5.<Engagement/Empowerment:社会貢献・渉外活動>評価指標  過去 1年以内に、LGBTへの社会の理解を促進するための社会貢献活動や渉外活動を行いましたか。  採点の結果は、結果が出次第、順次各企業にお知らせします(その際に、work with Pride 2016セミナー会場において、表彰可能か否かの許諾をいただきます)  

5点獲得企業・団体はゴールド、4点獲得企業・団体はシルバー、3点獲得企業・団体はブロンズとして、表彰します。  

ご記入いただいた取り組み内容の中から、指標運営委員会が特に優れていると判断した事項につき、ベストプラクティスとしてwwPウェブサイトおよび上記レポート冊子に掲載、または毎年秋に開催しているwwPセミナーにて紹介させていただきます(ただし、その際には、事前に掲載または紹介について承諾をいただき、ベストプラクティスとしての記載または紹介内容についても、原稿を確認いただきます)  

表彰の様子、表彰結果については、後日、wwPウェブサイトで公開されます。 なお、初年度は、取り組みの範囲やレベルは問わず「取り組みを始めているか」を確認するための指標となっています。今後、日本企業の推進状況に応じて、年単位で適宜、見直しが行われる予定です。応募方法等の詳細はこちらhttp://www.workwithpride.jp/pride.htmlをご覧ください。  

こうした評価指標が策定される背景には、欧米でLGBTへの対応が企業の評価や取引の基準になり始めた影響が大きいと、日本経済新の記事は指摘します。米IBMは購買先を決める際、LGBT差別をしない企業とだけ取引をするルールを定めています。  

人権団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」が米企業を対象に実施した調査によると、87%が性的指向で社員や取引先を差別しないことを明文化しています。  

ゲイであることを公表している日本IBMの川田篤氏は「LGBTを受け入れる制度の有無が企業の評価を左右する傾向は今後強まる」と語ります。  

逆に、LGBTへの対応を誤ると非難やボイコットの対象にもなりえます。例えば任天堂は欧米版のゲームで同性キャラクターが結婚できない仕様になっていたために批判を受け、新しいゲームでは同性婚が可能な設定に作り替える措置を取りました。


参考: LGBT 働きやすく 日本IBMなど30社・団体が指針 人事や福利厚生 配慮 2016.6.17 日本経済新聞電子版

LGBT、世界水準へそろり パナソニックなど30社・団体が指針 企業評価基準に半数、名前出さず 2016.6.22 日本経済新聞電子版

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