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邦銀で初めて、東京スター銀行が同性パートナーにも家族優遇を適用

 東京スター銀行は11月1日、預金商品における「家族取り引き」の範囲を拡大し、同性パートナーも対象にする取り扱いを開始しました。国内の銀行では初めてのことです。

 これまでの「家族取り引き」は「家族(2親等以内)」と定められていましたが、今後、渋谷区が発行するパートナーシップ証明書または世田谷区などが発行するパートナーシップ宣誓書の受領証を提示すれば、家族優遇を受けられるようになります。

 適用される預金商品は、条件に応じて金利が3段階で優遇される「スターワン円定期預金プラス(1年もの)」、直近3年以内に受け取った退職金の預け入れで金利が優遇される「退職金専用 スターワン円定期預金(1年もの)」、直近3年以内に受け取った退職金の預け入れで円定期預金<仕組み預金>、外貨定期預金、外貨定期預金<仕組み預金>、投資信託との組み合わせで円定期預金(3ヵ月もの)の金利が優遇される「退職金専用 ミックスプラン 1000」の3種類。いずれの商品も、申し込みをした本人だけでなく、その家族にも同じ優遇金利が適用されるのが特長です。
 
 なお、当面は「渋谷支店ファイナンシャル・ラウンジ」「新宿西口支店ファイナンシャル・ラウンジ」のみでの対応となるそうです。

 東京スター銀行のNews Releaseに、今回の対応についての背景が書かれています。
「創業15周年を迎えた当行では、ビジネスの拡大にともない、性別を問わず、さまざまなキャリアを持つ多様な人材が入行し活躍しております。また、2014年6月に台湾の民間最大手銀行であるCTBC Bank(正式名称:中國信託商業銀行股份有限公司)が株主になって以降、海外出身の行員も増えております。当行は、多様な人材が、それぞれの能力を最大限に発揮できる組織文化を構築することで、人材と組織が活性化し、新しい価値が創出され、企業としても持続的成長を実現できると考え、ダイバーシティを推進しており、その一環で、今回の取り組みの実現に至りました。今後も、さまざまなお客さまの声にお応えできるよう、お客さま視点で付加価値の高い商品・サービスの提供を追求してまいります」とのことです。

 LGBTフレンドリーな金融企業といえば、日本でも最も早くから社内でのLGBT施策を実施し、LGBT学生に向けた就職説明会をいち早く開催し、他の金融企業とともに「LGBTファイナンス」としてLGBTイベントへの協賛などコミュニティ支援も行ってきたゴールドマン・サックスが有名です。ほかにもバークレイズ証券、シティ、ドイツ銀行、EY、GEジャパン、J.P.モルガン、モルガン・スタンレー、野村證券、トムソン・ロイター・マーケッツ、UBS、ブラックロック・ジャパン、ウェルス・ファーゴなどが「LGBTファイナンス」に参加しています。
 海外に目を向けてみると、サンフランシスコに本社を置く大手銀行ウェルズ・ファーゴは、社内にLGBTの従業員団体を設け、いち早く同性パートナーの権利を認め、プライドパレードに参加し、28年にわたってLGBTを支援してきた先駆的な銀行として、LGBTの絶大な支持を得てきました。2015年には米銀行として初めて同性カップルをモデルに起用した全米広告キャンペーンを展開しました。
 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)も同様にLGBTフレンドリーな銀行として知られていますが、昨年は特に「シドニー・ゲイ&レズビアン・マルディグラ」の期間中、ATMにレインボーカラーや派手な装飾を施して話題になりました。

 しかし、銀行の場合、LGBTを支援したり、LGBTにアピールするプロモーションを行ったりすることはあっても、LGBT向けに金融商品を発表することはあまり多くありませんでした(基本は金利ですから、LGBT向けに独自の商品を作成することが難しいのでしょう)。今回の東京スター銀行の場合、もともと家族にも金利を優遇する商品があったため、同性パートナーも家族(婚姻関係)と同等だと認めることで、LGBTにアピールすることができました(資産を同行へ乗り換える方が必ずいらっしゃるはずです)。他の銀行も、家族カード(代理人カード)を作って家族2人で預金口座を共有する仕組みがありますので、近い将来、同性パートナーも銀行で家族カードを作れるようになる日が来ることでしょう。(ちなみに、クレジットカードではすでに「楽天カード」や「三井住友カード」で同性パートナーも家族カードを作ることができます)
 

参考記事:
東京スター銀行、同性パートナーにも家族優遇を適用 - 国内銀行で初(マイナビニュース)

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