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仙台家裁が婚姻届受理の申立てを却下、申立人「あまりにも冷たい」
男性どうしであることを理由に婚姻届が受理されなかったのは不当だとして、仙台市太白区の同性カップルが区に受理を求めた家事審判で、仙台家裁は10日、申立てを却下する決定を出しました。申立人で「にじいろCANVAS」共同代表の小浜耕治さんは記者会見で「とても冷たく、期待外れだった」と憤りました。
パートナーと30年も連れ添ってきた小浜さんは、二人の出会いや関係性、家計などを記した陳述書を2回、家裁に提出し、憲法が保障する婚姻の自由や法の下の平等を訴えてきました。異性の夫婦と何も違わないのに結婚が認められないのはおかしい、同性婚を認めない現行の民法や戸籍法は違憲であると。
しかし、直に話を聞く審問の機会は設けられず、審判書は現行法の違憲性については「傾聴に値する」と触れたのみで、仙台家庭裁判所の坂本康博裁判長は、「婚姻に関する民法や戸籍法からすると、婚姻が異性間で行われることを当然の前提としており、同性間の婚姻の成立を許容していると解することはできない」としたうえで「市の不受理処分は適法なものである」として申立てを退けました。
仙台弁護士会館での会見で小浜さんは「当然の前提でという言葉がたくさん出てくる。私たちは当然の前提では語れない存在です。法的には対等なんだと力強く言ってほしかった」「私たちは夫婦同然の生活をしていると主張してきたが、審判書では法律のことばかり。私たちの思いが無視されて残念です。今後、同性愛を自認した人たちが将来に希望を持つためにも仙台高裁でやっていきたい」「納得がいかない。家裁は判断から逃げた」と語り、決定を不服として仙台高裁に即時抗告することを明らかにしました。
代理人の太田伸二弁護士は、「引き続き、この「当然の前提」を乗り越える主張・立証をしなければいけない」と語りました。
毎日新聞によると、立教大の白水隆教授(憲法)は、同性カップル側の主張に対して「事実上ゼロ回答」と言える内容だったと指摘しました。また、「同性婚を認めない現行法の違憲性を正面から争っている国家賠償請求訴訟の最高裁判決への影響は限定的だろう」と述べました。
「結婚の自由をすべての人に」訴訟では、あの4年前の(多くの方たちが悔し涙を呑んだ)合憲判決だった大阪地裁ですらも「(同性カップルが)望みどおり婚姻できない重大な影響が生じている」と述べ、「同性婚の制度導入について法的措置が取られないことが将来的に違憲になる可能性はある」と立法府に注文をつけるくらいには当事者に寄り添う言葉を述べており、地裁・高裁のほとんどが現行法は違憲だとの判断を示してきました。それに比べ、同性カップルが婚姻制度から排除されていることの不条理や差別性、人権侵害について一切触れない今回の仙台家裁の審判は、あまりにも冷たいものだったと言えるのではないでしょうか。
家裁はたしかに、専ら離婚や相続、氏名変更などの家庭内の事柄や少年の保護事件を扱う裁判所であり、あまり違憲判断をするような機関ではないかもしれません。しかし、『虎に翼』をご覧になっていた方はご存じかと思いますが、家庭裁判所は戦後の女性の権利回復や戦争孤児の支援に尽力してきた「愛の裁判所」とも呼ばれる裁判所です。家裁創設に情熱を注いだ宇田川潤四郎氏(『虎に翼』では多岐川という名前でした)は「個人の尊厳」を大切にしている人だったと孫の宇田川淑恵さんは述懐しています(NIRA総合研究開発機構「あれから75年―宇田川潤四郎の家庭裁判所への想い―」より)。その歴史や精神に則るならば、せめて、愛した伴侶が同性であるというだけで婚姻届を出せず(出しても不受理になり)、家族と認められず、相続どころか、死に目に会えなかったり、遺体の引き取りや葬式への参列も叶わない人たちもいる、そのつらさや悲しさを慮るような一言があってもよかったのではないでしょうか。
小浜さんはパートナーの方がご高齢だったため、「この先の時間が限られている状況を考慮して」一般の裁判所よりも短期間で判断が示されることが多い家裁への申立てを選んだわけですが、審判が出るまでに2年5ヵ月もかかりました。その間にパートナーの方は亡くなってしまいました(小浜さんは今日の記者会見で、パートナーの方が生前、肌身離さず持ち歩いていた小浜さん手作りのフェルト人形を形見として傍らに置いていました)。そのことも、心中察するに余りあります。
司法は「人権の砦」と言われます。二審(高裁)ではもっと当事者に寄り添う、真っ当な判断が示されることを期待します。
参考記事:
同性婚婚姻届け不受理の不服申し立て 仙台家裁が退ける(NHK)
https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-6000037136
「同性カップルと異性で結婚している人に"違いはないはず"」同性婚の家事審判 仙台家庭裁判所が男性の申し立てを却下 "今の民法や戸籍法は異性間の婚姻を当然の前提としている"(東北放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/2794378
同性婚の婚姻届を受理するよう求めた家事審判 仙台家庭裁判所が申し立て却下(東日本放送)
https://www.khb-tv.co.jp/news/16716746
【申し立て認めず】同性カップルの婚姻届受理を求めた家事審判<仙台家裁>(ミヤギテレビ)
https://news.ntv.co.jp/n/mmt/category/society/mm8278e2bdb5384d6e82c0db799b889a99
同性婚受理申し立て却下 仙台のカップル、違憲訴え(共同通信)
https://www.47news.jp/14602391.html
「とても冷たい」男性が憤り 同性の婚姻届受理、申し立て却下(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20260710/k00/00m/040/218000c
「事実上ゼロ回答」憲法学者が指摘 同性の婚姻届不受理審判(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20260710/k00/00m/040/351000c
【更新・詳報入りました】男性カップルの申し立て却下 仙台家裁、同性婚家事審判(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20260710khn000008.html


