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北海道のLGBTQ団体が「変なLGBT教えなくていい」発言に抗議

 北海道新聞によると、参政党の神谷宗幣代表が18日、札幌市中央区で行なった街頭演説のなかで子どもたちへの教育について「変なLGBTとかどうでもいい。あんなの教えなくていい」と述べました。この発言に対して21日、道内のLGBTQ団体やサークル、個人などが共同で「この発言は、いま苦しんでいる子どもたちの命に関わる問題です」「“普通”と“変”による選別は、差別と偏見の構造そのものです」と意見表明する声明を発しました。


 18日夜、北海道新聞が「変なLGBTとかどうでもいい。あんなの教えなくていい」発言のことを報じ、SNS上ではすぐに「差別発言だ」「LGBTQは“変”なんかじゃない」といった批判の声が上がりました。19日、神谷代表はくだんの記事投稿を引用し、「さすが北海道新聞。ここを切り取ってくれました」「性的少数者はどうでもいいとは言ってませんので、誘導されないように!」とXに投稿しました。(同記事は新聞購読者ではないと読めないのですが、ハフポストは「まるで、北海道新聞の報じ方が誘導的で、問題があるとするメディア批判を展開した」と指摘し、「実際の演説でも「北海道の開拓の歴史を子どもたちに伝えるのが必要だ」という趣旨の話の流れで「変なLGBTとかどうでもいいんですよ。教えなくていいんですよ、あんなの」と述べている。これは、LGBTQの人たちへの差別発言だと言える」と釘を刺しています)

 この発言を受けてさっぽろレインボープライド実行委員会が発起人となり、鈴木賢氏(北海道大学名誉教授)、北海道大学多様な性を考えるサークル虹の集い、レインボーファミリー札幌、トランスXコミュニティをはじめ20を超える団体・サークル・個人が賛同し、共同声明が出されました。

1. この発言は、いま苦しんでいる子どもたちの命に関わる問題です。⠀
 私たちの中には、10代・20代のLGBTQの若者の居場所づくりや、セクシュアリティに関するLINE相談を行なっている団体があります。そこには、自分の性のあり方に悩み、誰にも打ち明けられず「自分はおかしいのではないか」と苦しんでいる子どもたちが日々相談に訪れます。⠀
 性の多様性について正しく知ることは、そうした子どもたちにとって「自分はひとりじゃない」「自分のままでいていい」と思える大切なきっかけです。⠀
 それを「どうでもいい」「教えなくていい」と公の場で断じることは、そんな子どもたちが助けを求める声を封じ、孤立を深めさせる行為です。⠀
 私たちは、このまちで、この北海道で、現に苦しんでいる子どもたちの存在を知っています。⠀
 だからこそ、私たちはこの発言を見過ごすことはできません。⠀
2. “普通”と“変”による選別は、差別と偏見の構造そのものです。⠀
「変なLGBT」という表現は、LGBTQを“普通ではない、変わった存在”として括るものです。人を“普通の人”と“変な人”に分け、“変”な側を無視してよい、排除してよいとする考え方は、差別や偏見の典型的な構造です。性のあり方は一人ひとり異なります。それは “普通”か“変”かという問題ではなく、すべての人が持つ多様性の一部です。⠀
 公の場に立つ政治家がこのような線引きを行い、一方を切り捨てる発言をすることは、社会に偏見を広げ、当事者への攻撃を正当化する空気を生み出します。その立場を利用して差別と偏見を呼びかけていると言っても過言ではありません。⠀
 私たちは、あらゆる差別と偏見、そして、これらを扇動するあらゆる言動を許容しません。⠀
3. 私たちは、これからも声を上げ続けます。⠀
 私たちは、交流会、相談事業、教育・研修、訴訟、陳情行動、プライドパレード——それぞれの立場から、誰もが自分らしく生きられる社会を目指して活動してきました。今回の発言が北海道だけでなく社会全体に与える影響を深く憂慮しています。⠀
 この北海道では30年にわたり、LGBTQの権利と尊厳を守るための活動が市民の手で続けられてきました。今後もこの北海道の地から、性の多様性が当たり前に尊重される社会の実現に向けて、活動を続けていきます。 
(声明文より)
(※一部、PRIDE JAPANの表記指針に沿って全角を半角にしたり「 」を“ ”に変換したりという修正をさせていただいております。ご了承ください)
 
 
 この声明のほかに、札幌市のきたあかり法律事務所も、「憲法が保障する基本的人権に悖る発言」「差別が作動する際の典型的なメカニズムにほかなりません」と指摘し、「子どもの権利の観点から見過ごせない問題である」「差別の構造を強化する言葉である」として「強い遺憾の意を表明」する抗議声明を発しています。
 今後も、北海道に限らず、いろんなところからこのような声明が発せられるのではないでしょうか。

 
 なお、文春オンラインによると、参政党の神谷代表は2023年7月、世田谷区で開催された講演会でも「LGBTなんかいらない」と発言していました。曰く、「LGBTに理解を示す前に、子どもを産み育てることに理解を増進しないと。そういうことをやってくれるとすぐ岸田政権(当時)の支持率は上がると思います。いや、本当に。だからみんなで言わないといけないんですよ。LGBTなんかいらないと、理解増進なんかしなくていいと。それよりも僕がいま話した少子化の話とかそっちの方がよっぽどいい」
(そういえば昨年9月に那覇市議会で、まるでLGBT教育によってトランスジェンダーが増える("伝染"する)とか“治療”できるかのような発言をして問題視された和田市議も参政党でした)
 
 
 過去に大規模な反対運動を引き起こした「LGBTは“生産性”がない」発言や、「LとかGばかりになったら足立区が滅んでしまう」発言、「(同性愛者は)見るのも嫌だ」発言など、国会議員や地方議員、総理秘書官などによる差別発言は枚挙にいとまがありませんが、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない」と謳うLGBT理解増進法が施行されたいま、国会の一角を担う政党の党首がこれに反する(憲法に反するとの声も上がるような)差別発言をしたことの重大さは決して看過することはできないでしょう。
 
 

参考記事:
「変なLGBT教えなくていい」参政・神谷代表、札幌で街頭演説(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1302574/
参政党・神谷代表発言「社会に偏見広げる」 北海道内LGBTQ支援団体が抗議声明(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1303726/

神谷宗幣は2023年にも「LGBTなんかいらない」と発言していた!【現場ルポ】(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/88031

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