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SNSで誹謗中傷を受けたトランスジェンダーの町議が提訴

 トランスジェンダー女性で大阪府島本町の町会議員である河上りさ氏が、SNSで「女を偽装するインチキ議員」などと繰り返し差別的な誹謗中傷を受けたとして、名古屋市の50代男性に200万円の慰謝料を求める裁判を起こしました。
 

 島本町で生まれ育った河上さんは、18歳のときに大阪に出て“ニューハーフ”として働き、24歳で戸籍性の変更を行ないました。その後、精神保健福祉士として障がい者福祉の仕事に従事するなどしながら、性的マイノリティの権利回復や可視化の活動に携わり、2022年6月、「2人のトランスジェンダー女性が作成するショートムービー」の企画を立ち上げ、2023年に映画『鏡をのぞけば~押された背中~』が完成、全国で上映を行なってきました。
 河上さんは「自分の人生を、自分で決められる社会の実現」を島本町から起こしたい! トランスジェンダー当事者もそうでない人も、目の前の生活の困難の解消を願うのは同じ。生活の基盤が整えられずして、何が自分の人生自分で決めるだ! 私は島本町から、生活の困難を解消したい!」との思いで昨年4月、島本町議選に出馬し、見事に得票数3位で当選を果たしました。
 
 訴状によると、河上町議は、町議選期間中や当選直後の昨年3月から4月にかけて、被告の男性からXやFacebookで「男なのに女を偽装するインチキ議員」「諦めの悪い女装変態男」「男が女の議席を奪いました」など17件の差別的な投稿をされました。一連の投稿で重大な精神的苦痛を受けたのに加え、選挙運動やその後の政治活動でも、投稿の影響を受けたとみられる人物から執拗に攻撃されたといいます。
 4月13日、提訴の当日は、河上町議を支援する50名超の人たちが大阪地裁に駆けつけたそうです。
 河上氏は提訴後の会見で「マイノリティが社会に生きていることを可視化する意味でも、当事者の政治参加に意味がある」「トランスジェンダーが立候補することへの集中的な攻撃は、公職に立候補する権利を侵害するという点で極めて悪質で違法だ。ダメなものはダメだとこの裁判で示したい」と語りました。
 
 
 今回の裁判でも弁護を担当してくださっている仲岡しゅん弁護士は2023年、Twitterで何度もデマを流したり中傷を繰り返していた人物を損害賠償で訴え、慰謝料80万円の支払いを命じる判決が出ています(詳細はこちら)。2024年にはLGBT支援団体をX上で中傷していた投稿者に33万円の賠償を命じる判決が降っています(詳細はこちら)。SNS上でのトランスジェンダー(をはじめLGBTQ)への誹謗中傷は本当にひどいものがありますが、こうして裁判ではきちんと誹謗中傷の事実を認めて賠償を命じる判決が出ています。今回もきっと、そのような適切な判断が下ることでしょう。
 LGBT理解増進法はできましたが、一向にSNS上での差別や誹謗中傷は無くなっておらず、裁判を起こすにしても被害を受ける方に負担を強いることになってしまいます。やはり差別禁止法等で規制されるべき事案ではないでしょうか。
 
 
 
参考記事:
SNSで名誉毀損と提訴 トランスジェンダーの町議(共同通信)
https://news.jp/i/1416329819872084970?c=39550187727945729
「女を偽装」と差別的投稿めぐりトランスジェンダー公表の町議が提訴(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASV4F2W3MV4FPTIL010M.html

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