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世界初の同性婚法制化から25周年、オランダで祝賀イベント
オランダでは世界で初めて2000年末に婚姻平等法が国会で採択され、2001年4月1日に施行されました。今年で25年が経ったことを記念し、アムステルダムで1日、オープンリー・ゲイのロブ・イェッテン首相も出席して祝福の式典が行なわれ、最初に結婚した3組の同性カップルがウェディングケーキをカットするなどしました。
オランダ統計局によると、2001年以来これまでに3万6千組以上の同性カップルが結婚しているそうです。
イェッテン首相は25年前の同性婚法制化について、「若いゲイの少年であっても、自分らしく、好きな人を愛することができるのだと、テレビを通して初めて実感した瞬間だった」と語りました。首相は現在、アルゼンチン代表として2024年のパリ五輪に出場したホッケー選手と婚約中だそうです。
同性婚実現25周年を祝い、今年の夏はアムステルダムでワールドプライドが開催されます(2019年にストーンウォール50周年を記念してニューヨークで開催されたように)。例年のアムステルダムプライドは9日間ですが、今年は15日間に延長されるそうです。(アムステルダムのプライドといえば、街中を走る運河をボートで行進する水上パレード「canal parade」が有名です)
オランダ大使館が運営する日本語サイト「オランダと日本」によると、同性婚が承認されてからも、オランダでは課題が持ち上がるたびにLGBTIQ+の人権保護のために法規制が整えられてきました。2014年には「(市役所などの)結婚担当者は同性カップルの結婚を拒否することができない」と法律で定められました(職員が拒否する事例があったためです)。同年、性別移行に関する法改正により、性別適合手術を受けていなくても臨床医による診断によって出生証明書やパスポートなどの性別変更が可能になりました(現在は「X(第三の性)」の表記をめぐって議論が行なわれているそうです)。そのほか、政府は、「Gezondheidszorg op Maat(オーダーメイドの医療)」アライアンスという組織へのサポートを通じ、LGBTIQ+に配慮した医療に関する知識を医療関係者などと共有する活動を実施したり、各国に対して同性間性交渉を違法とする法律の撤廃や差別・暴力への対策、LGBTIQ+の受容と理解の促進を求め、国内外のLGBTIQ+コミュニティを支援する団体との戦略的パートナーシップを通じて積極的に支持を表明し、啓発活動をサポートしています。毎年5月17日の「ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアに反対する国際デー(IDAHOT)」には、在外公館ネットワークを通じてLGBTIQ+の平等な権利の重要性を広く啓発しています。駐日オランダ王国大使館・総領事館も毎年IDAHOTに参加。ほかにも「東京レインボープライド」や「プライド・クルーズ大阪」などにも積極的に参加し、誰もが平等な権利を持つことの大切さを訴えています。
オランダには現存する最古のLGBTIQ+の権利擁護団体「COC」もあります。ゲイ雑誌の読者により1946年に設立された同組織は「誰もが自由と安全の中、自分自身でいられる世界」を目指し、国内外でネットワーキングや啓発活動を行っています。COCの傘下にはさらに多様な組織が形成されており、例えば50歳以上のLGBTIQ+のコミュニティ「Roze 50+」やLGBTIQ+難民ネットワーク「Cocktail」、自閉症のLGBTIQ+のコミュニティ「Autiroze」などがあるそうです。
「オランダでは『プライド』や『IDAHOT』のようなイベントはもはや必要でないのでは?」という声も上がっていますが、それについて政治家のロブ・イェッテンが2020年5月17日のIDAHOTに寄せて、ゲイであることをカムアウトしている彼がどれだけふだんから誹謗中傷の言葉を投げつけられているかをTwitterで公表し、多くの人たちに衝撃を与えました。政府の調査によると、2022年に警察に寄せられた差別に関する通報のうち、およそ3分の1が性的指向に関するものでした。LGBTIQ+の10%以上が身体的または性的な暴力を経験しており、トランスジェンダーでは17%、インターセックスの人では22%と、さらに高い割合になっています。2023年には、LGBTIQ+に対する言葉による暴力、脅迫、暴力行為の件数も急増していると報告されました。
(この記事には書かれていませんが、2021年には王位継承者にも同性婚の権利が認められることになりました)
同性婚実現は一つの象徴的なゴールですが、それで十分などということはなく、オランダであっても取り組むべき課題はまだまだたくさんあるようです。とりわけトランスジェンダー、ノンバイナリーの人々はまだまだ困難に直面しています(1年半前にオランダのジェンダークリニックのドキュメンタリーも放送されましたね)。また、LGBTQコミュニティの中にもさらに多様なマイノリティの人たちがいて、固有の生きづらさを抱え、支援を必要としているということも窺えます。社会から完全に差別や暴力をなくすことはできないため、政府による不断の取組みも必要だと言えそうです。オランダがは(西欧と日本では社会状況が異なるため一概には言えませんが)
ともあれ、25年前にオランダが世界で初めて同性婚を実現してくれたことは、21世紀の始まりをも象徴するような素晴らしい出来事でしたし、本当に素敵な、感謝すべき出来事でした。あれから25年(四半世紀)、カップルで言うと銀婚式ということで、おめでとうと申し上げたい気持ちです。当時、パレード会場などで「日本で同性婚が実現するのは30年後かな」といった会話がなされたように記憶していますが、本当に、裁判が最高裁まで行って、実現が見えてきたところです。違憲判決(とそれを受けての政府の速やかな対応)に期待しましょう。
参考記事:
世界初の同性婚から25年 オランダで祝福、同性愛を公表の首相も(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASV416SYFV41UHBI02KM.html
来年は同性婚承認から25周年、LGBTIQ+の人権保護を先導するオランダの取り組み(オランダ王国大使館)
https://www.netherlandsandyou.nl/web/japan/w/25-years-of-lgbtq-rights-and-protection


