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SUUMOがLGBTQフレンドリー物件を増やすための取組みを社内で共有
SUUMO(リクルート)は「あなたも。私も。みんなも。百人百通りの住まいとの出会いを♪」をコンセプトに高齢者、障がい者、外国人、ひとり親世帯、LGBTQ+、生活保護受給者など住まいの確保に配慮が必要な人たちの課題に向き合うプロジェクト「100mo!(ひゃくも)」を2021年から開始しており、昨年はLGBTQフレンドリー物件の拡大に向けた施策を強化していました。
2025年11月20日に開催された、「100mo!(ひゃくも)」の取組みを社内で共有するイベントをレポートしたSUUMOジャーナルの記事によると、6月のプライド月間には「みんなで増やそうLGBTフレンドリー物件」キャンペーンを実施し、LGBTQ+フレンドリーのタグをつけて物件を掲載した不動産会社に対し、店頭に貼付できるステッカーやレインボーフラッグを持つスーモくんのぬいぐるみを提供、あわせて、来店時の対応から案内・契約に至るまでLGBTQ+の方たちが安心して相談できる環境づくりのポイントをまとめた実践マニュアルを配布し、現場での接客・コミュニケーションの質を高める後押しを行ないました。イベント当日は、キャンペーンを通して得た調査の結果や推進効果について共有がなされたそうです。
なお、SUUMOジャーナルは昨年9月に「「家を借りたいだけなのに…」LGBTQ+当事者の声から見えた、同性カップルと“賃貸の壁”」という記事も掲載しています。追手門学院大学の葛西リサ教授が2022年〜23年にLGBTQ+に行なった調査で、「ファーストコンタクトをした不動産会社の方は親身になって探してくれた」ものの、理解のないオーナー(大家)が入居を断るケースが多いことが浮き彫りになったそうです(「不動産会社は協力的」といっても、その中には借りやすくするための配慮として「関係性を偽ることを提案されるケース」もあったといいます)。年齢が上がるとさらに状況が厳しくなるという指摘もありました。「不動産会社は、このような状況で板挟みになっています。LGBTQ+の人たちの事情は汲みながらも、「オーナーに迷惑をかけたくない」という懸念から、オーナーの意向を忖度(そんたく)し、紹介する物件をあらかじめ絞り込むことがあるのです。物件のオーナーが断る前に「前例がない」「トラブルを避けたい」といった理由でリスクを回避しようとすることも。このような「予防的排除」の構造により、LGBTQ+の入居希望者は実質的には選択肢が大幅に制限される状況に置かれているのです」
「配偶者や血族でない同居人」には相続権がなく、法的に結婚が認められていない戸籍上同性のカップルが同居していて契約者が亡くなった場合、住み続けることが難しくなる、そのことがオーナーや不動産会社の「誰が契約の責任を負うのかわからない」という不安につながる、という実情も明らかにされていました。LGBTQ+の住まい探しの困難の根っこには結婚の不平等の問題もあったのです。(とはいえ、同性婚の法制化の実現がいったい何年後になるのかわからない不透明な状況で、いま現在住まい探しに困っている人たちのために、少しでもオーナーの無理解や差別心を払拭し、入居可能な物件が増えるような取組みが求められますし、そういう意味で「みんなで増やそうLGBTフレンドリー物件」のようなキャンペーンには決して小さくない意義があると言えます)
不動産賃貸に関してはこれまで、SUUMOが2017年にフレンドリー物件を検索可能にするという画期的な取組みを行なったものの、それ以降も、賃貸物件の同意書に「LGBTの方は入居お断り」と書かれていたり、賃貸契約の同意書に「LGBTの方は家主への相談が必要になる」と書かれていたり、入居者の募集条件に「LGBT不可」という項目が表示されている物件があったり、といった残念な事例がいくつも報じられています。
住宅みらい会議が昨年5月に実施した全国の不動産関連事業者665社を対象とした初の調査でも、LGBTQ+への対応状況に企業間で大きな格差があることや、LGBTQ+の多くが当事者のスタッフを選んで相談していることが明らかになりました。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(通称「住宅セーフティーネット法」)では、低所得者や被災者(発災後3年以内)、高齢者、障がい者、子育て家庭などを「住宅確保要配慮者」と指定し、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅」に公的補助を行なうことで要配慮者への支援を促しています。要配慮者は上記のほかにも、国交省令で外国人や被災者(発災後3年以上経過)を「要配慮者」と指定し、さらに都道府県や市区町村が供給促進計画において被爆者やLGBTQなどを「要配慮者」に指定することが考えられ、ほぼ全ての都道府県がLGBTQを「要配慮者」に指定しているそうです。そういう意味では、「要配慮者」であるLGBTQ+について何もしていない不動産会社やオーナーに対して、行政が何らかの後押しや指導をすることも考えられるでしょう(例えば研修を実施するなど)。公営住宅への入居に関する平等化は同性パートナーシップ証明制度の普及とともに進んできましたが、民間の賃貸住宅についてももっと行政が積極的な施策を進めていただけたら、と願うものです(医療機関についても都内の病院でパートナーシップ証明書によって面会が可能なところは1割未満という話がありました。公的な証明書があっても、当事者はその先の民間の「不平等・家族と認められない理不尽」という障壁によって生きづらさや困難を感じているわけですから、その障壁をなくしていく具体的な取組みが求められるという話です)
2026年、住まい探しにつまづくLGBTQ+の方たちが少しでも減るような取組みが進んでいくといいですね。
参考記事:
外国人の賃貸トラブル率はわずか1.5%? 高齢者・LGBTQなどの「入居拒否」をなくす画期的な工夫とは|100mo! 第3回イベント開催(SUUMOジャーナル)
https://suumo.jp/journal/2025/12/25/214133/
「家を借りたいだけなのに…」LGBTQ+当事者の声から見えた、同性カップルと“賃貸の壁”(SUUMOジャーナル)
https://suumo.jp/journal/2025/09/30/211907/


