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【婚姻平等訴訟】原告らが最高裁に要請「当事者の声聞いて」「違憲判断を」
「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告と弁護団が3日、最高裁判所を訪れ、裁判官が当事者の声をヒアリングする機会を設けることや、戸籍上同性のカップルの結婚を認めない現行法の規定は違憲であるとの判断を示すよう求める要請書を提出しました。
戸籍上同性のカップルの結婚を認めない民法など現行法の規定は婚姻の自由などを定めた憲法に違反するとして国を訴えた「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、全国5ヵ所で6件起こされ、高裁で明確な違憲判決が5件、合憲だとする不当な判決が1件という結果になりました。
これを受けて12月3日、各地の原告と弁護団が最高裁判所を訪れ、裁判官が当事者の声をヒアリングする機会を設けることや、違憲であるとの判断を示すよう求める要請書を提出しました。
要請書は、この事案を(性同一性障害特例法の手術要件のときと同様)15人の最高裁判所判事全員で審理する大法廷へ回付したうえで、原告らの声を聴く口頭弁論の機会を設けるよう要望するとともに、「原告の背後には、法律婚制度から排除され続けてきた多くの性的少数者の人生があることに思いを致し、人権の砦として明確な違憲判断を示してほしい」としています。
入廷前、最高裁の前で、原告のみなさんが思いを語りました。
まず弁護団の大畑さんが「先日、東京高裁で不当判決が出た、あのような不当判決が出ないよう最高裁に要請したい」と簡潔に説明したあと、原告の方たちが一言ずつ話しました。北海道訴訟原告の中谷さんは「最高裁にもきちんと、原告の声を届けることをやっていきます」と、東京二次訴訟原告の山縣さんは「各地の当事者が傷つき、打ちのめされていると聞きます。司法が私たちを差別し、こんなにも私たちを傷つけるとは」と、東京一次訴訟原告の小野さんは「同性パートナーと20年間、3人子どもを育ててきました。当たり前に結婚できるようにしてください」と、関西訴訟原告の田中さん(と川田さん)は「いろんな人から相談を受けるが、若い人たちはまだまだ悩んでいる、その人たちのためにも早く実現してください」と、九州訴訟原告のこうぞうさんは「この国で穏やかに、法の下で平等に、安心して暮らしたい。特別な願いではないので、きっと最高裁に伝わると思っています」と、同じくゆうたさんは「これは私たちだけではなく、全ての人たちの闘い。その思いと共に、今からきちんと伝えたい」と語りました。そして最後に、こうぞうさんのお母様が「息子たちに平等な幸せを与えてください、お願いします」とおっしゃっていました。
要請行動後にも、最高裁の前で原告の方たちが思いを語りました。
まず弁護団の大畑さんが、だいたい1時間くらい、担当書記官に対応していただいた、原告から今の思いを伝えたと説明し、本日が1回目ですが、今後もできれば要請行動をしていきたいと話しました。
それから、原告を代表して山縣さんが、先日の差別的な高裁判決には多くの仲間が打ちひしがれている、私が恐れているのは、これをきっかけに世間にヘイトが蔓延することだと話しました。実際、弁護団のとある弁護士さんの事務所に悪意の手紙が届いたり、原告の方もSNSで心無い言葉を浴びせられたりということがすでに起こっているそうです。
記者会見に出ずに帰る予定になっていた北海道の中谷さんは、要請してみて、国会がすごく同性結婚に後ろ向きなだけに、最高裁の審理はとても重要で、私たちの暮らしのことや、結婚にかける思いを直接、最高裁に伝えることができてよかった、私たちの声に耳を傾け、思いを受け止めて判決を書いてほしいと語りました。
その後開かれた記者会見で、原告の方たちが要請行動で最高裁に何を伝えたかを語りました。
山縣さんは、28年連れ添っているパートナーが還暦を迎え、自身も還暦を間近に控えているとし、「万が一、最高裁が合憲判決を下した場合、同性婚の問題はしばらく棚上げにされ、私たちが生きている間に結婚できない可能性が強くなる」と語りました。
小野さんは、同性のパートナーの西川さんといっしょに3人の子どもを育ててきたが、法律上の家族ではないため、入院の手続きすらスムーズに行なえないとし、院内集会で初めて発言した息子さんの「仮に母が倒れ死んでしまうと、私たち家族の関係はないものとされます。ここまでの20年間が全く消されてしまう。自分たち家族だけの問題ではない、子どもたちのために力を貸してほしい」という言葉を代読しました。
こうぞうさんは、「私たちは決して対立をしたいわけではありません。穏やかな暮らしを願っているだけです」と語りました。
川田さんは、SNSで同性婚訴訟をめぐる活動報告をした際、「子どもがいないのだから結婚できるわけがない」と心無い言葉を投げかけられたと明かし、万が一最高裁で合憲との判断が出たら、こうした偏見や中傷がさらに助長されかねない、と語りました。
田中さんは、司法が立法府に対して「期限を設けて」同性婚の立法化をするよう求める判決を出してほしいと強く要望しました。
それから大畑弁護士が東京高裁の判決について「問題はあるが、分析してみると非常に脆い判決」と指摘し、「論理的な矛盾が多く、最高裁で維持されることはあり得ないと考えている」と述べました。最高裁への要請書の中でもこの訴訟の最大の焦点は現行の民法・戸籍法が同性カップルに現行の婚姻制度を利用させないことが憲法違反にあたるかどうかという点に絞り込まれていますが、東京高裁の判決は「なぜ同性カップルの排除が正当化されるのか」について、社会的承認や制度設計の名の下に説得的な論証を放棄し、漫然と現行制度を肯定している「きわめて特異な判決」だと批判しました。
最高裁審理の具体的な日程は未定で、開始は早くても来年になる見通しです。五つの高裁の明確な違憲判決をふまえ、また、ぜひ原告の方たちの声を聞く機会も設けていただき、違憲判断、ならびに(期限を設けるかたちで)国会に対する法制化の要請という判決を出してくださることを期待します(お願いします)
参考記事:
“同性婚認めずは憲法違反” 原告らが最高裁に統一判断を要請(NHK)
https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10014993051000
「人権の砦として明確な違憲判断を」 同性婚訴訟で原告ら、最高裁に要請書(日テレ)
https://news.ntv.co.jp/category/society/db5d5bae8988408f9fd717a80750f34a
「人権の砦として明確な違憲判断を」 “結婚の自由”求める原告の同性カップルらが最高裁に要請 同性婚認めぬ民法などの規定めぐる訴訟(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2326454
同性婚訴訟「違憲判断」求め原告らが最高裁に要請書提出「思いを受け止めた判決を」(FNN)
https://news.jp/i/1368865644926468592?c=768367547562557440
同性婚訴訟の原告カップルら最高裁に要請「結婚の自由を」80代母も思い語る(KAB 熊本NEWS)
https://www.kab.co.jp/news/article/16198894
「最高裁は明確に違憲判断を」 同性婚訴訟で原告側弁護団(共同通信)
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/nation/kyodo_nor-2025120301001383
同性婚訴訟「違憲判断を」 原告らが最高裁に要請(時事通信)
https://sp.m.jiji.com/article/show/3665128
同性婚訴訟原告ら、明確な違憲判断求め最高裁に要請行動 札幌の原告も参加(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1247334/
同性婚訴訟「最高裁は明確な違憲判断を」…当事者へのヒアリングを求め、原告と弁護団が要請書提出(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/453515
「同性婚」認めない東京高裁判決は「論理的に脆い」 弁護団・原告ら、最高裁での“違憲判決”求め要請行動(弁護士JPニュース)
https://www.ben54.jp/news/2952


