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米国が18歳未満の性別適合医療を禁止しようとしています
米下院が17日、「未成年者の性器や身体の切除」を禁止する法案を可決しました。この法案は未成年者の体を「生物学的性別と異なる性別に対応させる」ための手術や、二次性徴抑制薬の使用も禁止するもので、事実上、未成年者へのジェンダー・アファーミング・ケア(性別適合医療)を禁止するものです。テネシー州など米国の保守的な州ではすでに同様の禁止措置が取られていますが、この法案は、それを米国全体に広げようとするものです。
右派のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員が提案した法案は216対211で承認され、今後、上院で採決されることになります。グリーン議員は「ドナルド・トランプ大統領の大統領令と2024年のすべての共和党議員の選挙公約を直接反映した法案だ」と述べました。
サラ・マクブライド下院議員は、この法案の可決を非難し、「共和党の政治家たちが気にしているのは金持ちをさらに金持ちにし、トランスの人々を攻撃することだけだ」と記者団に語りました。
性別違和に苦しむ思春期の子らに二次性徴の進行を遅らせる薬(思春期ブロッカー)を投与したり、ホルモン治療を施したりするジェンダー・アファーミング・ケア(性別適合医療)は、望まない身体の変化を食い止め、その後の性別適合医療をスムーズに進めたり、メンタルヘルスの安定や自殺防止に貢献することが多くの研究から明らかになっており、主要な米国の医療団体も医療ケアの提供を支持してきました。これまでは米国の約20の州で未成年に対する性別適合医療が認められ、医療保険でカバーされてきました。2019年〜23年の間に約1万4千人の未成年者が医療措置を受けたそうです。
翌18日、米厚生省が未成年者へのジェンダー・アファーミング・ケア(性別適合医療)を禁止する方針を発表しました。政府が運営する低所得者向け医療保障「メディケイド」を病院が利用する条件として、性別適合医療を実施しないことを加えるといいます(米国のほぼ全ての病院が「メディケイド」を利用しています)。厚生省のケネディ長官は性別適合医療について「正当な医療ではない。不正医療だ。子どもの将来を奪う」などと主張しました。
LGBTQの権利擁護のために闘ってきた全米市民自由連合(ACLU)は18日、「トランスジェンダーの子どもやその家族の権利を侵害するものだ」として提訴する方針を示しました。
参考記事:
米下院、未成年へのジェンダー肯定ケア禁止法案を可決(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3614473
米が18歳未満の性別適合医療を禁止へ トランプ政権、多様性容認せず(共同通信)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB19AEK0Z11C25A2000000/


