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【同性パートナーシップ証明制度】岡山県新見市が新たに導入など、各地の動きをお伝え

 今年の11月5日でスタートしてから10年の節目を迎えた同性パートナーシップ証明制度。今年5月末時点で自治体の人口カバー率は92%を超え、交付を受けたカップルは9837組に上っています。都道府県単位での導入も進み、33の都府県で100%を達成しています。昨年は「パートナーシップ制度自治体間連携ネットワーク」も発足し、連携は全国の自治体に拡大しています(11月1日時点の情報を更新しました→こちら
 そんななか、今月も新たに制度を導入する自治体があったり、制度導入がなかなか進まない地域でその理由の検証がニュースになっていたりしました。以下にご紹介します。

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 北海道帯広市では制度導入から3年を迎え、これまで5組が登録申請しました。当事者の方たちからは、制度のおかげで「周囲に相談しやすくなった」「安心感がある」などの声が上がっているそうです。

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 栃木県でも制度導入から3年が経ち、これまでに38組のカップルが、県とは別に独自の制度を設ける9市町でも25組のカップルがパートナーシップ宣誓を行なったそうです。

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 岡山県新見市は今月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」の運用を開始しました。岡山県での制度導入は16例目になります。市総務課は「さまざまな家族の形を応援する。生きづらさを感じる人の悩みを軽くしたい」としています。

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 熊本県では制度導入自治体が4市3町にとどまっていて、県ごとの人口カバー率は下から3番目です(いちばん人口カバー率が低い長崎県は来年度から県全体で導入するので、このままだと宮城県に次いでワースト2位になります)。熊本日日新聞がこの件について県に尋ねたところ「市町村が窓口になる話だと考えているので、県単位の導入は考えていない」とのこと。県内の人口カバー率が低い状況については「各自治体の考えがあるのだろう」との認識だそうです。また、県内で未導入の38市町村に理由を尋ねたところ「当事者から要望がない」などの回答が返ってきて、「性的少数者が置かれた状況への関心や理解が薄い現状が浮かび上がった」そうです。
 熊本県ではパレードも開催されていますし、こうぞうさんとゆうたさんのカップルが「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告になっていることもあり、何度となく同性カップルの権利保障についてのニュースが流れるなどしてきていますが、意外にも、関心が薄い自治体が多いようです。
 必ずしも全ての自治体が制度導入に動くべきということではありませんが、帯広市のカップルが「周囲に相談しやすくなった」「安心感がある」と語っているように、制度があることで、地元の自分が住んでいる街で、公に承認されている、サポートが得られているという安心感やうれしさはあるわけで、それがないよりは、あったほうが「住みやすさ」「生きやすさ」にはつながりますよね。
  
 そして、証明制度が導入されれば万事OKかというと、決してそうではなく、そもそも証明制度自体に法的な効力があるわけでもありませんし、全国調査で同性カップルを受け入れない賃貸業者が1割超に上ること、東京都でも証明書が面会などに活用できる医療機関が1割に満たないという実態も明らかになっていて、住みたい家に住んだり、病院で家族と認められるためには、行政の働きかけや民間企業の理解と支援が進まないと…ということが、10年目の課題として浮き彫りになりました。
 
 犯給法の最高裁判決のおかげで、一部、事実婚と同様に扱われるようになった法律もありますが、まだまだ扶養や相続など重要な部分は認められていないままです。根本は、やはり異性カップルと同じように結婚することが認められていないことに問題があるわけですから、婚姻平等(同性婚の法制化)の実現を、という話です。支援の姿勢が見えない自治体や、差別的な業者の姿勢がそのまま当事者住民の生きづらさに直結してしまうのを防ぎ、パートナーが家族として認められ、法的権利も保障されるようになるために、今後も婚姻平等(同性婚の法制化)を求めていきましょう。
 

 
参考記事:
「パートナーシップ制度」10年で532自治体が導入 カップル9837組が交付(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20251128-JM64AMYIM5ODRBSPVCEMTZNMQM/

帯広市「パートナーシップ制度」開始から3年 “周知・啓発”に注力(十勝毎日新聞)
https://kachimai.jp/article/index.php?no=2025120800221

パートナーシップ宣誓制度、栃木県導入から3年 カップル38組が申請、9市町でも25組(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/1246888

性的少数者のカップルら支援 新見市、12月1日から宣誓制度導入(山陽新聞)
https://www.sanyonews.jp/article/1834036

性的少数者のパートナー制度 熊本の人口カバー率はワースト3位 全国は93%、熊本は55% 10月末現在(熊本日日新聞)
https://kumanichi.com/articles/1934736
パートナー制度未導入の熊本県内自治体 その理由は? 性的少数者への理解薄く(熊本日日新聞)
https://kumanichi.com/articles/1934743

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