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【特例法外観要件】東京高裁が高裁として初の違憲判断を示しました
朝日新聞によると、性別不合(性別違和)に苦しみ、戸籍上の性別を変更したいと望む方に手術を受けて性器の外観も変えるよう求める現行の特例法の要件は違憲かどうかが問われた家事審判の決定で、東京高裁(萩本修裁判長)は、当事者の状況によっては「違憲の事態が生じ得る」と判断し、申立人の場合は違憲になるとして、女性への性別変更を認めました。外観要件に関する高裁の違憲判断が明らかになるのは初めてです。さらに決定は「立法府は裁量権を合理的に行使し特例法の改正をすべきだ」などとして、国会に法改正の議論を促しました。決定は10月31日付。家事審判は非公開の手続きで行なわれ、申立人が朝日新聞の取材に明らかにしました。
2023年10月25日、最高裁大法廷は、戸籍上の性別を変更する際に現行の性同一性障害特例法で生殖能力がないことを必須としている規定(不妊化要件)を違憲であるとする初めての判断を示しました。ただし、外観要件(変更する性別の性器に似た外観を備えていること)については高裁で審理が尽くされていないとして審理を広島高裁に差し戻していました。
これを受けて広島高裁は昨年7月10日、外観要件について「手術が必要ならば体を傷つけられない権利を放棄して手術を受けるか、性自認に従った法的な扱いを受ける利益を放棄するかの二者択一を迫る過剰な制約を課し、憲法違反の疑いがあると言わざるをえない」と指摘し、「憲法違反の疑いがあると言わざるをえない」と判断、申立人の性別変更を認めました。
その後も札幌家裁をはじめ、今年9月までに各地の家裁で少なくとも計5件の違憲判断が出ています(札幌以外がどこの裁判所の決定かは明らかにされていません)。10月には松江家裁も(性別適合手術は受けていないのものの)ホルモン療法を続け、女性として生活しているトランス女性に対して性別変更を認めています。
今回の申立人は、出生時に男性とされ、女性として長年生活している50代のトランスジェンダー女性で、今年1月に関東地方の家裁に性別変更を申し立てましたが、3月に外観要件を満たさないとして却下され、即時抗告していました。
高裁決定はまず、性自認に沿った法令上の扱いを受けることは「重要な法的利益だ」とし、それを実現するため、外観要件が性器の手術を必須とするなら、憲法13条が保障する「自分の意思に反して体への侵襲を受けない自由」を過剰に制約すると述べました(2023年最高裁判断と同様です)。そのうえで、外観要件は公衆浴場などでの混乱を避けることが目的で、手術しなくても、ホルモン投与で性器の外観が変われば満たせるとしました。ただ、ホルモン投与には重大な副作用の恐れがあるうえ、性器の外観が変わらない人も中にはいて、体質などから投与できない人もいると指摘し、こうした人にまで外観要件を課せば手術を受けるしかなくなり、憲法13条違反になるとして「違憲の事態が生じ得る」と判断しました。今回の申立人はホルモン投与を20年以上受けているにもかかわらず性器の外観があまり変化していないそうですが、だからといって外観要件を課せば違憲になるとして、女性として長年働いている点も踏まえ、性別変更を認めました。
西日本新聞は11月8日、「性別変更の要件 違憲の規定を早く見直せ」と題する社説を掲載し、「司法判断をいつまでも無視してはならない。国会は重大な人権侵害を含む法律の改正を急ぐべきだ」と述べています。
「一連の司法判断で、性的少数者の人権を尊重する流れが定着していると言ってよい。にもかかわらず、立法府の動きは鈍い。最高裁の違憲判断の後、与野党で法改正に向けた動きはあったが、結論が出ないままになっている。違憲とされた法律が2年も見直されないのは看過できない。国会議員はそのことを強く認識して、当事者の人権保護に取り組むべきだ」
参考記事:
性別変更の外観要件、高裁が違憲判断(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASTC842PGTC8UTIL01JM.html
性別変更の外観要件 松江家裁も「手術なし」認める 「混乱生じない」と判断(山陰中央新報)
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/878327
【社説】性別変更の要件 違憲の規定を早く見直せ(西日本新聞)
https://www.nishinippon.co.jp/item/1420996/


