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ニューヨーク市長に選ばれたマムダニ氏はずっとLGBTQコミュニティを支援してきた人でした

 11月4日(現地時間)に行なわれたニューヨーク市長選で、民主党のゾーラン・マムダニNY州議会議員(34)が、アンドリュー・クオモ前NY州知事らを破り、当選を確実にしたことが報じられました。マムダニ氏の出自・経歴や、いかにして彼が市長選で勝利したかということについては多くのニュースで報じられているのでそちらに譲るとして、ここではマムダニ氏がどれだけLGBTQコミュニティを支援してきた人だったかということをお伝えします。


 『Advocate』の記事「Here is New York City Mayor-elect Zohran Mamdani's LGBTQ+ rights record」によると、2021年、マムダニ氏がニューヨーク州下院議員に当選して最初にやったことは、同州の「Walking While Trans」と呼ばれるセックスワーカーの有色人種のトランス女性を当てこんだ差別的な法を撤廃することでした。彼女たちはそれまで、タクシー乗り場やバス停以外の場所で立っているだけで警察に呼び止められたのです。
 マムダニ氏は「Gender Recognition Act(ジェンダー承認法)」を州議会に共同提出した人でもありました。この州法によって法的性別変更が容易になり、サードジェンダー表記(X)も可能になりました。
 2023年、保守的な州でジェンダー・アファーメーションを禁じる法が成立していくなか、マムダニ氏はそのような州の人たちがニューヨーク州ではジェンダー・アファーメーションができるようにする「シールド法」を支持しました。
 昨年はニューヨーク州憲法を改正する提案1号への投票を呼びかけました。彼は「ニューヨーク州憲法は現状、人種、信条、肌の色、宗教に基づく差別のみを禁じており、高齢者や障がいを持つ人、妊娠している人、そして私たちのLGBTQIA+の隣人を置き去りにしている」と、「提案1号は、どんな人も、どんな見た目でも、誰を愛していようとも、必要とするヘルスケアにかかわらず隣人を差別することができなくするものです」と語りました。そして昨年11月、この修正案は無事に採択されました。
 今年5月の市長選立候補に際しては、LGBTQ+のNY市民を保護する政策を発表しました。それはジェンダー・アファーミング・ケアに650万ドルの予算をつけ、LGBTQIA+の課題に対応する部署を創設するという内容を含み、「この街をLGBTQコミュニティの聖地にしよう」とするものでした。「ニューヨークはLGBTQIA+の人々が安全に暮らせる避難所のような街になってほしい。しかし、民間機関はすでにトランプ政権のトランスジェンダーへの暴行に屈しはじめている」と彼はインスタグラムに記しました。
 10月、彼は(ストーンウォールの英雄である)トランスジェンダー活動家のシルヴィア・リヴェラのストーリーを語り、トランスピープルの保護を約束しました。「トランプはトランスジェンダーの権利を焼き尽くすキャンペーンに金を注ぎ込んでいる。この最高権力者はトランスジェンダーへの攻撃に巨大なエネルギーを費やしている。私たちはこのヘイトと闘うために何百もの弁護士を配置するつもりだ。シルヴィアを生き返らせることはできないが、この街のトランスピープルを勇気づけるために彼女の功績を讃えることはできる。この闇の時代、ニューヨークが光にならなければ」
 そして先週、彼はブルックリンのゲイバー「Papi Juice」にサプライズで登場し、DJブースから「多くの葛藤を抱えるこの街に、喜びの場所があることは本当に大事なことです。『Papi Juice』に現れる史上初の市長候補になれたことをうれしく思います。ありがとう」とスピーチしました。


 感動的な勝利演説の全文を日本語訳してくださっている方がいて、勝利演説の中でもトランスジェンダーのコミュニティに触れられていたことが明らかになっています。
「この新しい時代を、私たちは自らの手で築いていく。
 分断と憎悪をあおる者たちが、私たちを互いに敵対させることを、決して許さない。
 いまこの政治的暗闇の時にあって、ニューヨークこそが光となる。
 ここでは、愛する人々のために立ち上がることを信じている。
 あなたが移民であっても、トランスジェンダーのコミュニティの一員であっても、ドナルド・トランプによって連邦の職を解雇された多くの黒人女性のひとりであっても、食料品の値下がりをいまも待ち続けるシングルマザーであっても、あるいは壁際に追い詰められた誰かであっても――」
 
 
 トランプ大統領は就任式の直後に「性別は男性と女性の二つだけであることを政府の公式方針とする」と宣言し、パスポートの性別記載を出生時の性別に強制したり、X(サードジェンダー)表記を禁じたり、トランスジェンダーの従軍を禁じたり、性別違和に苦しむ子どもの治療もできなくするなど、本当にひどい、迫害とも言うべき政策を進めてきました。これまでオバマ政権やバイデン政権が実現してきたLGBTQ支援策も撤廃し、企業のDEI施策も縮小・撤廃を余儀なくされました。HIV予防等に関する海外援助も止めたため、その影響は国際社会にも及びました。
 そんな暗黒時代にあっても絶望することなく、ニューヨーク市民がマムダニ氏のような方を選んだことは、世界中のLGBTQ+Allyコミュニティの多くの方たちにとっての「希望の光」となったことでしょう。
 
  
 なお、『Advocate』によると、今回、米南部バージニア州の知事選で勝利した(今まで共和党の知事だったのを覆した)民主党のアビゲイル・スパンバーガー氏も熱心なアライの方です。
 ほかにもLGBTQの候補者が立った選挙区もあるようです。続報が入りましたら追記してお知らせいたします。
 
 

参考記事:
米ニューヨーク市長選、民主党候補のマムダニ氏勝利へ CNN予測(CNN)
https://www.cnn.co.jp/usa/35240078.html
NY市長選、民主社会主義者マムダニ氏が歴史的勝利-前州知事破る(Bloomberg)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-11-05/T58F9MGP493700

Here is New York City Mayor-elect Zohran Mamdani's LGBTQ+ rights record(Advocate)
https://www.advocate.com/politics/zohran-mamdani-lgbtq-rights-recor

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