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いろんなLGBTQの人たちがメディアに取り上げられています
今月もテレビや新聞などのメディアでいろんなLGBTQの人たちがフィーチャーされています。たとえ大手メディアであっても「大丈夫…?」と不信感を抱かせるようなニュースもあるなか、こんなにもLGBTQに寄り添い、サポーティブな姿勢が感じられる報道が増えたことは本当に素晴らしいことです(みんなでパレードを歩いたり、少しずつできることをして社会を変えてきたおかげですね)
以下にダイジェストでお伝えします。
11月14日に公開されるや、初日満足度ランキング1位を獲得し、上映館も拡大しているという映画『ブルーボーイ事件』。飯塚花笑監督や主演の中川未悠さんをフィーチャーする記事が連日のように上がっていますが、準主役的な活躍を見せたドラァグクイーンのイズミ・セクシーさんもいろんなメディアに取り上げられています。
共同通信によって配信され、全国の地方紙に掲載された(すごい!)「性的少数者として役に感情移入 映画「ブルーボーイ事件」出演のイズミ・セクシー」という記事は、「時折、豪快な笑い声を響かせつつ「私たち(性的少数者)が笑っていられるのは、(かつて)こういう方々がいてくれたから」と思い入れを語る」「「現場が暑くてメークの崩れが気になっちゃった」と笑わせながらも、性的少数者に偏見を持つ役を担った共演陣に演技を引き出されたと話す。「視線が刺さってきた。本当に独りぼっちの気持ちでした」」「思春期に味わった「周りに受け入れてもらえない孤独感」が、感情移入につながった」「今後への影響を聞くと「調子に乗りやすいので、あらゆる人に『女優面したら叱ってね』って言っている。まめまめしく生きたいと思います」と笑った」といった記述で、イズミさんらしいユーモアやサービス精神がよく引き出されていると感じました(大手紙でこんなに親しみが持てる記事ってなかなかないと思います)
Time Out Japanの「インタビュー:イズミ・セクシー」は本格的なロングインタビューで、オーディションに参加したきっかけや、ドラァグクイーン(ゲイ)ではあるが、小さい頃からトランス(性別移行)の欲求があったけれども、女性として生まれ変われるわけじゃないという現実や「受け入れてもらえないだろうな」と自分の気持ちを引っ込めた部分があった、ということを語っています。演技のレッスンや現場のお話などもとても興味深かったです。イズミさんがこの映画を「自分が幸せになるための闘争史」だと語っていたのも印象的でした。
性別適合手術をめぐる歴史上の重要な事件を描いたというだけでなく、今を生きるトランスジェンダーの思いも込められた『ブルーボーイ事件』、本当に素晴らしい映画ですので、ぜひぜひご覧ください。
トランスジェンダーといえば、松本市の中学校(母校)で講演をしたルーキーさんというトランスジェンダーの方がテレビ信州や信濃毎日新聞に取り上げられていました。
ルーキーさん46歳のときに性別違和を覚えたといい、誰にも打ち明けられず、孤独の中で自分の性を整えたいという気持ちと向き合ってたと語っています。「当時ははこれでやっと男をおりられるって思っていました」。自認性は完全に女性というわけではなく、「女性から中性」。「みんなが思う性別に当てはめようとか、女性になりたいとか、っていうよりはこのままの自分でいたい。このままで自分らしく社会の人たちと一緒に手をつないで歩いていけるんだったら別にこのままでいいじゃんって思います」。講演を聞いていた生徒たちのなかには、「自分を持っていてすてきだった」と駆け寄る生徒の姿もあったそうです。ルーキーさんは「母校の役に立てるのはうれしい」と感無量の様子だったといいます。
兵庫県丹波市の小学校でも、トランスジェンダーの今西千尋さんを招いて講演会が行なわれたそうです。
今西さんは朝日放送のテレビ番組で密着取材を受けた家族のドキュメンタリーを上映しながら、「自分らしく生きる・性別変更と家族の絆」と題して体験を語りました。2児の父となっていた結婚10年目にトランスジェンダーであることを家族にカムアウトし、2012年に性同一性障害の診断を受け(そのままだと性別変更できないので)協議離婚し、性別適合手術を受けました。2018年に元妻を養女として養子縁組を行ない、再び家族として暮らしているそうです。カミングアウト当初は子どもが不登校になったり、「いったんは家族の絆が壊れてしまった」といいます。しかし、会話が途切れたことはなく、「家族の中で起こった問題として、みんなで真正面から向き合えた。どの家族も順風満帆ではないと思うが、向き合うことが大切なんだろうと思う」と話しました。「こういう生き方をしたいという人の背中をすっと押すことはできない。ただ、隠し事をずっと抱えて暮らしていたので、今は自分をさらけ出すことができて良かったと思う。親に言われたのではなく、自分で決めてここまできた。自分自身で選択することを繰り返しながら、生き方を表現していってもらえたら」
ほかにも、(購読していないと読めないので詳細はわからないのですが)トランスジェンダー男性として、勤務先の香川県まんのう町の中小企業で、どんな属性の人でも活躍できる職場づくりを進める「にじいろ未来づくり推進課」を発足させたという塩田章仁さんのことが、北海道新聞に載っていました。
それから、ゲイのユーチューバー、かずえちゃんが直面した差別のことが、福井新聞に取り上げられていました。
今夏の参院選に出馬したかずえちゃんは選挙運動中、通りかかった高齢女性たちに「手の甲を反対側の口元に当てるポーズ」で「おかまや、おかま」と囁かれたり、目の前で男性にチラシを投げ捨てられたり、「気持ち悪い」と暴言を吐かれたり、中指を立てながら動画を撮られたり、選挙ポスターを破られたりというあからさまな差別に直面し、「頭が真っ白になったし、恐怖を感じた」といいます。「公示後は恐怖を感じるようになった。私の属性に対し嫌だという感情を持っている人が、福井でも存在することがはっきり目に見えた。不気味だった」
選挙を終えた今も、他人の視線を気にしてしまうようになりました。「自分のことを憎んでいる人がいるんだろうなと想像してしまう。気にしすぎ、と言われるがどうしようもない」
以前よりも行動は制限されるようになってしまったものの、「だからこそ、その人がその人らしく暮らす『人権』という視点を持てるようになった。誰もが生きやすい社会を次の世代に残したい。そのために発信を続けたい」と気持ちを新たにしているそうです。
そして今日、11月22日(いいふうふの日)、出会ってから来年で20周年を迎えるレズビアンカップルの鳩貝啓美さんと河智志乃さん(お二人は「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟の原告でもあります)のことが朝日新聞でフィーチャーされていました。
これまでに全国50ヵ所以上で開催されてきた「私たちだって〝いいふうふ〟になりたい展」に今年から、鳩貝さんと河智さんの手紙と写真も加わりました。鳩貝さんを通じて企画に誘われた時、河智さんが改めて考えたのは「いいふうふって何だろう」ということでした。宿泊先で「似ていますね、姉妹ですか」と聞かれたり、車や家を買う場面でわざわざ言わないと関係性が伝わらなかったり、「異性カップルであれば、例えば一緒にウォーキングをしているだけで『あそこの家は仲がいい、いい夫婦』って言われる。でも私たちは社会にPRしないと、まだまだ姿が伝わらないんだなあって思ったんですよね」。河智さんにはもう一つ、手紙を書きたい理由があって、2021年に腎臓がんが見つかり、手術を受けることになった時、鳩貝さんから「1日1ページずつ読んでほしい」と日めくり式の1冊のノートを渡されて、1日目のページには「おはよう。身体の回復が、一歩ずつ始まっていることと思います」「検査もあるし、忙しい予定みたいだね」と書かれていて、「ラブレター以上のラブレター」だったと感じたんだそうです。先日、議員会館で「私たちだって“いいふうふ”になりたい展」が開催https://gladxx.jp/news/2025/11/10554.htmlされた際も、お二人の手紙が展示され、国会議員やその秘書らが展示に立ち寄る姿に「私たちの伝えあっている言葉から、本当に夫婦と同じなんだな、っていう関係性を感じ取ってもらえたら」と語ったそうです。
お互いに書いた「ラブレター」の河智さんからの手紙には、「絶大な信頼をもって一緒に生きてきたあなたとの関係を、『ふうふ』と呼ばずして何と呼ぶのだろう?」という言葉が書かれているそうです。
11月28日11時には、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の最後の高裁判決となる東京二次訴訟の控訴審判決が出ます。きっとダメ押しの違憲判決が出ることになるだろうと期待されます。ご都合がつく方は、ぜひ傍聴へ。傍聴は難しくても、報告会もありますし、アフターパーティも開催されるそうです(詳細はこちら)
参考記事:
性的少数者として役に感情移入 映画「ブルーボーイ事件」出演のイズミ・セクシー(東京新聞/共同通信)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/448484
インタビュー:イズミ・セクシー(Time Out Japan)
https://www.timeout.jp/tokyo/ja/film/interview-with-izumi-sexy
「このままの自分でいたい」ルーキーさん母校で講演 中学校でトランスジェンダー当事者の思いを聞く授業(テレビ信州)
https://news.ntv.co.jp/n/tsb/category/society/tsa0133c9d4b73455a87dd592c8b943f61
トランスジェンダーのルーキーさん、母校の松本市清水中で初めて講演 「自分らしく」願い語る(信濃毎日新聞)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2025112100136
「向き合うことが大切」 性別変更の体験伝える 京都の今西さん(丹波新聞)
https://tanba.jp/2025/11/%e3%80%8c%e5%90%91%e3%81%8d%e5%90%88%e3%81%86%e3%81%93%e3%81%a8%e3%81%8c%e5%a4%a7%e5%88%87%e3%80%8d%e3%80%80%e6%80%a7%e5%88%a5%e5%a4%89%e6%9b%b4%e3%81%ae%e4%bd%93%e9%a8%93%e4%bc%9d%e3%81%88%e3%82%8b/
中小企業で改革を進めるトランスジェンダー 塩田章仁(しおた・あきひと)さん(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1237416/
ゲイのかずえちゃん、参院選出馬で直面した差別 中指立て動画撮影されたり「アホ」と叫ぶ人たち、福井(福井新聞)
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2458518
19年目のラブレター 「あなたとの関係、ふうふと呼ばずして何?」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASTCN76JTTCNUQIP026M.html


