NEWS

韓国の国勢調査で「同性配偶者」との登録が認められました

 韓国で22日から始まる人口住宅総調査(国勢調査)で、初めて同性の配偶者を登録できるようになりました。性的マイノリティ団体などは「国家統計に性的マイノリティの存在を含められることになった歴史的決定」だとして歓迎しています。


 人口住宅総調査は、国家データ処(旧統計庁)が福祉、経済、交通などの国家政策の樹立に必要な資料を収集するために全国の家庭の20%をサンプルにして5年ごとに行なう調査です(ほぼ国勢調査と同義です)
 直近の2020年の人口住宅総調査までは、同性配偶者は同性の世帯主と世帯員の関係を「配偶者」や「非婚同居」(共に暮らす交際相手)と回答してもエラーメッセージが出るようになっていましたが、22日、国家データ処は、今年の人口住宅総調査ではシステムを修正し、「配偶者」や「非婚同居」と回答できるようにしたことを明らかにしました。
 LGBTQ団体や革新系野党である正義党などが「国の統計から同性カップルが排除されている」と指摘してきたことを受けた対応だそうで、前日の21日に婚姻平等の法制化を目指す組織「みんなの結婚」が今回の調査の対象となった複数の「同性夫婦」に確認したところ、今回の調査にはこのような変化が見られたそうです。
 「性的マイノリティ差別反対レインボー行動」は21日の声明で、「この間の総調査では、性別が同じ場合、世帯員と世帯主の関係で『配偶者』を選ぶと『誤り』というメッセージが返ってきていた。しかし今回の総調査からは、性別が同じでも、関係について『配偶者』または『非婚同居』と答えることができる」と歓迎し、「レインボー行動が先の大統領選挙で最初に掲げた政策要求である『性的マイノリティの問題を国政課題として取り組むこと』が一部実現されたという意義深い成果」だと評価しました。
 「みんなの結婚」で活動するイ・ホリムさんは「統計庁は新たな項目を宣伝していない」「同性カップルがこの項目の存在を知ってこそきちんと回答できるので、レインボー行動の声明で知らせた」と語りました。
 正義党も21日、「この問題は、正義党のチャン・ヘヨン前議員が2020年の国政監査で統計庁長に質問したことで、大きく公論化した」「人口統計は国家政策の根幹となるデータだが、明確に存在する同性夫婦を存在しないものとして差別しているのは非常に問題だとの趣旨だった」「今回の措置が同性結婚の法制化と性的少数者の権利保障につながることを期待する」と述べて歓迎、チャン前議員も「私たちが共に作り出した大切な変化。まいた種はいつかは芽吹く」「トランスジェンダーの存在が人口統計に表れる日も近いと信じる」とコメントしました。

 ただし、国家データ処は、調査結果を来年に統計として発表するかどうかは不明だとし、「同性結婚の法制化と社会的合意が先行する必要がある」としています。関係者は「まだ決まっていないが、統計は発表しない可能性が高いと思う」「来年に担当課で決めるだろう」と話しているそうです。
 イ・ホリムさんは「米国では同性婚合法化前の1990年代から似たような項目があり、毎年回答者が増えていった」として、「今回は割合を含む統計項目には入らなくても、少なくとも数字は公開するとともに調査を続けて推移を見るべきだ」と述べました。



 国勢調査については日本でも今年から、同性パートナーを「配偶者」として回答できるようになりました(“その他親族”などへの付け替えを勝手に行わないよう国に要望しています)
 韓国でもほぼ同じタイミングで「同性配偶者」の登録が認められました(こちらは国が「配偶者」や「非婚同居」と登録できるようシステム修正したことを公に認めているので、確実です)
 
 韓国は2024年に同性パートナーの健康保険の被扶養者の登録を認めており、日本の先を行くこととなりました(日本では社会保障関連の法律が事実婚扱いから外されたばかりです)。もしかしたら同性婚の法制化も、韓国に先を越されるかもしれないですね…。

 日本でも早く同性婚の法制化が実現してほしいと願うみなさんにお伝えすると、「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟の高裁判決は11月28日です(これが最後の高裁判決になります)。最高裁判決は来年の春〜夏頃に出されるのではないかと見られています。
 
 
 
参考記事:
韓国 人口住宅総調査で初めて「同性配偶者」登録可能に(KBS World)
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm

韓国の国家統計に「同性配偶者」初登場…性的マイノリティー団体「歴史的」(ハンギョレ新聞)
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/54537.html

ジョブレインボー
レインボーグッズ