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オープンリー・ゲイの小原明大長岡京市議が6期目の当選

 京都府長岡京市の小原明大市議が、10月5日投開票の長岡京市議会議員選挙で6回目の当選を果たしました(おめでとうございます)。6期目をつとめるのは上川あや世田谷区議と並び、LGBTQの議員としては最長です。

 
 小原市議は、2017年12月の市議会本会議の一般質問で「日常のあらゆる場面でLGBTは存在しています。私もその一人です」と語り、ゲイであることをカムアウトしました。LGBTQへの差別解消に向けた対策の遅れが指摘されるなか、「いろいろな人がいて当たり前。当事者のしんどさを伝え、理解を広める、一つのきっかけになれば」という想いでした。小原市議はLGBTQの社会的課題への対応についての質問で、「当事者の困難の根本は、自分の存在が社会に想定されていないこと」であると述べ、性的指向と性自認のことや、性の多様性について説明し、学校での教育のあり方や、同性パートナーシップ制度の導入について、市側の見解を尋ねました。市側は「(同性パートナーシップ)制度を使った人へ奇異の目を集めてしまわないか、というリスクを考えなければならない」と答弁しましたが、小原市議は「制度を作ったうえで、奇異の目をなくしていくことが行政の役割。見て見ぬふりはしないでほしい」と述べました。こうした小原市議の働きかけのおかげで2020年、市が同性パートナーシップ証明制度の導入を決め、2021年6月に制度がスタートしました。
 それだけでなく、2020年9月、長岡京市は同性婚法制化に向けた議論を進めるよう政府や国会に求める意見書を採択するという日本初の快挙を達成しています。
 2019年6月、同市の冨田達也市議が議長や各会派にはたらきかけて「性の多様性」分科会がつくられ、全会派から市議が参加、冨田市議が会長、小原市議が副会長となりました。市の施策の現状や他の自治体の施策を学ぶなどして、課題を出し合うなか、「パートナーシップ制度を」などの意見に加え、小原市議が「同性婚実現の意見書を」と提案したところ、冨田会長らも同意し、小原市議が意見書の案を書き、分科会で了承を得ました。そして分科会のメンバーがそれぞれの会派の議員も説得し、市議会で全会一致で採択されたものです(小原市議はTwitterでも、全国の議員のみなさんに向けて、同性婚の議論の促進を求める意見書を各地であげていくときではないでしょうか?と呼びかけています)
 素晴らしい実績ですね。
 


 それから、残念ながら当選は果たせなかったのですが、今年7月の那覇市議会議員選挙に挑んだ畑井モト子さんのことが琉球放送で報じられました。
 奈良県出身でXジェンダー(ノンバイナリー)の畑井さんは、「自分のことを誰も知らない場所に行きたい」との思いで15年前に沖縄に移住しました。そして「今こんなふうに自分は頑張ってるっていうことを見せることで、当事者の子どもたちであったり、子どもだけじゃなくて、悩んでいる当事者の人たちの勇気や希望になったらいいなという気持ちもあって」性自認をカムアウトして市議選に立候補しました。今回で2回目の出馬ですが、「4年前に出たときよりも外に出た時に声をかけられることが多くなって、あとLGBTQの当事者のお子さんをお持ちの親御さんからも声をかけていただいて『自身の子どもも当事者なのでぜひ頑張ってほしい』っていう声が結構ありました」とのこと。しかし今回は、SNSに見知らぬ相手から「気持ち悪い」「穢らわしい」といった書き込みもあり、前回の選挙とは違う、外国人排除やLGBTQ排除の不穏な雰囲気も感じとっていたそうです。「LGBTQの当事者ですっていうことで、どんなヘイトに遭うんだろうと思うと、もうやっぱり怖くて怖くて。そういうコメントを見ると、自分の本当に辛いときに一気に引き戻されるんですよ…(涙で言葉が出なくなる)」
 畑井さんは前回から400票余りを上積みして1544票を獲得したものの、残念ながら落選となりました。そして、なんとも皮肉なことに、今回トップ当選を果たしたのが、性の多様性を否定する主張で問題視されている和田市議でした。同市議が「学校でLGBT教育を行うこと自体が、トランスジェンダーを増やすことにつながる可能性があるということ。トランスジェンダーの生徒に対して、必要な対応は心の性別に基づく配慮よりも、心の傷を治療できる心理士を紹介したり、配置して対応してもらうことではないかということです」と議会で発言したのを傍聴していた畑井さんは、「(質問を聞いた)当事者の子どもたちもそうだし、ご家族の人がどれだけ深く傷つくかっていうのが想像できない人なんだなって、個人の考えかもしれないですけど。議会を傍聴をして、みんなとまたどんなアクションをしていくか。闘う姿を見せていって(当事者の)子どもたちに勇気を与えるというか、本当に『ありのままで生きていいんだよ』ということを自分たち大人が伝えていかないといけないと思います」と語りました。
 記事は「畑井さんはこれからも闘い続けます。声に出せない人々の痛みを代弁していくために…」との言葉で結ばれています。

 
参考記事:
「ありのままでいい」と伝えるために… LGBTQ当事者の選挙戦、そして挑み続ける理由(琉球放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rbc/2187189

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