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渋谷区と世田谷区が同性パートナーシップ証明制度導入10周年記念企画を実施
2015年11月5日、全国で初めて、渋谷区が条例に基づいて同性パートナーシップ証明制度を、世田谷区が「パートナーシップ宣誓制度」をスタートさせてから今年11月で10周年を迎えます。これを記念し、渋谷区と世田谷区がそれぞれ、10周年記念の企画を実施します。
渋谷区は11月5日(水)、青山学院大学ジェンダー研究センターとの共催で学生・保護者向けに映画『ブルーボーイ事件』の試写会を開催するそうです。(のちほどレビューをお届けしますが、ふるえるほど素晴らしい傑作です。多くの方がこの映画を観ていただけることに計り知れない意義を感じます)
また、市民向けには11月14日~16日に「SHIBUYA PRIDE」をテーマに掲げた「ジェンダー映画祭」を開催します。この映画祭は2022年度から、ジェンダーの視点を切り口に、映画を通して身近なところで起こっている社会課題や人権の問題を考えるための「対話のある映画祭」として開催されているものです。今回は、『WE EXIST 私たちの居場所』『CLOSE クロース』『FLEE フリー』『リトル・ガール』『ALL Shall Be Well』の5本が上映されます。公式サイトに掲載された2025年度のテーマを説明する文章をご紹介します。
「SHIBUYA PRIDE ―これまでも、これからも、誰もが自分らしくいられる街―
2015年11月5日、渋谷区が全国に先駆けて開始したパートナーシップ証明制度。大切な人と共に社会の中で生きることを諦めない人々の願いと、多様な人が混じりあい、それぞれの自分らしさを大切にできる街を作っていくという渋谷区の決意と共にこの制度は生まれました。パートナーシップ証明制度はLGBTQの人々の“当たり前の生活”を支えるひとつの手段として全国に広がり、現在では532の自治体が同種の制度を制定、これまでに渋谷区では87件のカップルが、全国では9837組のカップルが利用しています。(2025年5月末時点)
制度がスタートして今年で10年。この間、LGBTQへの認知度や理解度は高まり、社会の中で数多くのポジティブな変化が生まれてきましたが、一方で激しいバックラッシュも世界各地で巻き起こっています。そうした中でこの節目の年を迎えるにあたり、今回の映画祭では10周年を祝うのと同時に、これからの10年、そしてその先の未来も、誰もが自分らしくいられる街であることを誇れる渋谷であるために、渋谷区が、そして渋谷に集う私たちができることを考えます。」
それから、世田谷区では、6月のプライド月間からスタートして11月までリレーイベントを開催しています。
こちらのニュースでお伝えしたように、9月1日から2ヵ月間、区の全ての区民対応窓口にレインボーフラッグやポスター等が掲出されています。
今月はロバート キャンベルさんをお招きした特別講演会が開催されたり、北沢タウンホールで「パートナーシップ宣誓制度」についてのパネル展示なども行なわれました。中央図書館では11月28日まで、12月にはらぷらすでパネル展示が行なわれるそうです。
ほかにも、10周年記念リーフレットや「性の多様性HANDBOOK」を作成したり、「世田谷区パートナーシップ宣誓10周年 ~宣誓で紡ぐ幸せのカタチ~」という動画も配信しています。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
10年前に両区が導入した同性パートナーシップ証明制度は(法的効力はないものの)同性カップルを初めて公的に承認する制度として社会を大きく変えました。渋谷区が虹色ダイバーシティと共同で実施してきた全国調査によると、この10年間で導入自治体の人口カバー率が92.5%に達し、33の都道府県で全県導入を達成しています。自治体が公に認めるようになったおかげで、民間企業でも福利厚生で異性婚と平等な待遇が広く実現してきています。婚姻平等裁判でも同性パートナーシップ証明制度の普及が社会の受容度の高さを実証する根拠として言及されるなど、同性婚実現への重要な足掛かりともなっています。そういう意味で、両区が果たした役割や意義は歴史的なもので、そのアライシップの素晴らしさを讃えずにはいられません。なかなか直接伝える機会もありませんが、ここで渋谷区と世田谷区で制度実現に尽力してくださったみなさんに心から感謝の念をお伝えします。


