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国勢調査で同性カップルも同居家族として回答できるようになりました
Marriage For All Japanが伝えたところによると、今般の国勢調査で同性カップルが同居家族として回答することについて国が「世帯自らが判断した続き柄で」「ありのままにご回答ください」と初めて明言したことがわかりました。国にはその回答を勝手に付け替えないよう要望しています。もしその実態が数として把握されれば、同性婚法制化の力になるかもしれません。
【関連記事】
国勢調査の同性カップルに対する扱いについて担当課長が「国勢調査は将来の人口がどうなるかを見るもので、男女の間が大前提。この精神は譲れない」とコメント
https://gladxx.jp/news/2010/10/703.html
国勢調査2015:同性カップルの扱いは?
https://gladxx.jp/news/2015/09/4373.html
レインボー国勢調査プロジェクト9団体が総務省に要望書を提出しました
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2020/8/29.html
LGBT国会議員連盟の総会で国勢調査の同性カップル集計など様々なLGBT関連の課題について話し合いが行なわれました
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2020/9/9.html
来年の国勢調査で同性パートナーを配偶者として集計するよう求める集会が開催されました
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2024/08/1.html
2010年、同性カップルの国勢調査での扱いについて世田谷区議の上川あやさんが問い合わせ、同居する同性間で相手を「配偶者」として届け出たとしても、国の集計では“誤記”として「その他」にソートされるとの回答があったことがわかり、コミュニティ内に波紋が広がりました。民主党の松浦大悟参議院議員は国会でこの件に関する質問を投げています。2014年末には「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」「EMA日本」「共生社会をつくるセクシュアルマイノリティ支援全国ネットワーク」「特別配偶者(パートナーシップ)法全国ネットワーク」「LOUD」「レインボー金沢」の6団体が連名で、国勢調査で同性カップルも適切に集計するよう、総務省統計局に改善の要請を行ないました。2020年にも「レインボー国勢調査プロジェクト」が立ち上げられ、総務省統計局に改善の要請を行ないました(2020年時点では、“誤記”ではなく“その他親族”として上書きされることがわかりました)。このように10年にわたって繰り返し要請を続けてきたにもかかわらず、国は同性カップルの実態を正しく把握しようとはしてきませんでした。
しかし、今回の国勢調査では、総務省が初めて「ありのままにご回答ください」と明言しました。
今年3月15日、国勢調査をめぐる参議院でのやりとりで、石川大我参議院議員(当時)が「同性パートナーを持つ人が一方が世帯主、もう一方が配偶者と回答してもいいという理解でよろしいでしょうか」と質問したところ、総務省統計局統計調査部長が「いわゆる同性パートナーについては(中略)お住まいの世帯の方が判断された続柄でご回答いただくこととなっております。ありのままにご回答いただければ、という趣旨でございます」と答弁しました。
集計については明らかにされていませんが、事実婚男女も同様の回答で婚姻カップルとして数えられるのですから、結婚したくてもできない同性カップルが図のように回答した場合は婚姻同等の世帯として数えられるべきです。
すでに2020年の国勢調査で26の自治体がレインボー国勢調査プロジェクトの要請に賛同してくださっています。今では人口の約93%が暮らす530以上の自治体でパートナーシップ制度やファミリーシップ制度が実施されており、同性カップルを婚姻相当であると承認することが自治体の標準施策となっていると言えます。国勢調査で同性カップルの姿が捉えられないのは困るという声も自治体から上がっているそうです。
LGBT理解増進法も施行され、昨年には最高裁で犯罪被害者給付金をめぐって同性カップルも事実婚と同様に支給されるべきとの判決が下っており、政府は今年、24の法令に関して同性カップルが事実婚と同様に対象として含まれるとの見解を示していて、他の130超の法令についても検討が指示されています。来年には最高裁で同性婚を認めないのは違憲だとの判決が下る見込みです。「同居する同性カップルのデータが必要だ」との声が上がるのは必至です。そうした状況で、同性カップルの公的統計が全く存在しない現状はどうなのでしょうか。
国勢調査は国の政策策定の基盤をなす悉皆(全数)調査であり、投じられる予算は2025年度だけでも687億円と膨大です。日本に暮らす同性カップルの世帯について、膨大な資金を投じながらその実態を正しく把握しないのは税金の無駄使いではないでしょうか?とMarriage For All Japanは述べています。
9月20日から国勢調査のオンライン回答が始まっています(調査票とオンライン回答IDが9月20日から30日にかけて各世帯に配布されます。オンライン回答では、9月20日〜10月1日の実態を入力することになっています)
同性パートナーと同居している方は、下記の図のように回答することができます。(なお、トランスジェンダーの方は自認する性別で回答してよいそうです)
総務省などの担当者が回答を見たり、回答の結果がどこかに記録されることで、同性カップルだということが公にされてしまうのではないか…と心配する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、調査の現場を担当する自治体と調査員にはプライバシーを守る義務が法律上課されています。インターネット回答はそのままコンピュータ処理されると考えられますし、紙の調査票も厳重に管理され、集計完了後に溶かされるなど、個人情報の保護に万全を期しています。自治体スタッフと調査員が、誤記や無回答をチェックする以上に立ち入ることはありません。ぜひ、ご協力をお願いいたします。
参考記事:
5年に1度の国勢調査、国はデータ付け替えしないで下さい! 同性カップルの存在を数で示そう【レインボー国勢調査2025】(Marriage For All Japan)
https://www.marriageforall.jp/topics/5454/