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兵庫県内の企業の4割がSOGIハラ防止対策を講じていないことが明らかに
兵庫県がLGBTQ(性的マイノリティ)が働きやすい職場づくりなどに関して県内企業を初めて調査したところ、SOGIハラ防止について4割近くが何も対策を講じていないことがわかりました。
2020年6月施行の改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の指針で、パワハラの代表的類型の中に「性的指向・性自認に関する侮辱的な言動」やアウティングなどが明示され、企業側に予防策の策定が義務づけられました。2022年4月からは中小企業も対象となっています(詳しくはこちら)
兵庫県は、2024年12月~25年3月、LGBTQ(性的マイノリティ)が働きやすい職場づくりの取組み状況についてアンケートを実施し、県内で従業員50人以上の5320社のうち930社から回答を得ました。
その結果、
①性的指向・性⾃認にかかるハラスメントを社内規定等に記載
②性的指向・性⾃認に関して相談できる窓⼝の設置
③LGBTQ に関する理解増進のための社内研修会等の開催
④採⽤に関する配慮(性別欄の⾒直し、採⽤担当者の教育等)
⑤性別を問わないトイレや更⾐室等の設置
⑥慶弔休暇や家族⼿当等を同性パートナーへ適⽤
という6つの取組みのいずれかについて、「既に実施」している企業は全体で47.1%にとどまり、「実施を検討している」が16.1%「実施・検討していない」が36.8%となりました。従業員99人以下の企業では41.8%で、事業所の規模が小さいほど対策を取っていない割合が高くなりました。
上記の6つの対策については①が27.3%と最も多く、②が26.2%、④が22.0%となりました。
「性的マイノリティに関する取組を進める上での課題」(複数回答)については、「トイレなどの環境整備が費用面や建物の構造上、困難」が最多の59.0%で、「当事者のニーズや意見の把握が難しい」が57.5%となりました。
県人権推進室は「調査でわかった実態を踏まえ、企業への働きかけや当事者への支援などの施策を検討する」としています。
おそらくどこの都道府県でもまだまだ対策を講じていない企業はたくさんあるだろうと推測されますが、今回、兵庫県がこのように県内の企業に対して調査を実施し、取組みの状況を把握したことは、非常に意義があることだと言えます。この結果を踏まえ、県も「企業への働きかけや当事者への支援などの施策を検討する」と述べているように、実態が明らかになり、県が働きかけを行なうことによって、取組みが今以上に浸透していくことにつながります。
参考記事:
性的マイノリティが働きやすい職場づくりに関するアンケート調査結果について(兵庫県)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf06/lgbt_questionnaire.html
性的少数者への「SOGIハラ」対策、義務化されても兵庫の企業4割が何も講じず(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250827-OYT1T50053/